遺品整理の手紙を3つに分けるだけ、すっきり処分|自分でできる簡易供養
遺品整理中に必ず出てくるダンボールいっぱいの手紙の分け方に悩む方もいるのではないでしょうか。手紙の中には催促状や年金の受給に関する通知など重要書類も混ざっているので、安易に処分してはいけません。
手紙は3つに分けてから、その後の処分を考えるとすっきりと遺品整理が進みます。
この記事で分かること
・手紙をすっきりと捨てる方法
・捨ててはいけない手紙の見分け方
・手紙の供養方法と手順
【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子
祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとしています。
故人宛の手紙は3つに仕分けて処分
故人宛の手紙は「手続きが必要な手紙」「保管する手紙」「捨てても構わない手紙」の3種類に分けることから遺品整理を始めていきます。
処分方法を決めながら仕分けするのは難しいので、まずは差出人を見て機械的に分類していきましょう。
それぞれに合った処分方法や手続きについてご紹介します。
1.公的な手紙
停止や解約手続きが必要な手紙は内容を確認してから処分方法を決めなければいけません。
手続きを放置していると年金の不正受給していることになったり、使っていないサービス料金が引き落とされ続けていることもあるからです。
例えば、差出人が市区町村や銀行、証券会社など戸籍やお金に関する機関からの手紙は停止や解約手続きが必要な手紙に当てはまります。
受給停止の手続き
年金受給関する手紙は最初に受給停止がされているか確認します。
年金の受給停止手続きには期限があり、国民年金は受給者が死亡した日より14日以内、厚生年金は10日以内と決められています。特に公的年金は遺族が手続きを忘れていたという理由だったとしても、届け出がされていない場合には不正受給とみなされる場合もあります。
受給停止されているか不確かな時は手紙を見つけたタイミングで日本年金機構の年金相談窓口へ電話で確認すると 正確な情報を受け取ることができます。
各種解約の手続き
公共料金や定期サービスに関する通知の手紙も内容を確認すべき手紙です。
料金を滞納しているときには遅延料金も加算されることがあるからです。水道やガス、電気の他に65歳以上の場合には固定電話を引いていることもあります。
いずれも解約するまでは基本料金が発生し続けるため、滞納や契約状況の手紙が見つかったら早々に解約手続きを進めます。
2.仕事関係の手紙
故人が会社勤めをしている年齢でなくなった時や自営業をしていた時には仕事関係の手紙が残してあることもあります。
喪中はがきなどで亡くなったことを知らせているときには処分しても差し支えありません。
ただし、死亡通知を出していない相手からの手紙は内容をチェックし通知を出すべきだと判断した場合は、速やかに通知を出すようにしましょう。
仕事に関わる重要書類や契約書などは差出人や会社に連絡を入れて処分方法を確認してから処分方法を決めます。自分だけで処分するのは気が引ける時には会社で引き取ってもらう選択肢もあります。
故人が生前仕事でお世話になった方々に死を知らせることも遺品整理の一つです。
3.プライベートな手紙
年賀状など季節の挨拶、また、ハガキに重大なことを書いて郵送するということは考えにくいのですべて処分して差し支えありません。
内容を読み込むと故人と送り主との間柄や出来事を思い浮かべてしまい処分に悩むことがあります。手紙は故人が受け取った時点で役目を果たしていると割り切って潔く処分することが遺品整理のコツです。
故人が郵送することなく書き残された手紙が見つかった場合には、なるべく宛名の方へ届けるようにしましょう。届ける時には「生前はお世話になりました」と一言添えると、相手の印象もよくなります。
遺言書がみつかったとき
手紙に紛れて遺言書が見つかることもあります。
遺言書には法的効力がはたらき、相続の分配が変わることもあるため不用意に開封してはいけません。
故人にかかわりのある親族に遺言書が見つかったことを連絡し、家庭裁判所で開封するのがルールとなっています。
勝手に処分したり、書き換えることは法に触れる行為ですので慎重に取り扱いましょう。
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4.ダイレクトメール
ダイレクトメールは発送停止の手続きをしてから処分しましょう。
ダイレクトメールが郵便物なのであれば「本人死亡につき今後は不要」と書き印鑑を押すかサインしてポストに入れれば差出人戻しになり発送を止めることが可能です。また、郵便局に死亡の旨を伝え、手続きすることで配達されなくなる方法もあります。
ヤマト運輸や佐川急便が配布するダイレクトメールの場合には、差出元が発送を止めるまでダイレクトメールが送られてくることがあります。差出元である会社に電話やメール、手紙で連絡して、ダイレクトメールの送付停止を依頼します。
ダイレクトメールが止まらないと次の入居者に個人情報が流出してしまうリスクも考えられます。遺品整理時には手紙の停止手続きも忘れずに行いましょう。
手紙の保管方法
手紙の中には残しておきたい手紙や残しておかなければいけない手紙もあります。ここからは手紙の保存方法や残す必要のある手紙についてご紹介します。
保管する手紙の基準
「保管期間が決められている手紙」「故人を思い出せる手紙」は残すと後悔が少ないです。
金融機関や公共機関から届く手紙は解約や停止が確認できるまでは手元に残しておきましょう。解約手続きの際にパスワードや契約番号など求められることがあるからです。定期便を利用していた時には解約まで1か月以上かかることもあります。解約が確認できるまでの期間はすぐに取り出せる場所に保管しておくと便利です。
手紙の内容から故人の生前の様子が思い浮かぶような手紙も保管する手紙に当てはまります。
例えば、送り主がよく知っている親族で、故人との思い出や感謝の気持ちがつづってある手紙です。
残しておきたい遺品は手紙の他にもある為、残す枚数は2通までに収めておくのが無難です。
手紙の内容を電子保管する
住所や名前、契約番号など情報を残しておきたい時には電子保管が向いています。
数百枚ある年賀状や礼状もUSBやアプリにデータを取り込めば、場所をとらずに鮮明な状態で長期保存が可能です。
ポストカードや故人の直筆で書かれた手紙はスマホで写真をとって保管する方法もあります。クラウド上で保管するとスマホの容量を使うこともない上、スマートフォンの端末を変更しても失うことがないので長期保存しておきたい情報は電子保管が向いています。
手紙のまま保管する
遺品整理で出てきた手紙をそのまま保管する方法もあります。
紙の性質上「湿気」「日光」「カビ」の影響が少ない場所で保管しないと、きれいな状態を保つことができません。もっとも向いていないのは日のよく当たる窓辺での保管です。直射日光で変色し、湿気と空気中に舞うホコリでカビが生えることもあるからです。
保管する手紙はジップロックなど密閉できる袋に防虫剤と一緒に入れて、日の当たらない場所におくときれいな状態のまま保管することができます。
手紙の処分方法
手紙を処分する時には「個人情報の漏洩」と「気持ち」に配慮して捨てると心残りなく捨てられます。
個人情報を消す
手紙は故人と差出人の個人情報が詰まっているため、一手間かけてから処分しましょう。
名前や住所など故人が特定できる箇所は目隠しスタンプや黒のボールペンで塗りつぶします。塗りつぶすほかにシュレッダーにかけたり、はさみで細かく切るのも効果的です。
手紙が大量にある時には、機密情報の取り扱いに長けた不用品回収業者や遺品整理業者に依頼する方法もあります。
自分で処分する場合と比べて、費用はかかりますが安心できる処分方法です。
処分に適した日
遺品の手紙は風水的に7のつく日、14日、31日や一粒万倍日に捨てるといいと言われています。
一粒万倍日(いちりゅうまんばいび・いちりゅうまんばいにち)は”一粒の籾も蒔けば稲穂となるように万倍に増える”という意味があり、物事を始めたり、不要なものを捨てたりすると運気が上がると言われている日です。
古いものや使っていないものを処分すると効果があると言われるので、手紙を捨てるのにも適しています。
ただし、その日が雨やどんよりとした曇りの日なら、処分するのは避けましょう。
前向きに処分することが目的なのに、天気に気持ちが引っ張られてしまうからです。
処分すると決めた手紙は日にちを考慮するとよりすっきりと捨てられます。
年賀状はその年の春分前3月20日に捨てるのがよいとされています。
古い紙はその年のよい運気を吸い取ってしまうと考えられているため、溜め込まずに思い切って処分しましょう。
捨てにくい手紙の処分方法
そのまま処分するのは忍びない手紙は供養してから処分する方法もあります。
2つの供養方法
供養には「合同供養」と「単独供養」の2種類があります。
手紙だけや遺品数点であれば、他の方の供養品と一緒に供養をしてもらう合同供養を利用するのが一般的です。
合同供養は神社やお寺で定期的に開催されている他、供養サービスを実施している遺品整理業者、お焚き上げの専門業者に依頼する方法があります。
お焚き上げ専門業者はネット上から申し込みできて、レターパックやダンボールで送るだけという手軽さが人気です。
費用は依頼先や供養方法によっても異なりますが、手紙だけの供養であれば無料~2,000円程度が目安料金となっています。
部屋全体や遺品すべてを供養したい時には、住職に家にきてもらいお経をあげてもらう単独供養が選ばれています。費用は1回につき30,000円~50,000円ですが、気持ちの面で遺品整理が進めやすくなると言われています。
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自分で供養
自分で簡易供養して手紙を捨てる方法もあります。
供養とはものに対して祈りをささげることや感謝を伝えることなので、気持ちがこもっていれば自分で供養しても問題ありません。
供養したい手紙の汚れを拭きとってから白い和紙で包んだ後、塩で清めると手紙に込められた想いが浄化されていき、供養になります。
供養する前には入浴し、身を清めてから行うとさらにいいです。
供養が終わった手紙はただの紙として処分すれば問題ありませんが、生ごみや一般ごみとは分けた方が気持ちに引っ掛かりがなく処分することができるようになります。
遺品整理の手紙まとめ
・故人宛の手紙は「公的な手紙」「仕事関係の手紙」「プライベートな手紙」3つに仕分けることから始める
「公的な手紙」:中身を確認し、停止手続きや契約状況の確認を済ませてから捨てる
「仕事関係の手紙」:相手先に亡くなったことを通知しているか、確認してから捨てる
「プライベートな手紙」:そのまま処分してしまって構わないことが多い
・保管する手紙の基準は「保管期間が決められている手紙」「故人を思い出せる手紙」の2つ
・住所や名前などは電子データとしてリスト化して残す方法もある
・絵葉書などは写真にとるなど画像データとして残すと、鮮明な状態で残せる
・紙のまま保管する時は日が当たらず、湿度の低い場所で保管するといい
・処分する手紙は氏名や住所が分からないようにしてから捨てると個人情報の漏洩防止につながる
・そのまま処分するのが忍びない時には供養してから処分するといい
・供養には合同供養と単独供養がある。その他に自分で簡易供養する選択肢もある
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