親の遺品が捨てられない5つの理由と7つの解決策
親の遺品が捨てられず、遺品整理が止まったままになっていませんか?
「こんな方におすすめの内容です」
・親の遺品を捨てることに心理的な抵抗がある。
・捨ててよいかどうかの判断がつかない。
・遺品が多すぎて、どのような作業から取りかかったらよいか分からない。
・それぞれの遺品の捨て方がわからない。
この記事では親の遺品が捨てられない人に向けて、捨てられない理由や遺品整理をスムーズに進めるためのポイントなどを解説します。
【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子
祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとしています。
親の遺品を捨てられない5つの理由
親の遺品を捨てられない理由として、次の5つが挙げられます。
1.心の整理がまだついていない
2.遺品を捨てることに罪悪感がある
3.何から手を付けたらよいか分からない
4.遺品の処分方法が分からない
5.遺品整理をする時間がない
それぞれについて解説します。
1.心の整理がまだついていない
親が亡くなったことへの悲しみや喪失感が強くて気持ちの整理がついていない場合には、遺品を捨てようという気持ちはなかなか湧いてきません。遺品整理は親の死を直視することになるので、ますますつらくなってしまうのです。
さらに、賃貸物件で退去日が迫っていたり、自分のスケジュールの都合ですぐに遺品整理を終わらせなければならなかったりする場合には、焦って混乱してしまうケースも少なくありません。
2.遺品を捨てることに罪悪感がある
故人の愛用していた遺品を処分することに罪悪感があり、捨てられないという人もいます。故人がいつも身に着けていたものや写真、手紙などを捨てると、故人をないがしろにしている気持ちが湧いてしまうことがあります。
また、人形やぬいぐるみなどの遺品は、「ゴミとして処分したらバチが当たるのでは……」という不安から罪悪感を覚える場合があります。
3.何から手を付けたらよいか分からない
家の中いっぱいに遺品があふれていて何から手を付けたらよいか分からない状態だと、なかなか遺品整理に踏み切れません。よくわからない書類など、捨てて大丈夫かどうか自分だけでは判断できない遺品もあります。
また、遺品のなかでも資産価値のあるものは遺産分割協議の対象になるため、自分一人では取り扱いを決められない場合があります。捨ててよいかを他の相続人と相談しなければならず、確認の手間がかかるので捨てられないまま時間が経ってしまいます。
4.遺品の処分方法が分からない
家電や家具、仏壇やひな人形など、処分したいけれど捨て方が分からない遺品が多いと遺品整理が進まなくなってしまいます。
ものを捨てる際には、それぞれのルールに従って処分しなければなりません。たとえば、テレビや冷蔵庫などのリサイクル家電は、粗大ゴミ回収の対象外です。大型家具は粗大ゴミ回収に出せますが、粗大ゴミの回収ルールは自治体ごとに異なるので実家のある地域での手順を調べる必要があります。
また、仏壇やひな人形を捨てる際には、「ゴミに出すのではなく供養したほうがよいのでは?」と考える人も多いです。品目ごとに処分方法が異なるため、捨て方が分からないと遺品整理を進めることができません。
5.遺品整理をする時間がない
仕事や家庭の都合などにより実家の遺品整理を行なう時間が取れないのも、遺品整理がはかどらない理由のひとつです。とくに、遠方に住んでいるためなかなか出向けないというケースでは、遺品整理にかける時間を取れないという人も多く見られます。
また、せっかく可燃ゴミなどとしてゴミ袋にまとめても、収集日当日の朝に実家に出向く時間がとれなければ排出できず溜まってしまいます。遺品整理に関わる時間を取れないと、捨てられないまま遺品整理が長期化してしまうのです。
遺品を無理なく捨てる7つのコツ
精神的・身体的な負担を少なくして遺品を捨てるためのコツは、大きく分けて7つあります。
1.気持ちの整理を最優先する
2.形見分けや供養をする
3.寄付、リサイクル行なう
4.遺品の買取を利用する
5.遺品をリメイクする
6.デジタル化を活用する
7.一人で抱え込まず業者を活用する
自分の状況に合わせてこれらの方法を選ぶと、無理なく遺品を手放すことができます。
1.気持ちの整理を最優先する
親が亡くなり、精神的に大きなショックを受けるのは当然のことでもあります。そんなときは悲しい気持ちに無理矢理ふたをするのではなく、時間をかけて心が鎮まるのを待つことも大切です。
遺品整理には「いつ始めなければいけない」というルールはありません。そのため、気持ちの整理がつかないならば無理に捨てようとせず、死を悼む気持ちに丁寧に向き合うようにしましょう。
ただし、賃貸物件で退去日が迫っているケースのように、早めに遺品整理を終わらせなければならない場合もあります。そのような状況でも可能な範囲内で退去日を先延ばしにして気持ちの整理を優先したほうが、後悔が少なくなります。
どうしても先延ばしにできない場合には、後述するように遺品整理業者を利用して気持ちに寄り添いながら作業を進めるのがおすすめです。
2.形見分けや供養をする
遺品の形見分けや供養を行なうと、罪悪感をやわらげて遺品を手放すことができます。形見分けとは、遺品を親戚や友人に分けて故人をしのぶ風習のことです。形見分けは、四十九日が済んだ後に行うのが一般的です。
供養とは遺品や粗末に扱えない物品を故人の冥福を祈って手放す日本古来の方法であり、神社やお寺で行います。供養後に燃やす場合は、お焚き上げといいます。
形見分けや供養は故人を思いやって感謝する気持ちのあらわれであるため、後ろめたさや罪悪感を持つことなく遺品を手放せるのです。
3.寄付、リサイクル行なう
遺品を無駄にせず、必要としている誰かの役に立たせることができれば納得して手放すことが可能です。使用可能な状態の家具や家電が遺品として残っていたとしても、実家に置いたままでは本来の役目をまっとうすることができません。
使わないものは、いつかは誰かが捨てなければなりません。しかし、「壊れておらず使用可能なものを、捨てるのはいやだ」という気持ちが邪魔をして処分できないという人もいます。
そのようなときは、寄付やリサイクルで誰かに有効活用してもらうと自分の気持ちを落ち着かせることができるのです。必要としている人に渡して物品としての寿命をまっとうさせれば、故人にとっての供養にもなります。
4.遺品の買取を利用する
「もったいないから捨てられない」「この遺品はまだ使えるから捨てたくない」という場合には、買取業者に査定を頼むのもおすすめです。査定価格がつけば「捨てる」のではなく「売る」ことができるため、もったいないという気持ちが薄れていきます。
着物やブランド物、骨董品や貴金属、宝飾品、新品に近い状態の家電、車などは買値がつきやすいので、買取を検討する価値があります。また、お酒やコレクター品など自分では判断できない遺品も、その分野に詳しい査定員のいる買取業者に査定してもらうと高価買取されるケースが多いです。
遺品を売って得た現金収入で孫などの思い出になるものを購入すれば、故人をしのぶことにもなります。
ただし、遺品を売却するのは遺産分割協議が終わったあとにしましょう。まずは遺産分割協議を行って、遺産の分け方を相続人の間で決定する必要があります。遺産分割協議の前に勝手に売ってしまうと、相続トラブルに発展するおそれがあるため注意が必要です。
5.遺品をリメイクする
遺品を捨てずに、リメイクして残すという方法もあります。リメイクした故人の思い出の品を身に着けたり、そばに置いたりすると故人を身近に感じられるので精神的な安心感にもつながるのです。
たとえば、母親の愛用していた着物をバッグや傘にリメイクしたり、古いデザインの指輪を自分好みのアクセサリーに加工してもらったりする人もいます。衣類をぬいぐるみ用の服にしたり、布地を切って巾着にしたりとリメイクの幅は広いです。
簡単なリメイクであれば自分ですることも可能ですし、難しい加工はリメイク専門業者に依頼すれば安心です。すべての遺品を残すわけにはいきませんが、故人がとくに気に入っていたものだけを選んで身に着けることも供養のひとつといえます。
6.デジタル化を活用する
故人の姿が記録されている写真やビデオは処分しづらいものですが、画像・動画としてデジタル化すれば場所を取らずに大量保管できます。デジタル化するとデータコピーやバックアップを取るのも簡単になり、画像データを必要な分だけ写真用紙に印刷し直せるのも魅力です。
古い写真やビデオテープはカビが生えたり劣化していたりすることも多いですが、専門業者ではカビなどを取って復元してからデジタル化するサービスも提供しています。
デジタル化したファイル名に規則性をもたせればデータを検索しやすくなるため、紙のアルバムやビデオテープよりも簡単に見たいものを探せます。ただし、すべての写真やビデオをデジタル化するとデータ量が膨大になって管理しにくくなるので、必要なものを厳選してからデジタル化するのがおすすめです。
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7.一人で抱え込まず業者を活用する
遺品整理は一人で抱え込まずに、他の兄弟や相続人と一緒に遺品整理を進めるのが理想です。遺品整理を自分一人で行うと作業量の多さや精神的な負担から非常につらくなるので、できるだけ他の人の力を借りましょう。遺品の扱いに関する相続トラブルを回避するうえでも、他の相続人を巻き込むことは大切です。
しかし、実際には人手が足らない場合や周囲の協力が得られず自分が抱え込まざるを得ないケースもあるでしょう。負担が大きい場合には、遺品整理業者を活用することをおすすめします。
遺品整理業者では遺品の扱いに馴れた専門スタッフが故人や家族の思いに寄り添って作業してくれるので、遺族の労力やストレスを大幅に減らすことが可能です。
自分たちで親の遺品を整理する手順
自分たちで遺品整理を行なう場合には、次の4ステップで行います。
1.スケジュールを立てる
2.保管するものと処分するものを仕分けする
3.不用品を処分する
供養やお焚き上げをする
順序だてて作業しないと、無駄な工程を増えて遺品整理が長期化してしまうので注意が必要です。
1.スケジュールを立てる
遺品整理をいつから始めていつ終わらせるか、最初にスケジュールを立てます。遺品整理を行なうメンバーと、中心になって作業を進めるリーダーを決めましょう。どの部屋を誰が担当するかも、決めておくとスムーズです。きちんとスケジュールを共有してから遺品整理を始めると、効率よく遺品整理を進めることができます。
遺品整理の大変さは遺品の量や参加人数、家との距離によって大きく変わり、遠方の一軒家などでは半年以上かかるケースも少なくありません。遺品整理は長期化しやすいものであることを意識し、計画性を持つことが大切です。
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2.保管するものと処分するものを仕分けする
遺品整理をするときはまず、溜めこんだ新聞紙や肌着類のように迷わず処分できるものからゴミ袋に詰めていきます。そのうえで、保管する遺品と処分する遺品で仕分けし、悩むものは一時保留として段ボール箱などに集めていくのが効率的です。
残すものと捨てるものの基準や注意点は、次にお伝えするポイントを参考にしてください。
保管するもの
・捨てたら二度と手に入らないもの:アルバム、日記、故人の趣味のものなど
・資産価値のあるもの:貴重品、現金、通帳、保険証券、登記簿など
保管した遺品のうち、金銭的な価値のないものはあとで形見分けを行なうのが一般的です。形見分けの際は、遺言書があれば本人の意思を確認しましょう。遺言書やエンディングノートに形見分けの希望が書かれていないときは、誰が何をもらい受けるか遺族間で話し合って決めます。資産価値のあるものは、遺産分割協議の内容に従って取り扱います。
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処分するもの
・明らかに不用なゴミ:肌着や普段着、雑誌、壊れているものなど
・使わない寝具、家具、家電など
保管するもの以外の遺品は、基本的に処分することになります。迷わず捨てられる一般ゴミはゴミ袋に詰めていき、捨てるのに手間がかかる大型家具や家電などはいったん「処分するグループ」として仕分けしておきましょう。
3.不用品を処分する
処分するグループに仕分けした遺品は、自治体ルールに従って可燃ゴミ、不燃ゴミや資源回収などに出します。30cm以上など、自治体の規定サイズを超えるゴミは粗大ゴミとして出さなければなりません。自治体のルールを確認して粗大ゴミ回収を予約し、回収日の朝に排出します。
捨てずに寄付をする場合は、その物品を受け付けている寄付団体などのルールに従って送付しましょう。遺品の売却を行なう場合は遺産分割協議が済むまで保管しておき、相続した人が買取業者に査定を依頼するのが一般的です。
供養やお焚き上げをする
仏壇、神棚、人形などは、必要に応じて供養やお焚き上げを行ないます。供養・お焚き上げは、神社やお寺、専門業者などに依頼することが可能です。
一部のお寺や神社などでは、供養・お焚き上げをする物品の持ち込みや郵送を受け付けています。一年中受け付けている神社仏閣もありますが、正月など特定の期間以外は行っていない場合もあるので事前の確認が必要です。また、仏壇の閉眼供養などは、仏壇店でも依頼できます。
供養代行業者に供養をしてもらう場合は、ホームぺージなどから申し込んで費用を振込んでから、仏壇や人形などを業者に郵送する方法が一般的です。多くの供養代行業者は、供養後に供養証明書や証明写真を送付してくれます。
遺品整理がつらければ、遺品整理業者を活用する
自分で遺品整理を行なうのがつらい場合には、遺品整理業者を活用するのがおすすめです。遺品整理業者は亡くなった人の家をかたづける専門業者であり、一般的な不用品回収業者よりも遺品の取り扱いに慣れています。
たとえば、通常の不用品回収業者は金銭的価値の有無で物品の仕分けや処分を行ないますが、遺品整理業者は金銭的価値だけでなく形見としての重要性なども考慮して仕分けすることも可能です。
賃貸物件の退去日が迫っていたり、孤独死による即時退去が必要だったりと、一刻も早く遺品整理を済ませなければならない事情がある人にも遺品整理業者の利用が向いています。
遺品整理業者を利用するメリット
・最短1日で遺品整理が完了する
・故人や遺族の思いに寄り添った作業が可能である
・貴重品の捜索も依頼できる
・立ち合いなしでも作業が可能である
・遺品の供養に対応している業者もある
・遺品の買取サービスを利用できる場合がある
遺品整理業者は遺品整理のプロであるため、1日から数日程度の短期間で遺品整理を行なってくれます。親の遺品を整理するのがつらくて仕方ないという人は立ち合いなしで作業してもらい、必要に応じて確認すればよいので精神的な負担を減らせるでしょう。
遺品整理業者のスタッフは、依頼者の希望があれば思い出を聞きながら作業を進めるなどの柔軟な対応をしてくれます。そのため、自分の気持ちを落ち着かせながら遺品整理に向き合うことができるのです。
「収納スペースがなくて捨てざるを得ないが、思い入れのある遺品ばかりで捨てられない」と悩んでいる人でも、プロの意見を取り入れると納得して手放せるようになります。
遺品整理業者の選び方
遺品整理業者を選ぶ際には、遺品整理士が在籍している業者かどうかをチェックしましょう。遺品整理士は一般社団法人遺品整理士認定協会による認定資格であり、遺品の取り扱いや廃棄物・リサイクル関連の法規制についての知識を持つ遺品整理のスペシャリストです。
遺品整理業者にとって遺品整理士の在籍は義務ではありません。しかし、遺品整理士の在籍している業者を選ぶと、故人や家族の想いに寄り添った遺品整理が実現しやすくなります。
さらに、一般廃棄物収集運搬許可や古物商許可を持つ業者を選ぶと安心です。一般廃棄物収集運搬許可は、一般家庭の廃棄物を回収するときに必要となる許可です。自社で取得していない場合でも、一般廃棄物収集運搬許可を持っている他業者と提携していれば問題ありません。
古物商許可を持つ業者は遺品の買取サービスができるため、一部遺品の買取により費用を相殺してもらえる可能性があります。
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親の遺品が捨てられないまとめ
親の遺品が捨てられない5つの理由
1.心の整理がまだついていない
2.遺品を捨てることに罪悪感がある
3.何から手を付けたらよいか分からない
4.遺品の処分方法が分からない
5.遺品整理をする時間がない
無理なく遺品を捨てる7つのコツ
1.気持ちの整理を最優先し、無理に捨てようとしない
2.形見分けや供養をする
3.寄付、リサイクル行なう
4.遺品の買取を利用する
5.遺品をリメイクする
6.デジタル化を活用する
7.一人で抱え込まず業者を活用する
親の遺品整理の進め方
1.スケジュールを立てる
2.保管するものと処分するものを仕分けする
3.不用品を処分する
遺品整理がつらくて進められないときや時間に余裕がない時は遺品整理業者の手を借りるという方法あります。遺品整理士が在籍している業者であれば、心に寄り添った遺品整理を提案してくれるでしょう。
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