1人暮らしの孤独死対策! 家族を孤立させないアプリとサービス
両親と最後に話したのはいつでしょうか?
1週間以内に顔を見ましたか?
高齢者だけで両親が生活しているときやどちらかが先に亡くなられて、1人暮らしになったときは孤独死のリスクは増しています。
昨日まで元気だったとしても、たった今、様態が急変することもあります。両親に限らず、兄弟、伯父、伯母身内が1人暮らしをされている場合には常に孤独死は身近な存在です。
実家が遠くて定期的に会いに行けない方や忙しくてまめに連絡が取れない方は自治体のサービスやアプリを利用すると最悪の事態を防ぐことができます。
【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子
祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとしています。
孤独死は身近な問題
日本では少子高齢化が進行しているため、高齢者の割合が増加傾向にあります。
2019年の内閣府の発表によると、日本の65歳以上の割合は「27.7%」という結果になりました。これは「3,515万人」に達する数字です。
それに伴い「一人暮らしの高齢者」の数も増えると予想されており、2035年には841万人の高齢者が一人暮らしになると言われています。
孤独死は年々深刻になっている
上記のような事情もあり、孤独死を身近に感じる方の割合は増えています。
2018年に 内閣府が行った「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」によると、孤独死を身近な問題であると感じている60歳以上は「34.1%」もいるという結果が出ました。
とくに一人暮らし世帯では「50.8%」がそのように感じており、孤独死を身近な問題と捉えている方が増えていることがわかります。
また、東京23区内における「一人暮らしで65歳以上の人」の自宅での死亡者数は、2018年の調査で「3,882人」という数値になりました。この数値は、2011年から右肩上がりを続けています。
このように孤独死は、人々の意識だけでなく実際に起きた件数も増加しているのです。
中高年のひきこもりは孤独死予備軍
このような孤独死が増えている背景には、孤独死予備軍として「中高年のひきこもり」が存在していることが挙げられます。
ひきこもりになると、外部との関わりを自ら絶ってしまうので、自分の身に何かがあっても気付いてもらえないという状況になりがちです。
同居している親がいる間は、自分の様子を気にかけてもらえます。しかしその親が亡くなった後は、一人暮らし世帯となる上に、もともと外部との繋がりも希薄なため、孤独死する可能性があるのです。
2019年に内閣府が行った「生活状況に関する調査」では、40〜64歳の中高年のうち、61万人がひきこもりであると予想されています。
この中で近所のコンビニなどに行くだけという方や、家および自室から出ないという方の数を合わせると、36.5万人にも達します。
孤独死の原因
このような孤独死は、少子高齢化以外にも以下が原因で引き起こされています。
男性の1人暮らし
理由としてはさまざま考えられますが、ひとつの要因として「家事が苦手」というものが考えられます。
高齢になるほど、世代的に家事全般を妻に任せていた男性は多いです。そのため、妻との死別などで一人暮らしになったときに、きちんとした栄養の摂取や衛生管理ができず死期を早めてしまう可能性があるのです。
2021年に日本少額短期保険協会 が行った調査によると、孤独死をした割合は、男女別で以下の結果になりました。
・男性:83.1%
・女性:16.9%
このように、孤独死全体の8割以上が男性であるとわかります。
また、仕事一筋で生きてきた方が定年退職を迎えると、世間との繋がりが希薄になってしまいます。こうしたことも孤独死を引き起こすひとつの原因です。
近所の付き合いが希薄
近所や地域での繋がりが希薄になり、人同士の付き合いが減少していることも、孤独死の原因として挙げられます。
かつての日本には「向こう三軒両隣」という言葉があり、近隣住民同士で助け合うことを美徳としていました。
しかし現代では、そうした精神は薄れ、近隣住民の方の名前がわからないことも増えています。
2016年の内閣府による調査によると、「近所付き合いをしていない」と回答した割合は、以下のようになりました。
・男性:26.1%
・女性:19.3%
もちろん、SNSなどでの繋がりが増えたことで、気軽に誰とでもやり取りができるようにはなりました。しかし、いざというときに自分を助けてくれるのは、物理的に近い場所にいる近隣住民です。
そうした繋がりが希薄になってしまったということが、孤独死を加速させる一因にはなっています。
高齢者世帯の増加
夫婦のみで暮らす核家族が増えていることも、孤独死が増加しているひとつの原因です。
2016年に 厚生労働省が行った調査によると、夫婦のみで暮らす世帯割合は「23.7%」という結果になりました。この数値は年々増えており、夫婦のみの世帯を含めた核家族の割合も「60.5%」となっています。
子供夫婦や孫など、複数の世代同士で集まり暮らしていれば、高齢者の世話をしてくれる方もいるため孤独死は起きません。しかし、核家族の増加によって、夫婦が高齢になり死別したとき、残された一人暮らしの高齢者の様子を見守ることが困難になりました。
核家族世帯は年々増加しているため、こうした問題は今後も起こり続けると予想されています。
高齢者が孤立する理由
こうした家族形態の変化や近所付き合いの減少など、人と接する機会が消えたことに伴い、孤立する高齢者が増えています。
人との繋がりはすぐに生まれるものでもありません。そのため、一度こうした繋がりが無くなってしまうと、体力的な問題も絡み高齢になるほど孤立してしまうのです。
他にも、高齢者が孤立する理由としては以下が考えられます。
金銭的な余裕がない
金銭的な余裕があるかどうかも、高齢者の孤立に大きく関わります。
孤立しないための方法として、サークル活動への参加や老人ホームへの入居などがあります。こうした活動や施設では、多くの高齢者と繋がりを持つことが可能です。
とくに一人暮らしの高齢者であれば、定期的に人と会う状況を作っておくというのが、孤独死を防ぐためにも有効的といえます。
しかし、こうした活動への参加や施設への入所は無料ではありません。サークル活動レベルであればボランティアが運営しているところもありますが、施設への入所となるとお金は必要です。
高齢者であれば、薬代や病院代などがかかることも多いため、そこに支払ってしまうと余裕がない方もいます。
こうした金銭的な余裕の有無が、高齢者の孤立に直結してしまうのです。
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コロナ禍で孤立は加速
このように、人と話したり会ったりしない高齢者が増えていることに加え、コロナ禍を迎えたことでさらに孤立の流れは加速しています。
コロナ禍では、人との密を避けるために、なるべく人との接触をしないことが推奨されています。これでは、県を跨いでの移動や高齢者仲間とのサークル活動なども制限せざるを得ません。
その結果、離れて暮らす家族と定期的に会う機会や誰かと話す機会が失われ、孤立がさらに加速しているのです。
配偶者と暮らしていればまだ話し相手はいますが、一人暮らしでは常に孤立した状況が続いてしまいます。定期的なサークル活動や、お盆や年末年始に家族と会うことなどを生き甲斐にしていた方からすると、大変な状況です。
孤立する高齢者の特徴
孤立してしまう人の特徴に当てはまる高齢者がいることも原因のひとつです。孤立しやすい高齢者の特徴としては以下があります。
①ずっとひきこもりになっている方
先ほどご説明したように、中高年の段階でひきこもりになっている方もいます。そうした習慣が早くから身に付いてしまうと、体や精神がその状態に慣れてしまいます。
そうなると、高齢者になってひきこもりから脱するのは困難です。こうしたひきこもりになってしまうと、老後も社会との接点が無くなり、どんどん孤立してしまいます。
②ひとりで過ごすことが多い方
ひとりで過ごすこと自体は、悪いものではありません。しかしずっとひとりの状態を続けてしまうと、高齢になって体力が衰えてからが大変です。
高齢になると外出も難しくなるため新たな繋がりを作りにくくなり、気付いたら孤立していたということもあり得ます。
孤立しない暮らしをするためには
高齢者の孤立が加速すれば、それに伴い孤独死の危険性も高まります。こうした孤立した暮らしを予防し、孤独死対策をするためには以下が有効的です。
高齢者の雇用状況の改善
高齢者の雇用状況の改善が孤独死の対策になると期待されています。
これまでは定年退職という概念が強く、一定の年齢を超えると仕事から引退する方がほとんどでした。しかし、これまで人生の中心だった仕事での繋がりが切れることで、一人暮らしになったときの孤独死リスクが高まってしまいます。
そのため国の方針として、「まだ働きたい」と感じている高齢者に関して、変わらず働き続けられるような体制を整えています。
実際に、2014年時点における60歳以上の常用労働者の数は、2009年よりも約226万人増加しました。
もちろん仕事だけがすべてではありません。しかし、こうした雇用状況を改善し、仕事での繋がりを求める高齢者のニーズに応えられる状況を維持することも大切です。
高齢者の社会参加
上記の仕事の継続を含めて、高齢者の社会参加を促すというのも、孤独死対策の上では欠かせません。
孤立した暮らしになる原因のひとつが「地域や社会との繋がりが無くなってしまう」というものです。先ほど触れたように、現在では近所付き合いも含めて社会との繋がりが希薄になっています。
そのため、仕事の継続や趣味の活動、ボランティアへの参加など、さまざまな形で社会との繋がりを保つことが重要です。こうした繋がりがあることで、例え一人暮らしになったとしても孤立せずに済み、孤独死への対策となります。
地域やNPO団体によっては、一人暮らしの高齢者向けコミュニティの運営に力を入れているところもあります。
こうした形で高齢者の社会参加を促すというのは、孤独死対策をする上で重要です。
孤独死対策グッズ
孤独死の対策としては、下記のような専用グッズを活用するのも効果的です。
孤独死対策アプリ
手軽に使えるアプリを活用した孤独死対策も行われています。
現在リリースされている主な孤独死対策アプリは以下の通りです。
・NTTドコモ つながりホットサービス
・システムアドバンス ラクホン
・LINEエンリッチ見守りサービス
・インタープロ みまもりステーションlite
このように孤独死対策アプリには、LINEを使用したものなどさまざまな種類があります。これらの中から、利用者が使いやすいものを選ぶことが大切です。
ただし、現在ではスマートフォンが浸透しているとはいえ、こうしたアプリの操作を苦手に感じる高齢者の方もいます。
その場合は、直感的に使いやすいアプリを中心に選んだり、別のサービスや活動を活用したりする方が良いです。
見守りセンサー
「見守りセンサー」では、超音波やサーモグラフィーなどを活用し、高齢者の呼吸や脈拍を把握することで安否を確認します。
センサーが利用者の様子を常にチェックし、もし異変があれば家族のもとに連絡が届く仕組みです。
カメラが不要なことも多いため、利用者のプライバシーに配慮し普段通りの生活を過ごしてもらいつつ、安否を確認できます。
大規模な工事も不要なため、高齢者が住むあらゆる場所で設置可能です。例えば、以下の場所に設置されることがあります。
・利用者の自宅
・介護施設
・老人ホーム
費用はかかりますが、アプリのように利用者側で特別な操作をする必要はありません。そのため、機械の操作が苦手な高齢者であっても、安否を見守ることができます。
孤独死対策グッズの選び方
こうした孤独死対策グッズは、なんでもいいわけではありません。以下のポイントを意識して選ぶことが大切です。
①高齢者がストレスに感じないものを選ぶ
本人が孤独死対策グッズ自体に抵抗を感じることもあります。例えば「機械の操作ができない」「監視されている気持ちになる」などです。
そのため、いくつか選択肢を用意して相手が使いやすいものを選ぶことが必要になります。
②緊急時の対応はしっかりしているか?
利用者に異変が起きたとき、即座に対応してくれるかも重要な指標です。万が一の事態を防ぐためにも、異変が起きたら速やかに自宅へ直行してくれるなど、対応が良いものを選びましょう。
③利用者の生活スタイルに沿ったものか?
利用者の生活スタイルから外れないかを確認しておきます。例えば、LINEを使う方ならLINEを活用したアプリがオススメですし、決まった時間に起きる習慣がある方ならアラーム機能を活用したものが良いです。
地域・行政・見守りサービスの活用
こうした孤独死対策グッズ以外にも、地域や行政による見守りサービスを活用するのもひとつの手です。
行政の見守り活動
行政の見守り活動は、民生委員やボランティア、協力している機関の方々によって運営されています。孤独死が全国的に問題となっているため、地域ごとでさまざまな取り組みが行われているのです。
主に行われている取り組みとしては、定期的な自宅訪問や見守り相談窓口の設置などがあります。
相談窓口として主に活用されているのは、その地域にある「地域包括支援センター」です。
ここでは以下のような情報を受け付けています。
・家がずっと閉め切られていて心配
・新聞がポストに溜まっている
・生傷が絶えない
・会話が噛み合わなくなったり少し妙な言動したりすることが増えた
こうした些細な情報によって、高齢者の異変に気づき孤独死を防げることがあります。
民間企業や地域の見守りサポートサービスの活用
上記のような地域による見守りサービスだけでなく、民間企業の中にも孤独死対策のためのサービスを行なっているところもあります。
例えば郵便局では、契約した高齢者の自宅に訪問し、その結果を家族に郵送で通知するという取り組みを行なっています。郵便という自社のツールを活かした便利な仕組みです。
また、警備会社のALSOKは緊急通報事業を展開し、全国の自治体と協力して高齢者の安全確保に努めています。24時間体制で自宅へ駆け付けられるだけでなく、健康相談にも乗ってくれるため安心です。
中には、水道や電気の使用量をチェックし、異常に量が少ないなどの事態が起きたときに家族へ通知を行うというサービスもあります。
このような、生活に寄り添ったスタイルの見守りサービスを使用するのも良いです。
老人ホームへの入居
上記のサービスは、利用者が自宅で住むことが前提です。そのため、いざというときに本当にすぐ対応してもらえるのかと不安に感じる方もいます。
とくに寝ている最中に異変が起きてしまうと、朝になってからでは手遅れになることもあります。
そうした不安を感じる場合は、老人ホームへの入居も検討しましょう。老人ホームには常に職員がいるため、もし何かあっても即座に対応してもらえます。
また、老人ホームによっては、運動習慣を身につけるためのアクティビティの運用や趣味のサークル活動など、利用者の健康や孤独への不安解消のためにさまざまな施策を行っていることも多いです。
そうした面も含め、利用者が豊かな老後を過ごせるような選択をしたい方は、老人ホームへの入居もおすすめです。
孤独死の対策のまとめ
この記事では、孤独死対策について以下の内容を解説しました。
◎孤独死の状況は年々深刻になっており、自宅での死亡者数も年々増加している。
◎中高年のひきこもりが孤独死予備軍である可能性が高い。
◎孤独死の原因として考えられるのは以下の通り。
・孤独死をするのは男性の方が多い
・近所や地域の付き合いが希薄な社会になったこと
・核家族化によって、夫婦だけで生活する高齢者が増えていること
◎高齢者が孤立する理由は以下の通り。
・孤立してしまう人の特徴に当てはまっている
・金銭的な余裕が無い
・コロナ禍で孤立が加速している
◎孤立しない暮らしをするためには以下のような対策が必要である。
・高齢者の雇用状況の改善
・高齢者の社会参加
◎孤独死対策グッズを活用することも効果的。
◎地域・行政・見守りサービスも活用することで孤独死対策ができる。
孤独死は日本の社会問題のひとつです。少子高齢化の進行など大きな要因も含む問題でもあります。
その中でも、地域や企業と連携を図ったり各種グッズや老人ホームなどを活用したりすることで、身の回りから孤独死に向けて対策を行うことが大切です。
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