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遺品整理

生前整理で5つのやることリストー自分のためと家族のために始める時期



【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子

祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけること仕事のやりがいとしています。


生前整理とは

生前整理とは、生きているうちに財産や持ち物を整理しておくことで、幅広い年齢層の方々に広がっています。目的は2つあり1つは遺される家族の負担を減らすため、2つ目は自分自身の残りの人生を豊かに過ごすためです。

生前整理をして、持ち物を最小限にするとフットワークも軽くなります。

家族のための生前整理

生前整理

生前整理によって遺された家族の負担を減らすことができます。

自分が亡くなると持ち物はすべて「遺品や相続の対象」になります。遺品整理は故人との思い出もあるので処分が難しく、家族の心の負担になります。また、遺産相続は家族間の配分でトラブルになることもあります。

生前整理は遺品整理や相続の問題を避け自分がいなくなった後の家族関係を良好にする効果もあります。

自分が身体的に不自由になった場合や、認知症で介護が必要になった際は、施設へ入所する選択肢もあります。施設へ持ち込める荷物は限られているので入所時の荷造りが楽になります。

自分のための生前整理

生前整理

生前整理をして優先順位の低い人間関係や持ち物を減らすと、好きなモノだけに囲まれて過ごすことができます。

生前整理は財産や生活における収入・支出の把握、そして医療、介護、葬儀…など今まで触れなかった部分も考えることになるでしょう。財産ややり残したことを具体的に把握すると、漠然とした不安を軽減し、後悔のない人生にもつながります。

生前整理のデメリット

生前整理

生前整理することを伝えると、家族が自分の死を想像して悲しむケースがあります。

特に持病がある場合や余命宣告された直後などは家族の心が乱れ、気持ちが沈んでしまう可能性があります。家族の気持ちが心配な時は、食事中やリビングでくつろいでいるときなどかしこまらず、「生前整理についてどう思う?」と家族の生前整理の捉え方を伺うところから始めます。

家族が生前整理に対してネガティブなイメージを抱いているときには、何のために行うのか、どのようなメリットがあるのかを焦らず、時間をかけて説得しましょう。家族が納得し、協力的だと生前整理がより深い内容まで行えます。

生前整理の説得例
生前整理は家族の協力があると、財産分与や不動産の相続など深い内容まで詰めることができますし、不用品の処分も人手は多い方がはかどります。家族には前向きな理由で説得すると賛同を得やすくなります。

例えば、不用品を減らすことで身軽になり、生活導線がすっきりして安全になることや不要な家具を処分することでスペースが空き、新しい趣味を始められるなどが前向きな理由に当てはまります。

生前整理はこれからの家族のために行う作業でもあるので、不安症や心配性な家族には話さずに進めることも選択肢の一つです。

生前整理を始める時期

生前整理

生前整理は早く始めた方が、時間がかけられますし、体力にも余裕があります。また、不慮の事故や病気で身体が不自由になる可能性も年齢と共に上昇します。

自分の意思が伝えられなくなった時に問題が起きないよう、そして家族が慌てないためにも思いたった時から生前整理を始めることをおすすめします。

年代によって「生前整理」を行う目的や内容は異なってきます。

20代~30代

20〜30代の間は就職や結婚・出産など人生の転機を経験する方が最も多い年代です。

就職すると自分の財産が増え、結婚すると生活を共にする人数が増え、自分に関わる人やモノが増えていきます。

この年代は身辺整理や断捨離の意味合いが強い生前整理をするとよいでしょう。仕事も家庭も変化がある時から自分の持ち物と資産を管理する習慣をつけると、計画的な人生を送ることができます。

40代~50代

40〜50代は「老前整理」をメインにした生前整理を行う絶好のタイミングです。

子供が就職や結婚で独立すると、家族構成が変わり家具や部屋が余ります。また年齢を重ねるとともに庭の管理も億劫になってきます。郊外の戸建てに住んでいる場合は、収入もあり、体が動く40代から50代のうちに都心のマンションへの住み替えを検討するのも選択肢の一つです

一方、親の世代は60〜70代になり急激に親の衰えを感じ始める時期です。介護や医療、葬儀への現実味が増すので詳細にシミュレーションできるようになります。子供や孫、両親との関係性を見つめつつ生前整理を行うことができる年代です。

経済的・体力的にゆとりがある40〜50代に始めることは転居や副業など、今後の選択肢も増やすことにつながります。

60代以上

生前整理

生前整理を本格的に初めた方がよいのが60代以上で、中でも定年を迎えた後は小規模でも身辺整理をするとよいです。

身近な友人の親の訃報が増え、遺された家族の悩みや不満を聞く機会も増えるので、自身の生前整理を行う参考になります。子供も成人しているので財産分与の話や不動産・お墓の相続の話がしやすくなります。

介護施設に入所する時

介護施設に入所することが決まったときは「断捨離」を中心とした生前整理を行います。
入所時の荷物は最小限のモノだけです。介護施設では一般的に4段ほどの衣装ケースとロッカーしか収納スペースがありません。病院の個室をイメージすると分かりやすいです。

具体的な断捨離の方法は次の項目を参照してください。

家族が施設へ入所する際は配偶者や子供が生前整理をする場合が多いですが、本人の意思を尊重しましょう。現実的には、またいつか家で生活することが叶わない場合も無理に処分させるのは家族間での溝を生みかねません。

絵やバッグ、食器など愛着のある持ち物を処分するのは本人にしか分からない寂しさが伴います。

入所時の荷物は生活に必要なもの、次に生活に直結しなくてもそばに置いておきたい大切なものを少しだけ、を意識すると荷造りがしやすくなります。入所するのが自分、家族、どちらの場合においても生前整理をする本人の意思を尊重することが今後の家族関係を良好にします。
断捨離で後悔しない方法は【断捨離で後悔したモノ8つ・失敗しない3つのコツで捨ててよかった】をご覧ください。

生前整理で5つのやることリスト

生前整理

生前整理でやることは大きく分けると5つありますが、最初から1つずつ完璧にこなす必要はありません。満遍なく手をつけると途中で挫折することが少なく進めることができます。

1.物の仕分けと処分

持ち物の生前整理から始めるとよいです。モノの整理作業は効果も目に見えやすく、判断能力も数をこなすごとに鍛えられていくので徐々にスピードが上がってきます。

家族が遺品整理時に最も処分に困るのは思い出の品です。
例えば、アルバム、本、ビデオ、DVD、手紙、日記、衣類や食器など思い入れのあるモノです。アルバムや手紙、書類は中身を確認しながら捨てる必要があるので、本人ですら捨てずに放置していた思い出の品を家族が処分するのはとても困難ですので、自分で整理します。

家の中のモノを処分する時の基準(例)
1.1年間「使っていないモノ」はすぐに処分。
2.1年以上使ってはいないが、「捨てたくないモノ」は残す。
3.1年以上使っていないが、迷うモノは1箇所に「保留」としてまとめ、最後にもう一度確認する。「保留にしたモノは死後に処分する」と書き残すと家族が遺品整理時に困らなくなります。

モノを減らすとタンスや棚など収納家具も不用になりますので、家具類も極力減らしておくと遺品整理をする際に家族の経済的・体力的負担を減らせます。

生前整理の練習
本格的な生前整理を始めるのに不安がある時は、普段使っているカバンの中身で断捨離の練習をしてみます。カバンの中身を全て取り出し「使っている」「使っていない」で分けます。

「使っていないもの」はすぐに処分した方がいいのですが、お守りなど処分できないモノも出てきます。すぐに捨てられない時は「保留」として1つの箱にまとめ、1ヶ月以内に再度判断します。

身の回りの生活必需品を「そばに置いて大切にしたいもの」の判断で選ぶようにするのも、不要なモノを減らすコツです。

2.財産目録の作成

生前整理

財産目録とは自分の所有する財産をまとめた一覧にしたもので、作成すると資産の把握ができるので遺言書の作成もスムーズに進みます。

財産には現金や預金、家、土地、車、有価証券、宝石や骨董品など資産だけでなく、未払いの税金や借金など負債も記載します。財産目録には決まった書式はないので、自分の好きなノートや書き方で問題ありません。

弁護士、税理士、司法書士、行政書士へ作成を依頼することも可能ですし、自分で作成した後に財産目録を基に相談すると、生前贈与で相続税の対策の相談をすることもできます。士業へ依頼する場合、費用はかかりますが見積もりだけなら無料です。

財産目録は家族間のトラブルを回避する
財産目録の作成は法律上義務付けられていませんが、相続人に心労をかけないためにも作成するのがおすすめです。

遺産分割を行う際には、相続人全員で遺産分割協議を行います。財産の量や種類が正確にわからないと家族間で争いになり、収拾がつかない時は遺産分割調停にまで発展することがあります。

弁護士や裁判所など第三者の介入で公平に財産は分けられますが、一度壊れた家族関係が元に戻ることは困難です。

3.遺言書の作成

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財産の行方について自分の意思を反映させたいときは正式な遺言書を残しましょう。また、預金が100万円であっても自分の死後、全ての資産は相続対象になります。相続人となった配偶者や子供は遺された資産に動揺することも考えられます。
自分の資産を家族間のトラブルの種にせず、遺志を残すなら遺言書の作成は必要です。

弁護士や公証役場を通して作成した遺言書は法的効力があります。
遺言書は「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類でそれぞれ決められた書き方があります。誤った書き方は無効になるので作成からチェック、保管まで任せられる「公正証書遺言」を選ぶとよいです。

作成費用は手数料令という政令で法定されています。
目的たる財産の価額が高いほど手数料は高くなり、100万円以下の場合は5,000円、100〜200万円の場合は7,000円などと価額により手数料が決められています。

200万円以上1億円以下の財産を遺言書に記載される方が多いので、手数料相場価格は11000円~50000円となっています。
参考:日本公証人連合会 公証役事務

相続人がいない時の遺言書
配偶者や子供がいなくても財産を受け渡したい人や団体があれば、遺言書を作成しましょう。法定相続人がいない遺産は国庫に帰属することとなります。

4.エンディングノートの作成

生前整理

エンディングノートは自身が亡くなった後の要望やメッセージを家族に残すためものです。法的効力はなく、形式や内容も決められていないので、葬儀の方法や医療や介護についての希望など自由に記載できます。

例えば「臓器提供の意思表示」「ペットの預け先」「延命治療の有無」など家族が判断に困る内容を書いておけば、自身が不慮の事故にあった時の判断材料の一つになり、家族の負担軽減につながります。

好きなノートに自由に書いて問題ありませんが、エンディングノートとして市販や発行されているものは必要な項目がまとまって書きやすいです。書店やネットから1,000円程度で購入可能ですし、葬儀社やお寺、役所の福祉課で無料配布していることもあります。

エンディングノートには法的効力がないため書いたもの全てが叶う確証はありません。自由に気持ちや要望をつづり、内容の変更や修正を気軽にできるのがエンディングノートの良い点です。

エンディングノートについては【エンディングノートで資産や希望を明確にする10項目―無料配布先も】をご覧ください。

5.家族と話し合い

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生前整理を成功させるには家族との話し合いが必要不可欠です。できれば不用品の断捨離や解約手続きは一緒に進めていくとよいです。

一緒にアルバムや不用品の仕分けを進めることで思い出を共有し、自分の想いを自然な言葉で伝える機会ができます。家族の今後の人生計画や自分に対する想いも聞けるかもしれません。

家族と話し合うとよい項目にデジタル遺品が挙げられます。

デジタル遺品

生前整理

不要なデータや使っていないサービスは目についた時に削除、退会をします。
デジタル遺品を完全に削除せずに端末の売却・処分を行うと個人情報第三者に悪用される恐れがあります。

デジタル遺品とは携帯電話やパソコンとその中に入っているメールや画像、動画、そしてネット上で存在するSNS、ネット証券、ネットバンクなど各種アカウント情報を指します。

動画や写真のデータ
動画や写真は人によっては1,000枚以上の写真が残されていることもあるので、遺族が一つ一つ確認するのは時間と根気がかかる作業です。端末に残された画像や動画を家族が確認することなく処分できるよう、大切なデータだけはSDカードやUSBメモリに分けて整理します。

SNS・ネットバンク・ネット証券

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SNSのサービスによっては自分の死後に追悼アカウントを残す、もしくは削除するなど選択しておくことができます。追悼アカウントとは削除せず過去の投稿閲覧や思い出のシェアなどが可能なサービスです。

SNSのアカウントやネットバンク、ネット証券の存在を家族が知らないこともあります。エンディングノートや遺言書にログイン情報(ID/パスワードなど)を記載しておきましょう。

スマートフォンやパソコンは急に壊れてしまうことがあり、ログインできないこともありますので紙媒体で残しておいた方が無難です。

2021年1月27日現在ではサービスの不正利用防止のため、2段階認証の導入が増えています。念のため携帯やスマートフォンのパスコードも記載しておくとよいでしょう。

定額サービス
AmazonプライムやNetflix、オンラインサロンなどの定額サービスに加入していることを家族が知らないことが多いです。定額サービスの支払いはクレジットカード払いが主流で、特に初月無料で試しに加入したオプションサービス (Yahoo!プレミアムなど)は自分でも解約し忘れが多いので要注意です。

使わなくても解約しなければ支払い義務は続きます。
クレジットカードの利用明細を確認し不要なサービスに気づいた時は、すぐ解約の手続きをしておきましょう。「サービス名 解約」で検索すると解約方法が見つけられます。

デジタル遺品の処理や取り扱いは【デジタル遺品のトラブルの3つ!パスワードが分からないときの対処法】をご覧ください。

生前整理で専門業者をする

生前整理

専門業者を利用すると、生前整理が早く正確に進み負担を軽減することができます。自分で行えるものと専門業者の意見を聞く領域とを分けて使うとよいでしょう。
生前整理と関わりがある専門業者を3つ紹介します。

生前整理アドバイザー

生前整理アドバイザーは、生前整理普及協会が認定する民間資格で、生前整理での悩みや疑問を知識や経験から解決します。

生前整理アドバイザー資格は2級/準1級/1級とランクがあり、1級取得時には法律関係の知識も学ぶため、家族や親しい人の遺言書作成をサポートすることも可能です。

生前整理アドバイザーは遺品整理業者や介護施設、不用品回収業者のスタッフがスキルアップの1つとして取得することが多いです。生前整理アドバイザーと一緒に仕分けや分別、写真を残す基準などを聞きながら生前整理ができるサービスを提供する遺品整理業者もあります。

遺品整理業者

遺品整理業者の9割以上は生前整理も行なっています。
生前整理の中でも不用品の処分時に利用すると効果的です。特に大型家具や家電の運び出し、処分に慣れており、海外への輸出やリサイクルショップの販売ルートも持っています。そのため価値のあるフィギュアや骨董品、家電、コレクションなどの買い取りも可能です。

遺品整理業者には生前整理士や終活アドバイザーの資格を持つスタッフもおり、電話の相談は無料で受け付けている業者も多いです。遺品整理業者サイトの会社概要の資格欄からスタッフが持っている資格を確認できます。

弁護士・司法書士など士業

生前整理

財産の分配や管理を法的根拠に基づいて正確に生前整理したい時は、士業を利用することをおすすめします。以下の士業はあれば公正証書として遺言書等の作成が可能です。

税理士 相続税の試算や財産目録の作成。相続税申告が必要な場合。
弁護士 遺産分割業儀の作成や家庭裁判所へのトラブルの解決。
司法書士 相続人や相続財産の調査、遺言書や遺産分割協議書の作成。
行政書士 遺言書の作成。弁護士より費用が抑えられる可能性がある。
ファイナンシャルプランナー 資産の有効な使い方や運用方法が相談できる

上記の中でファイナンシャルプランナーやFP技能士だけは民間資格と国家資格の両方があり、1級、2級、3級と3つのランクがあり、2級以上の資格であることが望ましいです。
ファイナンシャルプランナーは、銀行やハウスメーカーの紹介ではなく、フリーで活動するファイナンシャルプランナーから中立な意見を聞くことをおすすめします。1回の相談料で3万円以上が相場価格ですが、専門家を交えて資産運用ができるので費用対効果が高いです。

生前整理のまとめ

生前整理は家族の遺品整理時の負担を減らすことと、自分の残りの人生を不安なく過ごすために行うことで、財産や不用品、家族との話し合いなど内容は幅広いです。生前整理はいつから始めても良いですが、60代以上の方は積極的に取り組むことをおすすめします。

正解や決められたゴールがなく、目的を見失いやすいので自分の中でのゴールや目標を決めると満足度の高い生前整理になります。