実家を片付けるなら自分の部屋から!親が納得する5つの説得理由
大人になって実家を離れると、実家に戻ったタイミングで自分が住んでいた時と変化していることに気付くことがあります。
・冷蔵庫に賞味期限切れの食品が増えている
・床にゴミが散らかっている
・使われていないのがわかるほどホコリが溜まっている
こうした状態に気が付くと、実家で生活している家族が心配になるものです。
実家にモノが散乱していると転倒などケガの原因にもなります。また、介護が必要になったときには生活のための動線の確保が必要です。
本記事では、実家を片付ける手順やコツ、親との折り合いの付け方、費用などを紹介していきます。
この記事を読むとわかること
・実家を片付ける手順
・親を納得させる5つの説得理由
・今すぐ片付けるべき実家の特徴3つ
【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子
祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターを務める傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけること仕事のやりがいとしています。
目次
実家にある自分の部屋を片付ける
実家を片付ける際に、まずは自分の使っていた部屋の片付けから始めることがポイントです。自分の所有物であれば、処分の可否を自由に決められます。
自分が片付けを行う姿や、きれいになっていく部屋の様子を両親に見せることで、両親が片付けに積極的になってくれることが期待できます。
ゴールを決める
自分の部屋をどこまで片付けるのか、最初に決めておきましょう。自分の所有物がすべて実家から無くなることが理想です。
卒業アルバムや当時流行ったグッズ、物置代わりに置いていたスポーツ用品や衣類などを実家から引き取ることが、ゴールの最低ラインです。
ベッドやタンス、学習机などの大型家具も処分した方がよいですが、両親が買ってくれたものは、相談してから処分を決める方がトラブルを防げます。
片付ける順番
片付けは机やタンスの引き出しなど、小さな場所から進めます。
1つの場所を空にしたら次へと片付いたスペースを徐々に広げていくと、「捨てる」「捨てない」の判断力が身につくため、スピードアップが可能です。片付いていく様子を目の当たりにすることで達成感を得られ、飽きずに続けられます。
場所ごとに進められない時には、衣類から取り掛かる方法もおすすめです。長く着ていない服や自分に合わない服など、捨てる基準を決めやすいためです。
写真や思い出の品、書類は中身の確認が必要なため、最後に整理しましょう。ダンボールに詰めて自宅に引き取ってからでも処理できるため、後回しにして問題ありません。
処分まで責任を持つ
不要と判断したものは、自治体のルールに従って可燃ゴミや不燃ゴミなどに分別して処分します。「捨てておいて」と親に任せることは避けましょう。
貴金属やブランド品は、リサイクルショップに売るなどの処分方法も選べますが、いずれにしても処分は自分で行うのが鉄則です。実家に置いたままにしていると、両親が確認して元に戻してしまうこともあるからです。
実家に残した自分の所有物は、実家から無くなるまで自分が責任をもって片付けることが重要です。ゴミの分別だけでなく、指定場所に運ぶことまで自分の責任で行いましょう。
実家の片付ける2つのタイミング
実家を片付けるのに適したタイミングは、大きく分けて2つあります。
一つは実家が片付けるほど汚くなっていることに気付いたときで、もう一つは実家が空き家になったときです。
ここでは、それぞれのタイミングについて詳細を解説していきます。
1.実家の汚さが気になったとき
実家に帰った際に、使っていない多くのものや掃除が行き届いていない場所が気になったときが、実家を片付け始めるべきタイミングです。
徐々に散らかっている状況では、実家に住んでいる家族が実家の汚さに気付けないこともあります。親が元気な間に片付けを進めることは「生前整理」とも呼ばれます。必要なものだけを残した生活環境を整えることで、快適な老後を過ごせます。
生前整理を行う際には、片付け作業よりも親の説得に時間をかけましょう。
生前整理で5つのやることリストー自分のためと家族のために始める時期
実家が汚いストレスと3つのリスク。すぐにできる2つの実家回避法
2.実家が空き家になったとき
親が亡くなったり介護施設に入居したりして、実家が空き家になったときも片付けを始めるのに適したタイミングです。
特に親が他界して空き家になったときは、実家に残された遺品の所有権は子供や配偶者に引き継がれます。空き巣被害の防止や相続人の責任として、残った親族が実家の片付けを進めなければなりません。
実家のものの処分にあたっては、親の意向を気にしなくてよくなることで片付けが進めやすくなります。
親の遺品整理のコツとやり方5ステップ・できない時の対処法
実家が空き家になったらまずやる手続きと費用。管理方法と空き家対策
実家の片付け5つのコツ
ここでは、実家の片付けをスムーズに進めるための5つのコツを紹介します。
1.親と一緒に進める
実家の片付けに取り掛かる際は、あらかじめ「触られたくないものを親に確認する」「最終判断は親に委ねる」の2点を守るのがポイントです。
親子であっても立ち入られたくない場所、触られたくないものがあります。自分が寄り添う姿勢を見せることで親の意見を尊重し、お互いに気持ちよく作業できます。
処分の最終判断を親に委ねると、処分後に「言われたから仕方なく捨てた」「勝手に捨てられた」という処分に対する負の感情が自分に向けられるリスクが減ります。
捨てるべきだと思ったときは、命令口調ではなく提案する形で親に判断を委ねましょう。
2.兄弟にも相談する
実家を片付ける際は、あらかじめ兄弟や姉妹にも伝えておくことがポイントです。
実家のものは両親が亡くなった後に兄弟や姉妹と分割して相続する可能性があります。相続の際に揉める原因となることを避けるため、事前に片付けについて情報を共有しましょう。
本格的な実家の片付けには手間も時間もかかり、業者を利用すると費用も発生します。実家の整理は家族全体の問題でもあるため、自分一人で何とかしようとせず、可能なら兄弟や姉妹にも協力を呼び掛けましょう。
家族で協力して片付けることで、相続で無用な争いが起こりにくくなり、遺産分割協議の負担を軽減することにもつながります。
3.片付けのゴールを決める
実家を片付けるときは、必ず片付けのゴールを決めましょう。
「いつまでにどこまでやる」という時期と完了状態の目安を明確にして、「〇月〇日までに納戸を片付ける」と具体的に設定するのがポイントです。
ゴールとともに目的も決め、親兄弟に共有します。実家を片付ける目的には、「親が安心して暮らせる安全な部屋を作ること」のように親の協力を得やすいものを掲げましょう。「ものを捨てること」のようにあいまいで、親にとってメリットが感じられない目標は有効ではありません。
「安心で安全な生活を送れる家に整えることが目的」だと両親に伝えると、協力を得やすくなります。
4.計画的に片付ける
大きなゴールを決めたら、さらに細かく計画していきます。
いつまでに、どこを、何人で片付けるかなど詳細にするほど取り組みやすくなり、効果も見えやすくなるため、挫折しにくくなる点でも効果的です。
例えば、1年後に片付けを完了させることが最終ゴールであれば、「今から半年後の〇月〇日までに2階の片付けを完了させる」という中間目標を立てます。さらに細かく、「1か月後までには2階の真ん中の部屋を片付ける」と逆算すると行動につなげやすくなります。
スケジュールは詰め込み過ぎず、余裕をもって作りましょう。
時期の目標と併せて、処分ルールや必要な道具も事前に考えておきます。軍手やマスク、作業着、掃除道具を用意するとスムーズに開始でき、「片付ける」という意識付けにもつながります。
自治体の分別ルールや粗大ゴミの基準などはホームページなどで確認しておき、リサイクルショップを利用する場合には、近隣の店舗を絞り込んでおくとスムーズです。
5.小さな1区画から始める
狭い範囲から確実に片付けていくと達成感が得られ、やる気が出やすくなります。
例えば、クローゼットの中や引き出しの1段だけなど小さなスペースで構いません。
インクが切れたボールペンや短くなった鉛筆、いつ使うかわからない医薬品など、ものの処分に慣れることから始めていきます。
親がものを減らすことに抵抗がある場合は、処分は最低限に留め、配置を変える「整頓」を中心に行うとよいでしょう。よく使うものは手前に、使わないものは奥に移動させると生活の動線が改善します。
キッチンの片付けが効果的
台所は、ものが多い割には手を付けやすい場所と言えます。買ったものはとりあえず台所に運ばれることが多く、雑然としやすいからです。
例えば、期限切れの食品はすぐに捨てる判断できるため、「片付けた」という成果を実感しやすい場所です。達成感を得られて、飽きることなく片付けを進めやすくなります。
台所が整うと暮らしやすさを実感しやすく、親も快適さを覚えて片付けに前向きになる効果が期待できます。引き出しや小さな1区画を片付けることに慣れたら、片付けの範囲をキッチン全体、さらには家全体へと広げていきましょう。
実家の片付け5つの手順
実家の片付けは、以下の5つの手順で進めるのが王道です。
ここでは、一つずつ順を追って詳細を解説します。
1.残すものを決める
処分してはいけない貴重品や、親が残したいと希望するものを分けることから始めます。
片付け作業を始める前に、まずは親が「残したいもの」「探してほしいもの」の2つを確認して、メモ帳に残しましょう。
実家に住んでいる親であっても、家の中のどこに何があるかわからないこともあります。親の頭をすっきりさせることと、要望を聞くことの2つが同時に達成できるため、親も心地よく片付けが進められます。
残すものの代表例は、預金通帳、現金、宝飾品などの資産や、パスポートや年金手帳、賃貸の契約書など個人情報に該当するものが挙げられます。親が入院した際に対処できる身分証や保険証の保管場所がわかっていると、有事の際に慌てずに済みます。
2.一時保管の箱を作る
捨てるか残すか判断に迷うものを入れるためのダンボールを用意します。
片付けをすると処分に迷うものが出てくるため、迷ったらダンボールに一旦収めておくと片付け作業が早く進みます。片付けを行った日付と一時保管の文字をダンボールに書いておき、押し入れなどに収納しましょう。
3か月後に箱を開いて、処分するか残すかもう一度判断します。
親が処分に気乗りしなければ、そのまま保管するのも選択肢の一つです。「どうしても残したいものではない」とわかるだけでも、片付けが一歩前進します。
3.片付けやすいものを仕分ける
実家の片付けは、片付けやすいものから手を付けましょう。
1年使わなかったもので、今後1年以内に使う見込みがないものは処分することをおすすめします。いざとなれば買い替えできるものも、処分してしまってよいでしょう。
ここでは、片付けやすいもの3つについて解説していきます。
食品
期限切れの食品は、選別の基準がはっきりしているため捨てやすいものです。
「もったいない」と保存したがる親もいますが、最低限取っておく数を決め、超える場合は捨てるよう説得しましょう。
ストック用のかごがある場合には、空になったかごを見るとストックを買い込むことも考えられるため、ストックができるスペースには別のモノを埋めた方がリバウンド防止になります。
食器
食品の次に片付けやすいのが食器です。
端が欠けている食器や片方しかないペアグラスは処分するなど、基準を決めてから片付けると処分しやすくなります。
地方では昔の名残で葬儀用の茶托やお膳セットが数十個以上保管されているケースもあります。近年は葬儀会館で葬儀から法事をする家庭も多いため、そのまま遺品整理の対象となることも増えています。
寄合や葬儀を自宅で行わない場合や、家族葬を決めている場合には処分しても問題ないでしょう。
衣類
保存すべき衣類の目安は、収納家具の容積に収まる量です。下着は5日分以下にするなど、必要以上にある不要な衣類は処分しましょう。
実家には入学式で使用したスーツや嫁入り道具として持参した訪問着などが眠っているものです。「購入時の値段は数万円なのに1回しか着ていないからもったいない」という理由から、捨てられない親もいます。
洋服には流行があり、着物を着る機会も減っているため、リサイクルショップでも買い取り対象にはなりにくくなっています。
4.片付けにくいものを仕分け
家具などの大きなものや、卒業アルバムなど思い入れのあるものは、時間をかけてゆっくりと片付けていきましょう。
ここでは、片付けにくいもの3つについて解説していきます。
家具
使っていないテーブルや椅子など、大きな家具についても不要なものを選別、処分します。本や洋服を手放すと家具に収納スペースができ、そのままにすると新しい不用品で埋まってしまう可能性があるためです。
廃棄処分ではなくリサイクルショップを利用すると、もったいないという気持ちが薄れるため有効です。しかし、ニトリやイケアなど量販店で安価に新しい家具が購入できることから、中古の大型家具の需要は乏しく、リサイクルショップでの買い取りはよほど状態の良いものでない限り期待できません。
物置状態になっているピアノやエレクトーンなども、処分やリサイクルを提案してみましょう。ヤマハやカワイなど有名メーカーの機種であれば、リサイクルとして引き取ってくれたり、買い取ってもらえたりする場合もあります。
【家具の処分方法4つー粗大ゴミと不用品回収業者比較と売れる家具は?】
写真や書類
書類は、読み込まなければ捨てる判断ができないため、処分に時間が必要です。その割に専有面積が少なく達成感につながりにくいため、手をつけるのは最後でよいでしょう。
写真も思い出のある品のため手放しづらく、選別に時間がかかります。捨てられない書類や写真は、一か所にまとめるだけでもスッキリします。一か所にまとめた箱には「品名」「まとめた日」「メモ書き」を残しておくと、後で仕分けするときに判断しやすくなります。
仏壇
実家を親族が引き継ぐ場合でも、仏壇を小さなものに買い替えたり、位牌だけを残して仏壇は処分したりする方も増えています。
親が健康なうちに仏壇の管理者を決めておくことも、実家の片付けの一環です。
仏壇を処分する際は「魂抜き」をします。魂抜きは菩提寺に委託するのが一般的です。魂抜きの費用は4,000円~50,000円と依頼する業者やお寺によって大きく変わります。
【仏壇の処分方法5つと後悔しない注意点―遺品整理で処分に困る魂抜き】
5.実家の不用品を処分する
捨てると決めたものは両親の気が変わらないうちに処分しましょう。
処分方法は一般ゴミとして捨てる以外にも、「寄付」「リサイクル」「売却」「譲る」などがあります。捨てることに抵抗感がある場合には、寄付やリサイクルも提案してみましょう。
どの方法で処分する場合であっても、手続きや集積所へ持って行く作業などは自分が積極的に進めるのが、実家の片付けで最も重要なポイントです。
自治体での分別※ | 売って処分 | |
食器類 | 不燃ゴミ | ・リサイクルショップ ・買取業者 ・ネットオークション、フリマアプリ |
衣類 | ・可燃ゴミ ・資源ゴミ |
・リサイクルショップ ・買取業者 ・ネットオークション、フリマアプリ |
家具 | ・粗大ゴミ | |
家電 | ・粗大ゴミ ・不燃ゴミ |
・リサイクルショップ ・買取業者 ・ネットオークション、フリマアプリ |
リサイクル対象家電 | ・自治体での処分不可 | ・リサイクルショップ ・買取業者 ・ネットオークション、フリマアプリ |
本 | ・資源ゴミ ・古紙回収 |
・古本屋 ・ネットオークション、フリマアプリ |
貴金属・アクセサリー | ・不燃ゴミ | ・リサイクルショップ ・買取業者 ・ネットオークション、フリマアプリ ・質屋 |
※上表の例は一般的な分別です。分別ルールは自治体によって決められているため、正確な情報は自治体の案内を確認しましょう。
片付けない親の気持ちを理解する
実家を片付けない親の気持ちを理解することで、片付けに対する親へのアプローチ方法がわかります。
親が片付けに消極的な場合、次のような理由が考えられます。
1.片付ける必要がない
実家は「とりあえず置いておく部屋」が広いためものを溜めやすく、片付けにくくなります。
日本では、両親と子ども2人の4人で住んでいる3LDK以上の家に、子どもが独立した後もそのまま住み続けることが一般的です。子どもが家を離れた後の部屋は特に使い道もなく、物置状態になります。
子ども部屋は2階に作られている間取りも多く、親は年齢が上がるにつれて階段を上ることが負担になり、2階を使う頻度も減ってしまいます。
人数に対して部屋が広すぎると、不用品を処分するタイミングを失い、ものが増え続けて一向に減ることはありません。
2.もったいなくて捨てられない
世代によって、ものに対する価値観が異なります。
日本には「もったいない」を美徳とする考え方が古くから存在し、年齢が高いほどものを捨てることに罪悪感を覚える傾向が見られます。そのため、まだ使えるものは使える限り使い続けるべきという価値観に基づいて保管し続ける方もいることを覚えておきましょう。
また、写真や子どもの描いた絵、プレゼントなど思い出の品が実家には溜まりやすいものです。「もったいない精神」と「思い出」が詰まっているため、実家にはものが多くなり、片付けにくくなります。
3.片付ける体力がない
年齢を重ねるほどに体力や判断力、認知能力は低下します。個人差はありますが、高齢者は脳の前頭葉という部分が衰えて判断力が低下する傾向があり、認知症の場合は症状が顕著です。
判断力が低下すると捨てる判断が苦手になり、不用品が実家に溜まっていきます。ものが多いほど、どこに何がしまってあるかを覚えられず、収納や整頓にも時間と手間がかかります。
体力も自然と落ちていくため、20年前には苦にならなかったゴミ出しすらも面倒な仕事となります。
捨てるための判断力、不用品を処分するための体力が落ちるため、実家はますます片付けにくくなってしまいます。
片付けられない3つの特徴・片付け上手になれる部屋とたった3つのコツ
親を説得するための理由5選
親が実家を片付けることに消極的な時には、親にとってのメリットを丁寧に説明し、一つずつ同意を得ながら進めましょう。
ここでは、親を説得しやすい5つの理由について紹介します。
1.事故・病気のリスクを減らす
実家を片付けることが、事故や病気のリスクを減らせることを伝えてみましょう。
不用品を処分したりものの配置を変えたりすると、生活の動線がシンプルになるため、安全な暮らしにつながります。
年齢が上がるにつれて、歩く時に上げる足の高さが数ミリずつ低くなり、小さな段差でもつまずきやすくなってしまいます。自宅で転倒後、大腿骨を骨折してそのまま車いす生活になってしまう方も少なくありません。
また、片付けは病気の予防にもつながります。部屋をきれいに保てば、ほこりやカビのアレルギーやダニを抑制できます。
さらに、ものが減れば必要なものを見つけやすくなるため、ストレスを減らす効果も期待できます。実家の片付けは健康寿命を延ばすことにもつながると親に説明してみましょう。
2.両親の介護に備える
実家を片付けると介護動線が確保しやすくなり、自身が介護を任される場合も、ケアスタッフに来てもらう場合もストレスが減ります。
介護動線とは、介護される本人や家族、介護スタッフが動きやすくするための道筋のことです。廊下や寝室の障害物を取り除くことが介護の動線作りには欠かせません。片付けが進むと、階段に手すりをつけるなどバリアフリーに向けたリフォームもしやすくなります。
実家の片付けは老後の介護生活を快適にする家づくりだと説明すると、片付けに対して前向きになってくれることもあります。
3.生前整理になる
生前整理によってものの場所が把握でき、不用品をあらかじめ処分できるため、親の死後に行う遺品整理の手間を減らせます。
ものだけではなく、遺産や価値のある遺品を生前贈与すると税金対策になることもあります。
所有者である親がいなくなった時点で、残された家や家具、写真1枚に至るすべてが遺品です。戸建ての場合には5人以上のスタッフが作業しても2日以上かかりますし、費用は20万円以上となることも想定されます。
遺産相続で親族が争わないための準備としての片付けだと説明すると、片付けに応じてくれやすくなります。
4.空き家対策になる
実家を片付けることで、将来的な空き家対策の効果もあります。
両親から自宅の持ち家を相続した際に、家の状態がよければ売却が可能であり、賃貸に出せば家賃収入を得られます。家の価格は周辺環境や駅までの距離など立地条件に左右されていましたが、新型コロナウィルスの影響で田舎の古民家の需要が増してきました。
リモートワークが主流となっているIT企業に勤める方は住む場所の制約が少なく、利便性が悪くても広い家や静か田舎に住み替えるケースも増えています。
実家が片付ければ、売却や賃貸、民泊に出す手続きなどもスムーズです。
一方で、親の死後も遺品整理せずに実家を放置していると、「特定空き家」に指定されるリスクがあります。特定空き家は衛生上有害で倒壊の危険がある場合などに自治体から指定されるもので、固定資産税が6倍になり、50万円以下の過料が課される恐れもあります。
実家をきちんと片付けておくことで、空き家管理の手間も減らせます。
【実家が空き家になったらまずやる手続きと費用。管理方法と空き家対策】
5.両親が快適に暮らせる
実家の片付けは、両親の暮らしを安全で快適にするために行うものです。単に子どもの都合ではなく、「使わない物を手放して快適な住環境を作る」ことに注目してもらいましょう。
片付いた家で、そのあとどんな風に生きたいのかという想像を膨らませます。子どもが独立して時間とお金にゆとりがある時期だからこそ、これまで出来なかった趣味や夢を実現できます。
実家の片づけを不用品回収業者に依頼する
片付けに手が回らない時には、業者を利用するのも選択肢の一つです。
不用品回収業者や遺品整理業者、便利屋などが当てはまりますが、仕分けの方法も相談したい時には遺品整理業者がおすすめです。
ここでは、遺品整理業者に依頼した方がよい目安や業者に依頼するメリットとデメリットを紹介します。
不用品回収業者に依頼する目安
実家の片付けを業者に依頼する目安は、以下の4つです。
1. ゴミ屋敷になっている
2. 実家が遠くて何度も通うのが困難である
3. 片付けようとすると親子間で言い争いになる
4. 介護や施設入所など急いで片付ける必要が生じた
特に実家がゴミ屋敷になってしまっている場合には、近隣からの苦情が来ている可能性もあるため、早急な対処が必要です。
玄関から床も見えないほどにゴミが積まれていると、2トントラック2台以上のゴミが排出されます。そうなると、素人だけで片付けるのは困難です。
【ゴミ屋敷の片付けるマインドと費用―片付け業者に依頼すると10万以上】
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実家の片付けを業者に依頼するメリットとデメリット
下表では、実家の片付けを業者に依頼するメリットとデメリットを、自身で片付ける場合と比較してまとめています。
メリット | デメリット | |
業者に依頼する | ・短時間で作業が終わる ・精神的な負担が少ない |
・費用がかかる |
自分で片付ける | ・費用負担が少ない | ・時間的、精神的負担がかかる ・実家が遠方の場合、交通費の負担が大きい |
業者に依頼するメリットは短時間で片付けが終わることです。自分で片付ける場合、仕事やプライベートの合間で実家へ通う必要があるため、作業終了までに数ヶ月から数年かかることもあります。
また、思い出の品を処分することに精神的な負担を感じたり、親と険悪になったりする恐れもあります。業者という第三者が入ることで冷静に片付けられることもメリットです。
ただし、業者に依頼する場合は、部屋の広さやゴミの量によっては多額の費用がかかる点はデメリットといえます。
実家の片付けの相場費用
業者に実家を片付けてほしい場合には、下表が費用の目安です。家具や家電など数点であれば、出張費用3,000円と品目別回収費用の合計金額となります。
例えば、ベッドと学習机のみの回収の場合は約21,000円で、粗大ゴミに出すより高くなりますが、運び出しをすべて任せられる点や自分の都合に合わせて手配できる点がメリットです。
間取り | 料金相場 | 作業人数 | 作業時間 |
1R・1K | 30,000円~80,000円 | 1~2名 | 1~3時間 |
1DK | 50,000円~120,000円 | 2~3名 | 2~4時間 |
1LDK | 70,000円~200,000円 | 2~4名 | 2~6時間 |
2DK | 90,000円~250,000円 | 2~5名 | 2~6時間 |
2LDK | 120,000円~300,000円 | 3~6名 | 3~8時間 |
3DK | 150,000円~400,000円 | 3~7名 | 4~10時間 |
3LDK | 170,000円~500,000円 | 4~8名 | 5~12時間 |
4LDK以上 | 220,000円~600,000円 | 4~10名 | 6~15時間 |
※上記の数値はあくまで目安であり、依頼する業者によって異なります。
※汚れがひどく、清掃が必要な場合には料金が大きく変わります。事前に訪問見積もりを依頼し、現場を確認してもらうと安心です。
実家の片付け費用の内訳
遺品整理業者に依頼する際の費用内訳は、人件費や車両費、処分費用、作業時間によって決まります。業者ごとに見積書の様式は異なりますが、内容や料金相場は以下のとおりです。
・人件費:1日当たり1人約10,000円
・処分費用:2tトラック1日約80,000円
さらに必要に応じてオプション費用として、エアコンの取り外しやハウスクリーニングなどの代金が加算されます。
リサイクル品の買い取り対応可能な業者の場合、買い取れる分を合計料金から差し引いて金額を算出します。
【ゴミ屋敷の片付け費用は「量」と「内容」で決まる! 5つのコツで安くする】
不用品回収業者が実家を片付ける流れ
1. 問い合わせ・日程調整
まずは業者に連絡を取り、事前訪問の日程を決めます。
電話やビデオ通話でも概算の見積もりは可能ですが、正確な金額を把握するためには訪問見積もりが必要です。処分する品名や数が明確な場合には電話だけで料金の確定から予約までできる遺品整理業者もあります。
1部屋全体など量がわからない場合や分別作業から依頼する時には、必ず訪問見積もりを依頼しましょう。
2. 見積もり・契約
業者が片付ける部屋を確認し、回収するものや片付ける場所を見て見積もりを提示します。
訪問見積もり時に買い取り可能なものも査定を依頼し、料金と相殺できる分を事前に確認しておくと安心です。
提示された金額や契約内容に納得できた場合は、契約に進みます。
3.作業と支払
作業日当日、業者が搬送ルートの壁を養生するなど準備を整え、作業が始まります。
ものの仕分けや分別、梱包を行い、不用品は搬出されます。搬出後には簡易清掃を無料オプションで付けている遺品整理業者も増えています。
作業が完了したことを確認してから、支払を行います。
業者の選び方のポイント
ここでは、実家の片付けを依頼する業者の選び方のポイントについて紹介します。
1. 費用で比較する
相見積もりを取ると費用感がわかるため、契約前に3社程度に見積もりを依頼することをおすすめします。
回収を依頼したいものが家具や家電数点のみで、品名が明確に伝えられる場合は電話だけで概算料金を教えてくれる遺品整理業者もあります。
2.遺品整理士、女性スタッフの在籍
遺品整理士は、一般社団法人遺品整理士認定協会が認定する資格であり、遺品の扱いや廃棄・リサイクルに関する専門家です。
親が片付けに乗り気でない場合は、有資格者の意見でスピードが上がることもあるため、遺品整理士が在籍する業者への依頼をおすすめします。
また、男性に見られたくないものなどがある場合には、女性スタッフに依頼できるかどうかもポイントです。
3.スタッフの教育
事前訪問に来た際に、スタッフのやりとりなど確認し、スムーズに対応してもらえそうか判断しましょう。
作業内容や料金体系が正確な業者は、スタッフ教育も行き届いています。
遺品整理業者は接客業であり、身だしなみや清潔感に気を配れる業者は、依頼者に満足してもらうための努力をしています。
スタッフの知識が豊富だとさらに安心です。
例えば、不用品の処分方法を尋ねたとき、リサイクルのルートを詳細に答えられる業者は、社員一人一人が全体像を把握できており、信頼性が高くなります。
作業当日は立ち会う
作業当日に立ち合うことで、業者トラブルを避けられます。
高齢者宅には高額なタンス預金があったり、衣類ポケットや本棚などから現金が見つかったりするケースもあります。
現金の持ち去りトラブル防止には、立ち合いが有効です。また、思い出の品を誤って廃棄されるリスクも、立ち合いによって防げます。
実家の片付けに関するよくある質問
ここでは、実家の片付けに関するよくある質問とその回答を紹介します。
実家の片付けにかかる費用の目安は?
実家の片付けにかかる費用は、部屋の広さやゴミの量などに応じて異なります。
例えば、1R・1Kの部屋の場合、1~2名の作業員が1~3時間作業すれば終わると想定でき、費用の目安は30,000円~80,000円です。
4LDK以上の部屋であれば、作業員が4~10名、作業時間は6~15時間かかることもあるため、220,000円~600,000円が費用の相場となります。
エアコンの取り外しやハウスクリーニングなどを依頼すると料金が加算されます。また、買取してもらえる不用品があった場合は処分費用から差し引くことも可能です。
実家の片付けは何から手をつけるべき?
実家の片付けは、作業しやすい場所やものから始めるのがポイントです。まずは自分が使っていた部屋から始めると作業がスムーズに進められます。自分のものを積極的に捨てる姿勢を見せることで、親が片付けに前向きになってくれる効果も期待できます。
また、期限切れの食品や多すぎる食器など、捨てる判断がしやすいキッチンも片付けやすい場所の1つです。引き出し1つ分などの小さなスペースから始め、徐々に片付けの範囲を広げていくとよいでしょう。
実家を自分で片付ける場合、何年かかる?
実家の片付けにかかる時間は、部屋の広さや整理が必要なものの量、作業できる人数によって異なります。
実家が空き家になってから片付ける場合では、事前に整理されていても3ヶ月程度、特に整理されていない状況から始めるのであれば1年以上かかることもあります。
実家が遠方だったり、忙しくて時間が取れなかったりするなど、事情によってはさらに時間が必要となることを覚悟しておきましょう。
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実家の片付けのまとめ
「汚さが気になったとき」と「空き家になったとき」は、実家の片付けを始めるタイミングです。まず自分の部屋からスタートすることで、親の理解を得やすくなります。
親が片付けに反対する場合は、相手の気持ちや状況を理解しつつ、片付けのメリットを説明して納得してもらうことが大切です。
なお、自分で片付ける時間が取れないときや実家がゴミ屋敷になっている場合は、業者を利用しましょう。複数社に見積もりを依頼し、費用やスタッフの対応を比較すると信頼できる業者を選べます。
実家の片付けで困った際は、ぜひReLIFEへご相談ください。
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遺品の処分方法
遺品整理で処分方法に困る家具や家電の処分方法についてご紹介しています。
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