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遺品整理

実家を片付けるなら自分の部屋から!親が納得する5つの説得理由

「久しぶりに帰った実家の冷蔵庫に賞味期限切れの食品が増えている…」よく見ると、使っていないタンスや本がずっと同じ場所においてあるのが実家です。

実家に物が多いと転倒などケガのきっかけにもなりますし、介護が必要何ったときには導線の作り直しが必要です。また、遺品整理では経済的にも体力的にも親族の負担になります。

この記事を読むと分かること
・実家を片付ける手順
・親を納得させる5つの説得理由
・今すぐ片付けた方がいい実家の特徴3つ

実家の片付けのルールを守り、親も自身も納得いく片付けをご紹介します。


遺品整理士

【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子

祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけること仕事のやりがいとしています。

実家,片付け

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自分の部屋を片付ける

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実家全体を片付ける前に、まずは自分の使っていた部屋の片付けから始めることがポイントです。自分の所有物であれば、処分方法などを自由に決めることができるからです。

自分が片付けを行う姿や、きれいになっていく部屋の様子を両親に見せることで、両親が片付けに積極的になってくれることも期待できます。

ゴールを決める

自分の部屋をどこまで片付けるのか、最初に決めておきます。自分の所有物がすべて実家から無くなると理想的です。

卒業アルバムや当時はまったアイドルグッズ、物置代わりに置かせてもらっていたスポーツ用品や衣類などを実家から引き取ることが、ゴールの最低ラインです。

ベッドやタンス、学習机なども処分した方がよいのですが、両親が買ってくれたものに対しては相談してから処分をすすめた方がトラブルを避けやすくなります。

片付ける順番

片付けは机やタンスの引き出しなど、小さな場所からすすめていきます。

1つの場所を空にしたら次へ…と片付けるスペースを徐々に広げていくと、「捨てる」「捨てない」の判断力が身につくので、スピードアップが可能です。片付いていく様子を見ると自分自身も達成感も得られるので、飽きずに続けることができます。

場所ごとに進められない時には、衣類からすすめていく方法もおすすめです。流行遅れの服や自分に合わない服など、捨てる基準がはっきりしているので片付けやすいからです。

写真や思い出の品、書類は中身の確認が必要になるので、最後取り掛かるのがポイントです。ダンボールに詰めて自宅に引き取ってから、後で整理してもいいでしょう。

処分まで責任を持つ

不要と判断したものは、自治体のルールに従って可燃ゴミや不燃ゴミなどとして処分します。「捨てておいて」と親に任せてはいけません。

貴金属やブランド品は、リサイクルショップに売りに行くなどの処分方法も選べますが、いずれにしても親任せではいけません。実家に置きっぱなしにしていると、再び両親が確認して元に戻してしまうこともあるからです。

実家に残してあった自分の所有物を実家から無くすまで、責任をもって片付けることが重要です。自分でゴミの分別をして、指定収集日に指定場所まで運ぶことまで自分の責任で行いましょう。

実家の片付ける2つのタイミング

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実家を片付けるタイミングは、大きく分けると親の生前、死後の2つです。死後に行う遺品整理の方が自分の判断で進めやすいのですが、生前から行った方が多くのメリットを得ることができます。

実家を片付けるのに適した、具体的なタイミングについて解説します。

1.実家の汚さが気になったとき

実家に帰ったときに、使っていないものの多さや掃除が行き届いていない場所が気になったときは実家の片付けのタイミングです。

親にとっては徐々に散らかっている状況なので、実家の汚さに気づいていないこともあります。親が元気なうちから片付けを進めることは「生前整理」とも呼ばれています。必要なものだけに囲まれて生活できる環境を整えることで、暮らしやすい家で老後を過ごせるようになります。

生前整理を行う時には片付け作業よりも親の説得に時間をかけましょう。

生前整理で5つのやることリストー自分のためと家族のために始める時期

実家が汚いストレスと3つのリスク。すぐにできる2つの実家回避法

2.実家が空き家になったとき

親がなくなったり、介護施設に入居して空き家になったときも片付けを始めるタイミングです。

特に親が他界して空き家になったときは実家に残された遺品は子供や配偶者に所有権が引き継がれます。空き巣被害の防止や相続の点からも相続人である親族で片付けを進めなければなりません。

実家のものの所有者が親族に引き継がれることで、親の意向を気にしなくていいので片付けは進めやすくなります。

親の遺品整理のコツとやり方5ステップ・できない時の対処法
実家が空き家になったらまずやる手続きと費用。管理方法と空き家対策

実家の片付け5つのコツ

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片付けをスムーズに進める5つのコツをご紹介します。

1.親と一緒に進める

実家の片付けに取り掛かるときには、あらかじめ「触れられたくない物を親に確認すること」と「最終判断は親に委ねる」ことの2つを守ります。

親子であっても立ち入られたくない場所、触れられたくない物があります。自分が寄り添う姿勢を見せることで親の意見を尊重することになり、お互いに気持ちよく作業することができます。

処分の最終判断を親に委ねると、処分した後で「言われたから捨てた」「捨てられた」という処分に対する負の感情が自分に向けられるリスクが減ります。捨てるべきだと思ったときは命令口調ではなく提案する形で親に判断を促します。

実家と実家のものは親の持ち物だと自分に言い聞かせましょう。

2.兄弟にも相談する

実家の片付けをするときは、あらかじめ兄弟・姉妹にも伝えておくことがポイントです。なぜなら、実家やその中のものは両親がいなくなった後で兄弟・姉妹と分割して相続することになるからです。のちに揉める原因へと発展することを避けるため、事前に片づけについて共有しましょう。

実家の片付けを本格的にすると、人手も時間もかかり、業者利用時には費用も発生します。実家の整理は家族全体の問題でもあるため、自分一人で何とかしようとせず、可能なら兄弟姉妹にも協力を呼び掛けます。兄弟間で不公平にならないように、自分の気持ちを伝えておくとよいでしょう。

兄弟姉妹と協力して一緒に片づけることで、死後の相続争いが起こりにくくなり、片付けの負担を軽減することにもつながります。

遺品整理の5つのトラブル事例と対策を遺品整理士が紹介

3.片付けのゴールを決める

実家を片付けるときは、必ず片付けのゴールを決めましょう。いつまでにという時期と、どこまでという目安を明確にして、「〇月〇日までに納戸を片付ける」と具体的に決めるのがポイントです。

ゴールとともに目的も決めて、併せて親兄弟に共有します。実家を片付ける目的には、「親が安心して暮らせる安全な部屋を作ること」のように親の協力を得やすいものを掲げましょう。「ものを捨てること」のようにあいまいで、親にとってメリットが感じられない目標は不向きです。

安心安全な生活を送れる家に整えることが目的だと両親に伝えると協力を得やすくなります。

4.計画的に片付ける

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大きなゴールを決めたら、さらに細かく計画していきます。
いつまでに、どこを、何人で片付けるかなど詳細にするほど取り組みやすくなります。効果も見えやすくなるので、挫折しにくくなる効果も期待できます。

たとえば、1年後に片付けを完了させることが最終ゴールであれば、「今から半年後の〇月〇日までに2階の片付けを完了させる」という中間目標を立てます。さらに細かく、「1か月後までには2階の真ん中の部屋を片付ける」というように逆算すると決めやすいです。
スケジュールは詰め込み過ぎず、余裕をもって作ります。

時期の目標と併せて、処分ルールや必要な道具も事前に考えておきます。軍手やマスク、服装、掃除道具を用意するとスムーズに開始でき、自分たちの「片付ける」という意識付けにもつながるのです。

自治体の分別ルールや粗大ゴミの基準などはホームページなどで確認し、リサイクルショップを利用する場合には店を絞り込んでおくとスムーズです。

5.小さな1区画から始める

狭い範囲から確実に片付けていくと、達成感が得られるのでやる気が出やすくなります。

例えば、クローゼットの中や引き出しの1段だけなど小さなスペースで構いません。
インクが切れたボールペンや短くなった鉛筆、いつ使いか分からない医薬品など、物を減らすことに慣れることから始めていきます。

親が物を減らすのを嫌がる場合には、処分は最低限に留めて、物の配置を変える整頓を中心に行います。よく使う物を手前に、使わない物を奥に移動させると生活動線が改善します。

キッチンの片付けが効果的

台所は、ものが多い割には手を付けやすい場所と言えます。なぜなら、買った物はとりあえず台所に運び込まれることが多くて雑然としやすいからです。ものは多いのですが捨てる判断をしやすく、期限切れの食品は躊躇なく捨てられるので「片付けた」という成果を実感しやすい場所です。達成感を得られて、飽きることなく片付けを進めやすくなります。

台所が整うと特に女性は暮らしやすさを実感できるので、親も快適さを覚えて片付けに前向きになる効果が期待できます。
引き出しや小さな1区画で片付けることに慣れたら、範囲をキッチン全体、さらに家全体へと広げていきます。

実家の片付け5つの手順

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実家の片付けは以下の5つの手順ですすめるのが王道です。

1.残すものを決める

処分してはいけない貴重品や親が残したいと希望するものを分けることから始めます。

片付け作業を始める前に親に「残したいもの」「探してほしいもの」の2つを確認して、メモ帳に残しましょう。住んでいる親であっても家の中のどこに何があるか分からない状態なこともよくあります。親の頭をすっきりさせることと、要望を聞くことの2つが同時にできるので、親にとっても心地よく片付けがすすめられます。

残すものの代表例は、通帳・現金・宝飾品など資産価値の高いものやパスポート・年金手帳・賃貸の契約書など個人情報に該当するものがあります。親が入院した時に対処できる身分証明書や保険証の保管場所が分かっていると、将来慌てなくて済むようになります。

2.一時保管の箱を作る

捨てるか残すか判断に迷うものを入れるためのダンボールを用意します。

片付けをしていく中で1つはすぐに決められないものがあるので、迷ったらいれると片付け作業が早く進みます。ダンボールには片付けをした日の日付と一時保管と書いて押し入れなどに収納しましょう。

3か月後に箱を開いて処分するか残すかもう一度判断します。
親の気分が乗らなければそのまま保管するのも選択肢の一つです。どうしても残したいものではないと分かるだけでも片付けの一つになります。

3.片付けやすいものを仕分け

実家の片付けは、片付けやすいものから手を付けましょう。1年使わなかったもので、今後1年以内に使う見込みがないものは処分することをおすすめします。いざとなれば買い替えできるものも、処分できます。

食品

期限切れの食品は選別の基準がはっきりしているので捨てやすいです。

それさえも「もったいない」と保存したがる親もいますが、最低限取っておく数を決め、超える場合は捨てるよう説得します。

ストック用のかごがある場合には、空になったかごを見るとストックを買い込むことも考えられるので、ストックができるスペースには別のモノを埋めた方がリバウンド防止になります。

食器

食品の次に片付けやすいのが食器です。
端が欠けている食器や片方しかないペアグラスは処分するなど、基準を決めてあげると処分しやすくなります。

地方では昔の風習の名残で葬儀用の茶托やお膳セットが数十個以上保管されているケースもあります。葬儀会館で葬儀から法事をする家庭も多く、そのまま遺品整理の対象となることも増えています。

寄合や葬儀を自宅で行わない場合や家族葬を決めている場合には処分しても問題ないでしょう。

食器の捨て方・大量に捨てる・寄付してリサイクルする

衣類

保存する衣類の目安は、収納家具の容積に収まる量までです。下着は5日分以下にするなど、不要な枚数は処分します。

実家には入学式で使用したスーツや嫁入り道具として持参した訪問着などが眠っています。購入時の値段は数万円なのに1回しか着ていないから勿体ないという理由から捨てられない親世代も多いです。

洋服には流行がありますし、着物を着る機会が減っているのでリサイクルショップでも買取り対象にはなりませんので、処分した方がいいモノの一つです。

遺品整理で衣類を処分する5つの方法とのこす衣類の決め方

4.片付けにくいものを仕分け

大きなものや思い入れのあるものは時間をかけてゆっくりと片付けていきましょう。

家具

使っていないテーブルや椅子など、大きな家具を選別・処分します。
本や洋服を手放すと家具に収納スペースがあまり、そのままにすると新しい不用品で埋まってしまうからです。

手放すことに親が同意した場合は、床面積が広がるので片付けを進めやすくなります。
廃棄ではなくリサイクルショップを利用すると、もったいないという気持ちが薄れるので有効です。

しかし2022年3月10日現在、ニトリやイケアなど家具の量販店で安く新しい家具が購入できるので、大型家具は需要がないのでリサイクルショップで買い取られることはありません。海外へ輸出している業者もありますが、引き取りには出張料金がかかるので、無料処分はできないと考えた方が無難です。

物置状態になっているピアノやエレクトーンなども処分やリサイクルを提案してみましょう。
ヤマハやカワイなど有名メーカのピアノであれば、30年以上前に買ったものでもリサイクルとして引き取ってくれたり、買い取ってもらえたりすることもあります。

業者から家具の処分について説明してもらうと親が納得して、処分に応じてくれることもあります。

家具の処分方法4つー粗大ゴミと不用品回収業者比較と売れる家具は?

写真や書類

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書類は読み込まなければ捨てることができないので時間がかかり、専有面積が少なく達成感につながりにくいので、手をつけるのは最後にします。

写真も思い出の品なので手放しづらく、選別に時間がかかります。捨てられない場合は、一か所にまとめるだけでもすっきりします。1箇所にまとめた箱には「品名」「まとめた日」「メモ書き」を残しておくと、後から見返したときに判断しやすくなります。

写真を処分する4ステップ・残す写真は3つの条件

仏壇

実家を親族が引き継ぐ場合でも仏壇を小さなものに変えたり、位牌だけを残して仏壇は処分したりする方も増えています。

親が健康なうちに仏壇の管理者を決めておくことも実家の片付けの一つです。

仏壇を処分する時にはよほどの事情がない限り、魂抜きをします。魂抜きは菩提寺に委託するのが一派的なので依頼するか供養業者、遺品整理業者に依頼するので時間も費用も掛かります。
魂抜きの費用は4000円~50000円と依頼する業者やお寺が独自に決めています。

仏壇の処分方法5つと後悔しない注意点―遺品整理で処分に困る魂抜き

5.処分する

捨てると決めたものは両親の気が変わらないうちに処分します。処分方法はゴミとして捨てる以外にも、「寄付」「リサイクル」「売却」「譲る」などがあります。親が捨てることに抵抗がある時には、寄付やリサイクルを提案すると快く手放してくれることもあります。

寄付や売却、ゴミとして捨てる、どの方法選んだ場合であっても、親の代わりに手続きや集積所へ持って行くなど自分が積極的に担当するのが、実家の片付けでもっとも重要なポイントです。

自治体での分別※ 売って処分
食器類 不燃ゴミ ・リサイクルショップ

・買取業者

・ネットオークション、フリマアプリ

衣類 ・可燃ゴミ

・資源ゴミ

・リサイクルショップ

・買取業者

・ネットオークション、フリマアプリ

家具 ・粗大ゴミ
家電 ・粗大ゴミ

・不燃ゴミ

・リサイクルショップ

・買取業者

・ネットオークション、フリマアプリ

リサイクル対象家電 ・自治体での処分不可 ・リサイクルショップ

・買取業者

・ネットオークション、フリマアプリ

・資源ゴミ

・古紙回収

・古本屋

・ネットオークション、フリマアプリ

貴金属・アクセサリー ・不燃ゴミ ・リサイクルショップ

・買取業者

・ネットオークション、フリマアプリ

・質屋

※一般的な分別です。分別ルールは自治体によって決められているので、お住まいの地域でご確認ください。

片付けない親の気持ちを理解する

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実家を片付けない親の気持ちを理解すると、片付けに対するアプローチ方法が分かるようになります。

親が片付けに消極的な場合、次のような理由が考えられます。

1.片付ける必要がない

実家は「とりあえず置いておく部屋」が広いのでモノが溜まり、片付けにくくなります。

日本では両親と子ども2人の4人で住んでいる3LDK以上の家に、子どもが独立した後もそのまま住み続けることが一般的です。子供が独立した後の部屋は特に使い道もなく、物置状態になります。

子供部屋は2階に2部屋作られている間取りが戸建てには多いです。両親は年齢が上がるにつれて階段を上ることが膝や腰の負担になるので、2階は使わないスペースとなってしまいます。

人数に対して部屋が広すぎるので、使わない不用品を処分するタイミングを失い物が多くなり片付けるのが難しくなります。

2.もったいなくて捨てられない

年配の方の中には、物に対する価値観が若い世代と異なる方もいます。

日本には「もったいない」を美徳とする考え方も古くから存在し、物を捨てることに罪悪感を覚えるケースが高齢者に多く見られます。そのような場合、まだ使える物を捨てるのは悪いことであり、物を持ち続けている=大切にしているという価値観に基づいて物を保管し続ける方もいます。

また、写真や子供の描いた絵、プレゼントなど思い出の品が実家には溜まりやすいです。
「もったいない精神」と「思い出」が詰まっているので実家にはモノが多くなり、実家は片付けにくくなります。

3.片付ける体力がない

年齢を重ねるほどに体力や判断力、認知能力は低下します。個人差はありますが高齢者では脳の前頭葉という部分が衰えて判断力が低下する傾向があり、認知症の方ではとくに顕著になります。

判断力が低下すると捨てる判断が苦手になり、不用品が実家に溜まっていきます。モノは多いほどのどこに何がしまってあるかを覚えるのが難しくなりますし、収納や整頓にも時間と手間がかかります。

体力も年齢とともに落ちていきますので、20年前には全く苦にならなかったゴミ出しすらも70代以上になると面倒な仕事になってしまいます。

捨てるための判断力、不用品を処分するための体力が落ちるため実家はますますモノにあふれ、片付けにくくなってしまいます。

片付けられない3つの特徴・片付け上手になれる部屋とたった3つのコツ

親の説得5つの理由~整頓された実家は居心地がいい~

実家,片付け

親が実家を片付けることに消極的な時には、メリットを説明し説得してから進めます。

1.事故・病気のリスクを減らす

実家を片付けることで、事故や病気のリスクを減らせることを伝えると説得しやすくなります。

不要なものを捨てたり物の配置を変えたりすると、生活動線がシンプルになるので安全な暮らしにつながります。年齢が上がるにつれて、歩く時に上げる足の高さが数ミリずつ低くなり、じゅうたんほどの小さな段差でもつまずきやすくなってしまいます。自分の家で転倒後、大腿骨を骨折してそのまま車いす生活になってしまう方も少なくありません。

また、片付けは病気の予防にもつながります。
部屋を衛生的に保てば埃やカビのアレルギーやダニ刺されなどを減らすことができ、物が減れば必要な物を見つけやすくなるのでストレスを減らす効果もあります。
実家の片付けは健康寿命を延ばすことにも繋がると説得すると、両親も応じてくれる可能性が高くなります。

2.両親の介護に備える

実家を片付けると介護動線が確保しやすくなり、自信が介護を任されるときもケアスタッフに来てもらう時もストレスがなくなります。

介護動線とは、介護される本人や家族、介護スタッフが動きやすくするための道すじのことです。廊下や寝室の障害物を取り除くことがすぐにでも始められる介護導線作りになります。片付けが進むと将来に備えて階段に手すりをつけるなどバリアフリーに向けたリフォームもしやすくなります。

今が元気でも両親はかならず、自分より先に老いていきます。
実家の片付けは老後の生活を快適にする家づくりだと説明すると、片付けに対して前向きになってくれることもあります。

3.生前整理になる

生前整理すると物の場所が把握でき、不用品をあらかじめ処分できるため、親の死後に行う遺品整理の手間を減らせます。
ものだけではなく、遺産や価値のある遺品を生前贈与すると税金対策になることもあります。

所有者である親がいなくなった時点で残された家も家具も写真1枚も全てが遺品になります。戸建ての場合には5人以上のスタッフが作業しても2日以上の時間がかかりますし、費用は20万円以上を超えることも少なくありません。

遺産相続で子供世代が揉めない様子する効果もあると説得すると、片付けに応じてくれやすくなります。

4.空き家対策になる

実家を片付けると、将来的には空き家対策の効果もあります。
両親から家を相続した時に家の状態がよければ売却が可能ですし、賃貸にして家賃収入を得ることもできます。家の価格は周辺環境や駅までの距離など立地に左右されていましたが、新型コロナウィルスの影響で田舎の古民家の需要が増してきました。

リモートワークが主流となっているIT系企業に勤める方は住む場所の制約が少なく、利便性が悪くても広い家や静か田舎に住み替えるケースも増えています。

実家の家が片付いていれば、売却や賃貸、民泊に出す手続きなどもスムーズになります。

一方で、親の死後も遺品整理せずに実家を放置していると、「特定空き家」に指定されるリスクがあります。特定空き家は衛生上有害で倒壊の危険がある場合などに自治体から指定されるもので、固定資産税が6倍になり、50万円以下の過料が課される場合もあります。

実家をきちんと片付けておくと、空き家管理の手間も減るのです。

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5.両親が快適に暮らせる

実家の片付けは、両親の快適な暮らしのために行うと伝えると説得しやすくなります。子供の都合で捨てさせられるのではなく、「使わない物を手放して快適な住環境を作る」ことに注目してもらいましょう。

片付いた家で、そのあとどんな風に生きたいのかという想像を膨らませます。子供が独立して時間とお金にゆとりがある時期だからこそ、これまで出来なかった趣味や夢を、片付いた家で実現できるのです。

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今すぐ片付けるべき実家の特徴3つ

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今すぐに片付けた方がいい実家の状況をご紹介します。片付けられない背景には認知症などの病気が潜んでいることもあり、このまま放置するとゴミ屋敷にもなりかねません。

1.床が見えない部屋がある

床が見えないほどにものが積まれているときは今すぐに片付けを始めた方がいい実家の状態です。今は使っていない2階の1室などであっても緊急性は変わりません。

使っていない部屋がいっぱいになったときには、廊下やリビングなど生活スペース
までモノがあふれてくることが考えられるからです。キッチンや洗面など狭いスペースでも同様です。範囲が狭いうちに片付ける習慣や整えられた家が当たり前という感覚を取り戻すことが必要です。

一度片付けても元の状態に戻ってしまったり、親が家の状態に危機感を覚えていない時には「認知症」や「セルフネグレクト」などの病気に気づくきっかけにもなります。
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2.期限切れの食品・備蓄品が多い

キッチンに賞味期限切れの食料品が引き出しいっぱいに詰め込まれているときや使用期限が切れた乾電池、ガスボンベなどの備蓄品が5個以上ある時も片付けをサポートした方がいいです。

災害や緊急時に備えてストックを持つことは大切ですが、期限が切れていることに気づいていない状態は危険です。賞味期限切れを気付かずに食べたり、使用して事故になったりする可能性もあります。

キッチンの戸棚や冷蔵庫を確認して、期限がきれている食品があれば親と一緒に片付けてあげましょう。

3.貴重品が行方不明

貴重品の管理ができていない時も今すぐ片付けサポートが必要です。
あるべき場所に現金や印鑑、通帳がない時には親族間で疑心暗鬼になり、トラブルに発展することもあるからです。

生活に必要な貴重品を管理できていないことは認知症が始まっていること考えられます。遺品整理では畳の下や冷蔵庫など思いもよらない場所から印鑑や現金が発見されることがあります。

親が自分で貴重品の管理ができていない状態になっていることに気づいたら、今すぐ片付けや身の回りのサポートすることをおすすめします。

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片付け業者に依頼する

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自分で手が付けられない時には業者を利用するのも選択肢の一つです。不用品回収業者、遺品整理業者、便利屋が当てはまりますが、仕分けも相談したい時には遺品整理業者がおすすめです。

遺品整理業者に依頼した方がいい目安と料金や流れをご紹介します。

業者に依頼する目安

実家の片付けを業者に依頼する目安は以下の4つです。

1. ゴミ屋敷になっている
2. 実家が遠くて何度も通うのが困難
3. 片付けようとすると親子間で言い争いになる
4. 介護や施設入所など急いで片付ける必要が生じた

特にゴミ屋敷になっているときには、近隣からの苦情が来ていることがあるので早急な対処が必要です。玄関から床も見えないほどにゴミが積まれているときには、2トントラック2台以上のゴミが排出されるので、素人だけで片付けるのは難しいです。

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実家の片付けの相場費用

実家,片付け

実家の部屋1つを片付けてほしい場合には以下の表が費用の目安になります。家具や家電など数点であれば、出張費用3000円と品目別回収費用の合計金額となります。

例えば、ベッドと学習机のみの回収の場合は約21,000円で、粗大ゴミに出すよりは高くなりますが、運び出しをしてくれる点と自分の都合がよい時に来てくれます。実家の片付けが週末にしかできない方に利用されています。

間取り 料金相場 作業人数 作業時間
1R・1K 30,000円~80,000円 1~2名 1~3時間
1DK 50,000円~120,000円 2~3名 2~4時間
1LDK 70,000円~200,000円 2~4名 2~6時間
2DK 90,000円~250,000円 2~5名 2~6時間
2LDK 120,000円~300,000円 3~6名 3~8時間
3DK 150,000円~400,000円 3~7名 4~10時間
3LDK 170,000円~500,000円 4~8名 5~12時間
4LDK以上 220,000円~600,000円 4~10名 6~15時間

※上記金額は概算費用です。
※ゴミ屋敷清掃などが必要な現場の場合は料金が大きく変わるため、事前の訪問見見積もりで実際の金額を確認する必要があります。

実家の片付け費用の内訳

遺品整理業者の費用内訳は人件費、車両費、処分費用、作業時間から決まります。業者によって見積書の書き方は異なりますが、内容や料金は以下が相場です。

・人件費:1日当たり1人約10,000円
・車両費:2tトラック1日約80,000円
・処分費:1tあたり約50,000円
・時間:(人件費+車両費)×日数

これらに追加してオプション費用として、エアコンの取り外し、ハウスクリーニング、エレベータ料金、ゴミ屋敷清掃などが加算されます。
リサイクル品の買い取り対応可能な業者の場合、買い取れる物は買い取って、合計料金から差し引いて金額を出します。

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片付け業者が実家を片付ける流れ

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1. 問い合わせ・日程調整

まずは業者に連絡を取り、事前訪問の日程を決めます。
電話やビデオ通話で概算の見積もりは可能ですが、基本的に訪問見積もりが必要です。処分する品名や数が明確な場合には電話だけで料金の確定から予約までできる遺品整理業者もあります。

1部屋全体など量が分からない場合や分別作業から依頼する時には、必ず訪問見積もりが必要です。

2. 見積もり・契約

業者が片付ける部屋で回収するものや片付ける場所を見て金額を提示します。
見積もり時に買い取り可能な物は整理料金と相殺できるケースが多いので、事前訪問のとき確認すると安心です。

見積金額や契約内容に納得できる場合は契約に進みます。

3.作業と支払

作業日当日は業者が搬送ルートや壁を養生するなどの準備を整え、作業が始まります。
物の仕分け・分別・梱包を行い、不用品は搬出されます。搬出後には簡易清掃を無料オプションで付けている遺品整理業者も増えています。
作業が完了したことを確認してから、支払をします。

実家の片付け業者の選び方とポイント

実家,片付け

片付け業者は価格だけで選ばず、希望の内容に当てはまる業者を選びましょう。

1. 費用で比較する

相見積もりを取ると相場費用が分かるため、契約前に3社程度に見積もりを頼むことをおすすめします。
製造から3年未満の家電は市場で需要がありますので、買取され、合計金額から相殺されることがあります。

回収を依頼したいものが家具、家電数点で、品物名が電話で明確に伝えられる場合は電話だけで概算料金を教えてくれる遺品整理業者もあります。

2.遺品整理士、女性スタッフの在籍

遺品整理士は一般社団法人遺品整理士認定協会が認定する資格であり、遺品の扱いや廃棄・リサイクルに関する専門家です。親が片付けに乗り気でない場合は、有資格者の意見でスピードが上がることもあるため、遺品整理士在籍の業者をおすすめします。

また、男性に見られたくないなどの希望がある場合には、女性スタッフに依頼できるかどうかもポイントとなります。

3.スタッフの教育

事前訪問に来たスタッフの印象が良いことが、最低条件です。
作業内容や料金体系が正確な業者は、スタッフ教育も行き届いています。
遺品整理業者は接客業であり、身だしなみや清潔感に気を配れる業者は、依頼者に満足してもらうための努力をしていると言えます。
会社としての体制が整っている業者は、ひげや髪の色などの身だしなみを毎朝チェックしています。

スタッフの知識があるとさらに安心です。
例えば、回収後の不用品の処分方法を聞いたとき、リサイクルのルートを詳細に答えられる業者は、社員一人一人が回収業の全体像を把握していると言えるので、信頼性が高くなります。

作業当日は立ち会う

作業当日に立ち合うことで、業者トラブルを避けることができます。高齢者宅には高額なタンス預金があったり、衣類ポケットや本棚などから現金が見つかったりするケースが多いです。現金の持ち去りトラブル防止には、立ち合いが有効です。
また、思い出の品を誤って廃棄されるリスクも、立ち合いによって防げます。

実家の片付けのまとめ

・実家を片付けるならまずは、自分の部屋を片付けることからスタートする。
・実家の片付ける2つのタイミングは「実家の汚さが気になったとき」と「実家が空き家になったとき」
・実家の片付け5つのコツ
1.親と一緒に進めることでお互いに気持ちよく進められる
2.兄弟に相談すると不公平感がなくなり、相続時にも揉めにくくなる
3.片付けは親とゴールと目的を共通にする
4.計画的にゆとりを持って進めると挫折しにくい
5.引き出しの1段だけやキッチンだけなど、小さな1区画からすすめて、徐々に範囲を広げていく

・実家の片付け5つの手順
1.親と一緒に残すものや残したいものを決める。捨てる物から決めない。
2.一時保管の箱を作り、迷ったものはすぐに処分しない
3.食品や衣類など買い直しのきき、捨てやすいものから仕分けする
4.家具や家電など粗大ゴミや書類、写真など判断に時間がかかるものは最後に取り掛かる
5.処分方法は自治体のルールを守って捨てる。貴金属やブランド品は買取業者を利用するといい

・「片付ける必要がない」「もったいなくて捨てられない」「片付ける体力がない」という親の気持ちや状況を理解することが大切
・親の説得5つの理由
1.事故・病気のリスクを減らす
2.両親の介護に備える
3.生前整理になる
4.空き家対策になる
5.両親が快適に暮らせる

・今すぐ片付けるべき実家の特徴3つ
1.床が見えない部屋がある
2.期限切れの食品・備蓄品
3.貴重品が行方不明

・自分たちで片付ける時間がないときには片付け業者に依頼するという選択もある
・実家の片付けにかかる費用は部屋の広さや物の多さに比例して高くなる
・片付け業者が実家を片付ける流れは「問い合わせ・日程調整」「訪問見積もり」「作業・支払」と3ステップで終わる
・実家の片付け業者の選ぶときは「費用」「スタッフの対応」を重視するといい。
実家,片付け

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