豆知識

遺品整理

特殊清掃と遺品整理・賃貸物件の場合の費用

親族がひっそりと亡くなられ、2週間後に発見されるというケースが増えています。

最後の場所になった室内の清掃方法が分からず遺品整理が止まっていないでしょうか?

実は、特殊清掃と遺品整理それぞれには役割があり、理解すると簡単に解決できます。
なぜなら、特殊清掃には順番があるからです。

この記事では、特殊清掃の意味や手順、費用などをご紹介します。
記事を読み終えると、特殊清掃の必要性が分かるので遺品整理をスムーズに終えられます。



【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子

祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとしています。

特殊清掃,遺品整理

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特殊清掃と遺品整理との違い

遺品整理,特殊清掃

遺品整理とは故人さまが残された遺品の片付け、特殊清掃とは通常の清掃では処理することが難しい、汚れや臭いを除去させる掃除のことを言います。

遺品整理と特殊清掃との違いと特殊清掃を利用すべき状況についてご紹介します。

特殊清掃とは

特殊清掃とは、孤独死や事故死、ゴミのたくさん溜まった部屋(ゴミ屋敷)などの、腐敗臭や体液、汚物といった通常の洗浄では落とせない、汚れや臭いを除去させる清掃サービスのことをいいます。

例えば、孤独死において発見が遅れてしまった場合には腐敗が進み、体液や血液が床に染み込みます。
放置された遺体は抵抗力を失いウジやハエが卵を産み付けます。腐敗臭は一度発生すると、壁や床に吸収されるため、市販の洗剤で汚れを落とすことはできません

またウイルス等の繁殖によって感染症のリスクが高く、入室が危険な場合も少なくありません。

そのため、腐敗臭が発生した場合には、特殊清掃業者に依頼することが適切とされています

遺品整理とは

遺品整理とは、故人が所有していた遺品を仕分けや回収、形見分けをして、部屋を綺麗に片付けながら、元通りの状態に戻す作業のことを言います。

高齢者だけの世帯は年々増えており、一人暮らしや65歳を超える夫婦だけの世帯数は2015年では1300万世帯を超えており、高齢化に伴ってこれからも増加すると見込まれています。

子供の世帯と同居していないので、親が亡くなったときには遺品の整理や不動産の管理など手続きの負担が急にのしかかってくるので遺品整理業者を利用する方が増えています

遠方にある実家の遺品整理

実家の片付けが必要であるとしても、仕事が忙しく時間が取れなかったり、遠方に住んでいて伺うことが難しい場合もあるでしょう。

そのような事情がある方であっても、専門業者に依頼することによって、効率的に遺品整理を進めることができます。

遺品整理と特殊清掃は同時に

遺品整理,特殊清掃

遺品整理と特殊清掃は同時に必要になることが多いです。

遺体の損傷による腐敗臭や体液、汚物などによって室内にウイルスなどが充満していることがありますので、特殊清掃によって感染症のリスクを抑えなければなりません。

また故人が所有されていた遺品にまで腐敗臭が染み込んでいる場合もあるため、遺品からの発生する臭いを取り除くためにも、遺品整理の前に特殊清掃を進める必要があります。

賃貸物件の特殊清掃

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賃貸物件の場合は、特殊清掃業者に依頼する前に管理会社に確認しましょう。

賃貸物件の場合には敷金の一部にハウスクリーニング費用が含まれているケースもありますが、特殊清掃の場合には別途支払いが必要なケースもあります。

また、大家さんが「孤独死保険」に入っていることもあるので保険で処理してくれることもあります。

個人の保険を確認する

遺品整理,特殊清掃

加入している保険によっては特殊清掃費用が出る場合があります。

例えば、故人が「孤独死保険」に加入していた場合には、遺品整理・特殊清掃費用として50万円が支給される保険もあります。50万円あれば特殊清掃が必要な1K程度の部屋であれば十分に足りる金額です。

また火災保険の「汚損による特約」などのケースによって、保険金がおりるケースもあります。「少額短期保険(ミニ保険)」や「お部屋の保険」などの特約においても保険金が受け取れる可能性があります。

故人が契約時に加入し、控えのコピーを賃貸会社に提出していることもあるので、まずは管理会社や大家さんに連絡しましょう。

特殊清掃の内容

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孤独死などによってご遺体の腐敗が進んでいるような場合、体液や血液が床などに染みこんでいることやウジやハエなどの害虫の発生、腐敗臭の充満などがみられます。

そのような汚れは市販されている洗剤では落とすことはできず、臭いを除去させることもできません。

専門業者によって専門の薬剤や設備を活用して清掃しないと、安全なレベルまで汚れや臭いを除去することはできないのです。

腐敗臭を消臭

まずは人が入って作業できるように、オゾン脱臭機を稼働させ、臭いの元を吸収していくことから始めます。室内の腐敗臭の程度にもよりますが、状況によっては丸3日間ほど、オゾン脱臭機を稼働させます。

室内で孤独死されているような場合、腐敗臭や死臭が部屋いっぱいに充満しており、壁紙やカーテン、絨毯、衣類などあらゆる箇所に染み込んでしまっています。

部屋から漏れ出た臭いは近隣からの苦情にもつながりますし、臭いが決め手となって発見されることも多いです。

害虫駆除

特殊清掃には害虫駆除も含まれます。
遺品整理先に発生した害虫を駆除する作業は含まれていますが、寄り付かないようにコーティングするものは別途料金が発生します。

遺体は時間の経過とともに損傷しはじめ、腐敗していくとともに抵抗力がなくなった遺体にはハエが卵を産み付けやすくなってしまいます。

また同時に室内の水回りなどにも悪臭が漂うようになり、害虫が発生してしまう環境となってしまうのです。

ハエやウジなどの害虫は室内の環境悪化だけではなく、ウィルスが繁殖しやすい環境を作り出し、入室する人に感染させてしまうリスクが高くなります。臭いと同様に近隣にからの苦情にもつながります。

染み込んだ血液や体液の除去

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特殊な薬剤を活用して、汚染している場所や汚染が拡散している場所の清掃を行います。

フローリング、クッションフロアの体液などが染み込んだ部分は、洗浄だけでは落とすことができない状況が多いので解体して切り出していく必要があります。

畳は切り出せませんので、汚れが付着した畳1畳ごと撤去・処分し、下地部分をコーティングします。下地までコーティングしておかないと、臭いが上がってきてしまうのです。

床や畳の場合は一部、壁紙の場合は全部張替えになりますので、特殊清掃業者がリフォーム業者の手配までしてくれます。浴室・トイレは詰まりが臭いの元になっているケースが多くみられますので、特殊な薬剤を使用し解消させていきます。

腐敗が進んでしまったご遺体からの体液や血液などによって、畳や床などに汚染している場合には、その素材や状況などにあった薬剤などを用いて清掃していかねばなりません。

特殊清掃と遺品整理を依頼する流れ

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冒頭からお伝えしている通り、特殊清掃のみを依頼することもできますが、特殊清掃と遺品整理を同時に進めていかなければならないケースの方が多いです。

遺品整理と特殊清掃を同時に依頼する場合には、見積もり、契約、作業の流れで進んでいくことになります。

1.特殊清掃・遺品整理業者を選ぶ

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選ぶ際の基準として『遺品整理士協会』に所属している業者であれば、作業の品質面で安心することができます。
遺品整理業者は全国に2000社以上あり、その中から条件に合う業者を選ばなければなりません。

どの業者を選べばいいのか判断に迷うかもしれませんか、金額、スケジュール、内容の希望条件などに合う業者を選ぶようにすれば、満足のできる遺品整理に繋げることができます。

立ち合いは可能か

特殊清掃作業はお伝えしている通り、ウイルス等による感染症のリスクが高いことから、基本的に家族であっても立ち合いすることはできません。

特殊清掃作業後の遺品整理時においては立ち会いすることができますが、不必要である業者も存在します。

その場合は事前に鍵を渡しておいて、作業後に返却してもらうことになります。

どうしても思いが強く、遺品整理を行うのが辛い場合もあるでしょう。そのような場合には無理に立ち合いをする必要はありません。

ただし、どうしても残しておいて欲しい遺品がある場合や捨ててほしいものがある場合には、担当者にその旨を伝えておきます。特殊清掃が終わった後の遺品整理作業から立ち会うこともできます。

供養はあるか

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特殊清掃が必要とされる部屋は供養した方が遺族にとっても、次に入居される方にとっても気分が落ち着くでしょう。

特殊清掃業者・遺品整理業者ともに寺院や僧侶と提携している場合が多いので、宗教や宗派にこだわりがなければまとめて依頼することもできます。
業者によって料金は異なりますが、20000円~50000円が相場価格です。

僧侶が遺品整理先に出向く「訪問供養(現地供養)」となるので、室内に残された遺品すべての供養がされます。特殊清掃を依頼する場合は訪問供養ができる遺品整理業者がおすすめです。

遺品の供養について詳細は【遺品整理での供養方法や費用】をご覧ください。

近隣への配慮はあるのか

特殊清掃の作業中は虫や臭いで近隣住民が不快な思いをすることが多いです。
近隣からのクレームにも対処できる特殊清掃や遺品整理業者と契約すると、負担を大きく減らせます

孤独死によって遺体の腐敗が進んでいるような場合、臭いやハエなどの大量発生によって、近隣からの通報で発見されるケースが少なくありません。そのような状況においては、いち早く消臭・脱臭作業をする必要があります。

共同住宅の場合であれば、共同で使用している部分にも消臭作業が必要になることがあります。業者によっては対応してくれますので、必要に応じてあらかじめ伝えておくようにしましょう。

近隣にも配慮ができる遺品整理業者・特殊清掃業者を選びましょう。

2.見積もり依頼と契約をする

業者が決まれば現場に来てもらい、状況を把握してもらってから見積もり金額を算出してもらうことになります。

特殊清掃の作業内容や料金は業者ごとにまったく異なります。そのため相見積もりをとり、サービス内容や料金、スタッフの対応を2人以上で比較検討しましょう。

特殊清掃について正しい知識や経験があれば、その場で契約しても問題ありませんが、初めて依頼する場合には2人以上で話し合うことをおすすめします。

悪質な業者を選ばないために

遺品整理,特殊清掃

残念ながら遺品整理業者や特殊清掃業者のなかには、悪質な業者も存在します。

特殊清掃が必要な場面においては気が動転していて、早く特殊清掃・遺品整理をしなければならない状況ではありますが、そのような時こそ落ち着いて選ぶことが大切です。

まず料金だけでは選ばないことです。

相場よりも安いと感じたとしても、後から追加料金が発生する可能性があります。そのため契約の際には必ず追加費用の有無を確認しておくことが大事です。

また新聞やテレビなどのメディアでも報道されている通り、処分が必要な物品を違法投棄している悪質業者が存在し、大きな問題となっています。

利益を出すために正規の処分をせずに捨ててしまうのです。

不法投棄が発覚した場合、元の所有者が責任を取らなくてはならないことがありますので、十分注意して業者を選ぶことが必要です。

そのような業者を選ばないためには、次の許可や届出を得ているのかどうか確認しておくと安心です。

「一般廃棄物収集運搬業許可」
「古物商許可」
「一般貨物自動車運送事業許可もしくは貨物軽自動車運送事業の届出」

遺品整理業者の場合であれば、『遺品整理士協会』に所属していたり、遺品整理士の有資格者が配置されているのであれば安心できるでしょう。

また悪質業者の中には身元がばれないようにホームページで情報を公開していないことが多く、またホームページがあっても事務所が実在しないような業者も存在します。

口コミなどを参考にするのも有効になりますから、インターネットで情報を集めたり、実際に利用したことのある知人に紹介してもらうことも効果的です。

また業者の中には、電話対応だけで見積りし、すぐに契約を迫ってくる業者もありますが、必ず遺品整理現場に来てもらって見積内容を確認しなければなりません。

必ず直接、見積内容を確認し、希望の条件と金額に見合う業者と契約するようにしましょう。

特殊清掃,遺品整理

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遺品整理と特殊清掃の料金相場

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遺品整理の場合

遺品整理の料金設定は、業者によって異なり、一律に決められているようなものではありません。多くの業者では遺品の量などで料金が設定されており、特殊清掃とのパック料金になっていることもあります。

間取り別の場合、1Rや1Kの遺品整理を行う場合、作業人数は1~2人程度、作業時間が1~3時間程度であれば、3~8万円程度の業者が多くなっています。

追加料金

遺品整理業者の多くは見積り後の追加料金は発生しないとしていますが、追加料金が必要となるケースには次のものがあります。特殊清掃は追加料金になります。

・エアコンの取り外しが必要となる場合
・仏壇や仏具、人形など供養が必要となる場合
・エレベーターがないマンションなどで階段での運搬が必要となる場合

契約する前には、どんな状況で追加料金が必要となるのか確認しましょう。

仏壇の処分方法は【仏壇の処分方法5つと注意点―正しい流れと処分依頼先は…】をご覧ください。

特殊清掃の場合

遺品整理,特殊清掃

特殊清掃は汚染や臭いの除去を行い、元通りに修復することが大切になりますから、現場、遺体の状況によって必要な作業が異なってきます。

汚染が広範囲に及んでいたり、体液などの浸出によって床の深くまで汚れているような場合には作業工程が増えて、料金も変化することになります。

また特殊清掃のすべてではないのですが、状況によってはリフォームが必要となるケースもあります。

汚れや臭いの程度を細かく確認するなかで、リフォームが必要となるケースがあると理解しておきましょう。

料金を安く抑えるためのポイント

遺品整理,特殊清掃

遺品整理や特殊清掃の費用をできる限り安く抑えるためには、

①相見積もりをとって比較すること

②業者のホームページから問い合わせること

の2点が大切です。

遺品整理や特殊清掃業者の中には、公式ホームページからの予約では割引制度設けています。

また「早期割引」といった早めに予約して割引されるものや、平日やオフシーズンなど比較的空いている日程や時期の予約の場合であれば安くなることもあります。

これは業者紹介サイトを挟まないことで、紹介料など中間マージンが不要になるからです。

夏は特殊清掃の依頼が多い時期

遺品整理,特殊清掃

7月~9月といった夏場は、近年の異常気象とも思える暑さによって孤独死の多い時期であり、特殊清掃の依頼が多い時期でもあります。

高齢者の孤独死は、わが国の高齢化に比例して増加傾向にあり、夏は熱中症、冬はヒートショックなど1年を通してあります。高齢者は電気代の節約意識の高さからエアコンを使用しない方が少なくなく、感覚が鈍感になり暑さを感じにくい体質になることから熱中症による死亡率も増えています。

夏場に孤独死した場合、遺体の腐敗進行はとても早く、死後2日から3日ほどで死臭やハエやウジなど害虫の発生が始まってしまいます。孤独死が発見される原因のうち、23.5%を占めているのは「異臭」であり、近隣からの苦情によって発見されるケースがほとんどです。

特殊清掃が必要な多くのケースは高齢者の一人暮らしの場合です。
依頼する側は親族の変わり果てた姿に光景が頭から離れないような衝撃を受けます。

特殊清掃を依頼する側にならないよう、親族とは2週間に1回程度は連絡を取ってみてはいかがでしょうか。

ReLIFEでは全国の特殊清掃が得意な遺品整理業者もご紹介しています。

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