遺品整理の資格3つー持っていない業者やばいかも。

遺品整理業者を選ぶ時に遺品整理士が在籍していることを条件にしている方もいるのではないでしょうか。遺品整理士の資格を持つ業者と持たない業者の違いや遺品整理に必要な資格を知ると、悪徳業者に関わることなく、満足のいく遺品整理が選べます。
この記事では遺品整理に必要な資格と遺品整理士の将来性についてご紹介します。
【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子
祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとしています。
遺品整理の3つの資格・遺品整理士以外は持ってないとやばい
遺品整理業を行うには「一般廃棄物収集運搬許可」または「古物商許可」が必要です。
実は、遺品整理士の資格は必須ではありません。
ここでは、遺品整理業者に関わる3つの資格・許可について説明します。
1.一般廃棄物収集運搬許可
家庭から出た食品や洋服、家具などのゴミはすべて「一般廃棄物」に分類され、これらを収集・運搬するための許可が「一般廃棄物収集運搬許可」です。
遺品整理時に、洋服や食器など小さいものから家具や家電など大きなものまで、一般家庭から運び出して、ゴミとして引き取ることができるのは「一般廃棄物収集運搬許可」を取得した業者だけです。
一般廃棄物収集運搬許可は取得が難しい
一般廃棄物収集運搬許可は市区町村で承認される許可で、自治体によっては取得が難しい場合があります。その理由は新規募集が非常に少ないからです。
「自治体の処理能力では一般廃棄物の収集運搬ができない状態」と判断した場合限ってのみ、募集があります。
取得方法
許可の申請先は、自治体の環境課などの担当窓口です。
申請手数料は1万円で、申請にあたり定められた能力認定試験に合格していなければなりません。例えば、経営状態の安定や回収物の一時保管場所の提示、役員名簿の提出などが求められます。
一般廃棄物収集運搬許可を持たない遺品整理業者が一般家庭からゴミを収集・運搬することは違法です。また、一般廃棄物は決められた処分場へ持ち込まなければならず、処分場への持ち込みにも一般廃棄物収集運搬許可が必要です。
許可を持っていない遺品整理業者に依頼してしまうと、ゴミが不法投棄される可能性が高くなります。ゴミの不法投棄は業者だけでなく依頼主も罪に問われてしまうので、回収後の遺品がどのように処理されるのか知っておくことも大切です。
2つの確認方法
一般廃棄物収集運搬許可を持っている業者の確認方法は以下があります。
① 遺品整理業者のホームページで確認する。
遺品整理業者のサイトの会社概要に「○○市一般廃棄物収集運搬許可」と記載されています。似ている許可に「産業廃棄物処理運搬業許可」がありますが、これは事業によって出たゴミ(産業廃棄物)を収集して運ぶ許可です。
産業廃棄物収集運搬許可では一般家庭からのゴミを収集・運搬はできません。
紛らわしく記載する遺品整理業者や不用品回収業者には要注意です。
② 市区町村の名簿で確認する。
市区町村のサイトには一般廃棄物収集運搬許可業者の名簿が掲載されています。
一般廃棄物収集運搬許可は数に限りがあるので、優良な遺品整理業者でも取得できないこともあります。自社でこの資格を取得していなくても、一般廃棄物収集運搬許可を持つ業者と提携している場合には違法にはなりません。
2.古物商許可
古物商許可を持つと遺品を買い取って売ることができます。
遺品の買取を希望する時には古物商許可を取得している遺品整理業者を選びましょう。
古物商許可があれば、古本や古着、中古車販売や金券ショップなど、幅広い業種で営業することができます。
遺品整理時には貴重品や骨董品、家財など買取対象になるものも多く含まれます。
古物商許可の取得は、他の許可申請に比べて必要な要件が少ないため、比較的取得しやすい資格です。申請に必要な書類が多数あり手続きが煩雑ですが、申請をすれば高い確率で許可が下ります。
古物商許可は取りやすい
遺品整理業に参入する際、一般廃棄物収集運搬許可の取得が難しい地域の場合は、まず古物商許可を取得します。遺品整理(分別や清掃)や遺品の買取りサービスをメインに行い、廃棄物の処理は他の一般廃棄物収集運搬業者に委託することも可能です。
確認方法
古物商許可を取得しているかは、遺品整理業者へ問合せ前に確認する方法もあります。
例えば、遺品整理業者サイトの会社概要、資格欄に『古物商許可』と記載してある場合もありますし、サイトに古物商許可番号の記載がない時には公安委員会のサイトから確認することもできます。
遺品整理業者は見積もり時にも買取り業務を行うことがありますので、常に古物商許可を携帯しています。訪問見積もり時に見せてもらうのが最も確実な確認方法です。
古物商許可を取得していないと違法業者?
「古物商許可を取得していない遺品整理業者は違法なのか」は一概には断言できません。
遺品整理業者の中には買取後の販売ルートを持っていない場合があります。その場合には提携する買取専門業者に委託し遺品の買取を行っています。買取業者の方が骨董品や美術品、ブランド品に対する知識が豊富なので買取り価格が上がるメリットもあります。
ただし、古物商許可を持っていない遺品整理業者の買取り業務は違法になります。
3.遺品整理士
遺品整理士とは遺品整理士協会が認定している民間資格で、遺族に代わって遺品の整理を行う専門家と位置づけされています。
遺品整理士の資格は、遺品整理業を営む際の必須資格ではありませんが、遺品整理士の在籍している遺品整理業者は、「遺品整理を適切に対応する意思を持っている」指標の一つといえるでしょう。
遺品整理士が在籍するか確認する
遺品整理業者に遺品整理士が在籍しているかは遺品整理業者に問い合わせて確認する他、遺品整理士協会に問い合わせる方法もあります。
ReLIFEでは遺品整理業者の登録時に遺品整理士の有無について確認していますので、お問い合わせフォームやお電話で確認いただけます。
遺品整理業界を健全にするために
2012年以降、清掃業者や不用品回収業者などが遺品整理業へ新規参入し、遺品整理を行う事業者が増大するとともに遺品整理業者の中にはゴミの不法投棄や法外な料金の請求、悪質な不用品回収や買い取りを行う悪質な業者も目立つようになってきました。
一般社団法人 遺品整理士認定協会は、遺品整理業の社会的な役割とモラルの低下を是正し、業界の健全育成をはかることを目的として設立されました。2021年2月現在全国に2万人以上の遺品整理士が活躍し、モラルの改善に努めています。
遺品整理士になるには
遺品整理士協会の運営する養成講座を受講し、レポート提出による認定試験に合格すると遺品整理士の資格が与えられます。
この項では取得までにかかる費用や期間・難易度についてご紹介します。
遺品整理士の取得にかかる費用・期間
遺品整理士になるための初期費用は32,000円で、この中には入会金25,000円と会費7,000円が含まれています。有効期限は2年間なので、2年ごとに7000円の更新費用がかかります。
協会への入会・受験資格は特になく、実務経験は不要とされていますが、反社会勢力に該当する人は入会できません。
遺品整理士になるための学習教材は入会金に含まれているので、会員に無償で提供されそれに沿って遺品整理に関する知識を身に付けていきます。最後にレポートを提出し、合格基準に達すると資格が授与されます。レポート提出から合否通知までには2ヶ月ほどかかりますので申し込みから取得までは最短でも4カ月程度時間がかかります。
提出期限は受講開始から2ヶ月以内とされていますが、協会へ連絡し期限を延長することが可能ですので、働きながらでも取りやすい資格です。
教材の内容
教材は教本、資料集、DVD、問題集が一式送られてきます。実務経験があると経験を基に知識を紐づけられるので理解スピードが早く、深いです。
遺品整理士の難易度
遺品整理士の合格率は65〜70%ほどで、難易度の近い検定に秘書検定2級があります。
レポートの内容が合否を左右するので、時間をかけて勉強すれば合格できる可能性が高くなります。試験会場での一発勝負の簿記や宅健と比べると運に左右されないので、知識を深めて時間をかければ合格できる資格とも言えます。
当然ですが、レポートは全て記述形式ですので、最低限の文章能力も必要になります。
遺品整理士は独学で取得できる?
遺品整理士は独学で取得することはできません。
遺品整理士資格を取得するには、遺品整理士認定協会へのレポート提出が必須で、教材も受講料などに含まれているからです。
市販の教材やテキストはなく、テキストや資料から試験、資格の認定まで全て遺品整理士協会で行っています。
遺品整理士に向いている人
遺品整理士は体力と精神力が必要な仕事です。心身ともに健康であるだけではなく、故人や遺族の心に寄り添うことができる人が向いています。
また、寄り添うことと同時に落ち着いて冷静に対応することも求められます。
遺品整理では孤独死現場など悲惨な現場にからの依頼も多い仕事です。時には強い異臭の中での作業や害虫駆除も行います。遺族の気持ちを汲み取りすぎる方や遺品整理を「仕事」として割り切れない方は無意識のうちにストレスが溜まり、続けるのが難しいです。
遺品整理士の講座内容
遺品整理士の講座ではDVDやテキストに記載された事例を利用して、遺品整理の概要から法律・技術を学びます。
1. 遺品整理・遺品整理業についての概要
2. 遺品整理に必要な技術的な知識と法規制について
3. 事例研究
資料集とDVDには遺品整理や孤独死、遺品の供養についての情報がまとめられており、これらを学習することで遺品整理の基本となる法規制や実務知識を習得することができます。
遺品整理士の将来性
高齢化と核家族化の進行によって遺品整理業界の需要は伸びると言われていますが、現実的に需要があるのは正しい知識と誠実な対応ができる遺品整理士だけです。
ここでは統計情報と共に遺品整理士の需要や年収についてご紹介します。
今後20年間の遺品整理士の需要
遺品整理の需要は今後も増えると見込まれています。
高齢化と核家族化、そして過疎化も遺品整理業者の依頼を高めている要因です。
総務省が2020年9月に公開した統計トピックスによると、総人口が減少する中で高齢者人口は、3,617万人と過去最多と発表されました。総人口に占める割合は28.7%と過去最高で、世界201の国と地域の中でも第1位です。
高齢者人口及び割合の推移は調査開始の1950年から右肩上がりで上昇し、2040年には35.3%まで上昇すると予想されています。
参考:総務省 統計トピックスNo.126 統計からみた我が国の高齢者
遺品整理業は高齢化社会の中で20年は確実に収益を上げ続けることのできる仕事と言われています。ますます需要が高まるからこそ、専門的知識を習得しモラルのある適切な対応を行なっていくことが求められています。
遺品整理士の資格を取得していることは、「法令に遵守し、遺品を適切に整理できる」指標の一つとなり、他業者との差別化につながります。
遺品整理士の年収
遺品整理士の年収の目安は働き方によって変わります。
遺品整理士の資格を活かすには遺品整理業者や不用品回収業者へ入社するか、自分で独立開業する方法のどちらかです。
会社員として勤務する場合は年収240〜360万円ほどと見られています。
一方、遺品整理士として独立開業した場合、年収は480万円以上が相場です。経験や実績を積み、営業に自信があれば高い人で800万円程度まで上げることも可能ですし、他支店展開することでさらに上げることもできます。
合わせて取得するといい資格
遺品整理と合わせて取得すると良い資格には、生前整理アドバイザーやファイナンシャルプランナー、司法書士などが挙げられます。
生前整理アドバイザーとは
生前整理アドバイザーは生前整理をする方に知識や経験から助言することを目的とした民間資格です。
生前整理とは他界した後に遺族が遺産の整理や相続などに困ることがないよう、あらかじめ財産や持ち物を把握、分与することです。
同居する家族が減っているので、子供に迷惑をかけないよう生前整理を細かくする65歳以上の方が増えています。遺品整理業には生前整理業も含まれますので、取得しておくと正しい知識を持ってアドバイスができます。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、家計の収支・負債・家族構成・資産状況などを基に住居・教育・老後など将来のライフプランニングに即した資金計画やアドバイスを行います。
この資格を持っていると、遺産相続だけでなく生前整理にも役立つことができ、より相続や資産運用に特化した相談を受けることが可能です。
遺品整理の資格のまとめ
以上、遺品整理に必要な資格と遺品整理士についてご紹介しました。
遺品整理業には遺品整理士の資格よりも「古物商許可」や「一般廃棄物収集運搬許可」が必要なので、遺品整理業者を選ぶ時はどちらかの許可を取得していることを基準に選びましょう。その他、遺品整理業者選びの基準は【遺品整理業者の選び方】でご紹介します。
遺品整理士は遺品整理士協会の認定する民間資格ですが、取得している業者は遺品整理に対して知識を取得した証とも言えます。高齢化が進む中で遺品整理業者の需要が高まる中、他社と差別するためにも遺品整理業を開業する時には取得して損しない資格です。
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