遺品整理の方法や時期~失敗しない3つの注意点と費用相場
「遺品整理」は故人の荷物を片付けるだけではありません。
故人を偲びながら遺すものと処分するものを仕分けしていく、故人を支えた遺品への感謝とお別れをする作業です。
しかし遺品整理をしなければならないが、
「何から始めればいいのか分からない」「業者に頼むべきなのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
遺品整理は自分でできるのか、業者の作業内容・頼み方を解説していきます。
この記事を読むと遺品整理の基礎的な部分が理解でき、状況に合わせた対処法が分かります。
【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子
祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとしています。
目次
1.遺品整理とは
亡くなられた方が残した品(遺品)を仕分け、処分して整理することを「遺品整理」といいます。
遺品整理と聞くと「故人が残した物の全てをゴミとして処理する」と感じている方も多いですが、実はそうではありません。
故人が大切に使っていたであろう貴重品や思い出の品は親族間で形見分けし、不要な物は処分することが正しい遺品整理です。。
また、遺品の中には時に遺族に見せるべきでない物も含まれます。
その場合は遺品整理業者に依頼すると適切に判断し処分することもあり、遺族の心情を配慮した遺品の整理方法を行ってくれます。
形見分けについては【形見分けはいつ?誰に渡す?形見をもらった時の正しいマナー】をご覧ください。
1-1.遺品整理と不用品回収の違い
不用品回収とは依頼したものをすべて処分すること、遺品整理は必要なものを仕分けして適切に処理・処分することです。
不用品回収とはすべてをゴミとして処理されるので、扱いも雑になります。作業対象の全てがゴミになるのでそうなるのも仕方がありません。
それに対し遺品整理は作業の初めに、分別作業が含まれ、整理するというサービス業の分類に入ります。
故人がどのような物を大切にし、それを遺族へどのようにお渡しするのか見積もり時にヒアリングし、必要であれば作業当日にも一点一点確認して仕分け作業を行います。
その中で不要とされるものは適切な処理をして処分します。
2.遺品整理を行う時期
遺品整理は行う時期に明確な決まりはありませんが、一般的に2つのタイミングがあります。
大切な親族が亡くなり、いきなり遺品整理を始めるのに躊躇する場合もあるでしょう。
遺族の気持ちの区切りがつくまでしばらく遺品を残しておいても問題ありません。
故人が一人で賃貸物件に住んでいた場合などは家賃が発生するので、遺品整理先の状況を考慮し、遺族の都合の良いタイミングで遺品整理を行います。
2-1.法要の後に遺品整理をする
四十九日や一周忌の法要のタイミングで行うのもおすすめです。
なかなか遺品整理を行う時期を決められない、といった場合には一つの目安になります。
また、都合の良いタイミングで遺品整理を始めると言っても一人が親族の同意なしに遺品整理を行うと、後で遺族間でトラブルになってしまう場合もあります。
1周忌や四十九日など法要のタイミングで集まった親族に、遺品整理を始める時期や形見分けについて話し合い、実際に行う日取りや代表者を決めていくとスムーズに行えます。
2-2.早急に遺品整理が必要な場合
故人が賃貸物件に住んでいる場合には賃貸契約を解消するためにも早く遺品整理を始めた方がいいケースです。
また、携帯電話やインターネットは契約解除手続きを行うまで自動で引き落とされていることもあるので、物質的な遺品整理とは別に考え、把握しておかなければなりません。
手続きは早く済ませる
この他にも相続税の支払いは相続開始を知った翌日から10ヶ月以内、準確定申告は相続開始を知った日から4ヶ月以内と相続税・準確定申告などは期限が定められているので早急に手続きをします。
自動車には相続手続きの期限はありませんが、故人名義のままですと車検が通らないので、手続きは早く済ませましょう。
3.遺品整理は2通りの方法で進める
遺品整理には2通りの方法があります。
1つ目は自分で遺品整理する方法、2つ目は遺品整理業者に依頼する方法です。
どちらの遺品整理の方法を選んでも問題ありませんので、それぞれのメリットとデメリットを把握し、取り掛かりやすい方法を選びましょう。
3-1.自分で遺品整理をする
まずは自分で遺品整理をする方法からご紹介します。遺品整理は当然ですが自分で行うことができます。
一番のメリットは故人との思い出を感じながら遺品整理できる点です。故人がどのような生き方をしてきたのかを肌で感じることができます。
遺品整理を自分で行うメリットは何と言っても費用が掛からない点です。自分で行う場合にかかる費用ははゴミの処分費用のみなので、業者に依頼する場合と比べて費用が半分以下で済むこともあります。
また、自分のペースで片付けることができることもメリットの一つです。
スケジュールを自分で決められるので、無理に仕事を休む必要がありません。
自分で遺品整理をする場合、手間や時間がかかってしまうのが大きなデメリットです。専門知識がないとゴミをどのように処分すればいいのかわからず、調べたり荷物を運んだりと、時間と労力を要します。
自分で遺品整理する際には「遺品整理を自分でやるコツと手順/体験談と業者に頼んだ方が良いケース」をご覧ください。
3-2.遺品整理業者に依頼する
遺品整理業者に遺品整理をすると、仕分けから遺品の廃棄処分まで一連の作業を全てお願いすることができるのでスムーズに遺品整理が終わります。
業者に遺品整理を依頼する最大のメリットは、時間と労力がかからない手軽さです。
遺品整理をする時間、知識がなくて不安な方は最初から遺品整理業者に依頼するのがおすすめです。
反対にデメリットは遺品整理を業者に依頼する分、費用がかかる点です。
遺品整理する部屋が広く、処分する遺品が多いほど高額な費用が発生するので、必ず見積もりを取ってから依頼しましょう。
遺品整理業者は遺品整理業者、不用品回収業者、買取業者、便利屋など様々な業者があります。特に遺品整理業者は遺品整理を専門にしているので、遺品整理に関する専門知識が豊富なので安心して任せることができます。
遺品整理の業者選びについては遺品整理業者の選び方・失敗しない3つのポイントをご覧ください。
3-3.遺品整理士とは
遺品整理士とは遺品整理士認定協会が定める資格で、遺品整理士は遺品を整理する上で必要な知識や、リサイクル・廃棄の処分についての知識を持ったプロだと言われています。
遺品整理を業者に依頼する上で、業者に遺品整理士の資格を取得している人が在籍していることは基準の一つです。
遺品整理士の資格を取得するためには特殊清掃や遺品の仕分け、処分方法をDVDと教材で学びます。レポートを提出し合格した方のみが授与される資格で、合格率は65%と民間資格の中では取得しやすいです。
3-4.孤独死のあった部屋は遺品整理業者に依頼
孤独死された遺品整理現場の場合は業者に依頼しましょう。
孤独死で発見が遅くなった場合、遺体の腐敗によって臭いや汚れが壁紙の奥や床板の下まで染み込んでいることが多く、その様な状態になれば特殊清掃が必要になります。体液の除去や脱臭には業務用のオゾン脱臭機や洗浄力の強い業務用洗剤が必要で、個人でできるレベルではありません。
まずは特殊清掃業者を利用しましょう。遺品整理業者の中でも特殊清掃士の資格を持つ業者に依頼するのがおすすめです。
特殊清掃については【特殊清掃と遺品整理・賃貸物件の場合の費用】をご覧ください。
4.遺品整理業者への依頼方法と手順とは?
遺品整理を業者へ依頼する場合の手順についてご紹介します。
1.問い合わせ・見積り・契約
遺品整理業者への依頼方法はメールや電話で行います。
適正料金は同じ間取りでも間取りや遺品の量と質によって、数万円以上異なりますので、3社程度に見積書を作成して適正料金を把握します。
作業当日に追加料金を請求されないよう、必ず訪問見積もりに来てもらいます。
見積もり内容をしっかりと比較し、最適な遺品整理業者を選んだら契約に進みます見積書が契約書の代わりとなることもありますが、可能であれば契約書の作成をお願いしましょう。
金額が10万円以上になる場合や2人以上で費用を負担する時には、書面に残すとトラブル防止の効果があります。
2.遺品整理作業当日(開始前)
遺品整理作業の当日は確認作業からスタートします。
見積もり担当者が遺品整理作業当日に来られない時には、この時間をとらないと希望に沿って遺品整理が進まないことや、誤って処分されてしまうこともあります。
遺品整理作業中は引越し時の様に大きな音を立てることもありますし、搬出用のトラックの出入りで近隣に不便をかけることがあります。作業前に近所への挨拶をサービスの一環としている遺品整理業者もあります。
3.仕分け・梱包と搬出
一つ一つを丁寧に仕分けし、遺族へ返却する貴重品と処分する物を分別していきます。
また、古物商許可を取得している遺品整理業者は買取査定をします。
依頼者が不用品と思っていても買取可能な物はその場で査定し、買取り価格を付けます。
買取価格は一般的に作業費用から引かれることが多いのですが、希望する場合には現金で渡してくれる遺品整理業者もあります。買取可能な遺品が含まれている場合には買取り金額の受け取り方法を事前に確認しましょう。
遺品の仕分け・分別が終わったら順番に運び出していきます。室内を傷つけないようにマンションの共有部分や室内を養生してから行うケースもあります。
立ち会っている場合には遺族に返却する遺品は大切に段ボールに梱包され、その場で渡されますが、遺品の量が多い場合や遠方に住んでいるケースでは依頼者の自宅へ送ることもあります。
5.室内の清掃作業
遺品整理が終わり、部屋に物がない状態になれば簡易清掃作業が始まります。
ハウスクリーニングとは異なり簡単な掃き掃除や拭き掃除程度です。水回りや壁についた汚れなども綺麗にしたい時には別途、ハウスクリーニング業者に依頼します。
遺品整理業者によってはハウスクリーニング事業を行ってくれる場合があるので、見積もり時に確認し、必要であれば依頼します。
6.遺品整理完了後の確認と支払い
最後に部屋の状態をチェックし、遺品や不用品の仕分けに間違いがないか確認したら作業は終了です。しっかりと作業状態を確認し、納得した状態で支払いを行いましょう。
5.遺品整理を業者へ頼む場合の費用の相場は?
遺品整理を業者に頼む場合、気になるのが費用の相場です。遺品整理については部屋の間取りや広さなどで大きく価格が変わります。
また、荷物の多さや部屋の状態、作業スタッフ人数や時間によっても価格が変わります。
特殊清掃が必要な場合やお焚き上げなどの供養を追加する場合には別途料金が発生します。遺品整理を依頼する都道府県によっても価格が変わり、大都市ほど作業の価格が高い傾向にあります。
さいたま市の場合
1K:30,000円~
1DK:50,000円~
1LDK,2DK: 80,000円~
2LDK,3DK:130,000円~
3LDK以上:180,000円
戸建て:200,000円~
6.遺品整理の注意点はたった3つだけ
遺品整理を行う時に注意すべきポイントが3つあります。
3つのポイントを理解せずに遺品整理を進めると後悔や親族間のトラブルにもつながりやすいので、以下のポイントを守りましょう。
6-1. 遺言書を確認する
遺品整理を始める前に、遺言書の有無を確認しましょう。遺言書には法的効力があり、遺品の分配や貴重品の保管場所について記されていることもあります。
遺言書は自宅内であれば金庫・机の引き出し・タンス・仏壇に保管されているケースが多く、自宅外であれば銀行の貸金庫や友人に託されているケースもあります。
公正証書遺言を作成し、公証役場に遺言書が残されていることもあるので、可能な限り確認しましょう。
遺言書が残されていた場合は故人の遺志を尊重するためにも遺言書の内容に沿って遺品整理を行います。
6-2.遺品の買取金額を確認する
遺品の中には買取価格がつくものが含まれているケースもよくあるので、遺品整理費用を安くするためにも事前に確認しましょう。
買取専門業者に来てもらう方法の他に、ネットオークションサイトから自分で調べる方法もあります。遺族は価値がない遺品だと思っていても、買取の査定へ出すと思わぬ高額の査定が出る場合もあるので、一人で判断するのではなく、身内や専門業者に確認します。
6-3.個人情報は慎重に処理する
故人の個人情報は慎重に処理しましょう。
特にクレジットカードなどは解約後、切り込みを入れるなど適切な処分をしないと完全に処分したとは言い切れません。また、免許証や健康保険証などは役所や警察署に返却が必要です。
近年トラブルとなるのが携帯電話やスマホ、パソコンなどのデジタル遺品です。デジタル遺品は個人情報の宝庫と言われ、悪用される可能性が高いものです。個人がスマホを利用してネット証券やFXで信用取引をしていた場合には、遺族が損害を被ることもあります。
パスワードやアカウントを個人しか把握していなかった場合などはデジタル遺品を専門に取り扱う業者もあるので、依頼して処分するのがおすすめです。
デジタル遺品の処理や取り扱いは【デジタル遺品のトラブルの3つ!パスワードが分からないときの対処法】をご覧ください。
近年注目の遺品整理業界
終活について関心が高まり、生前整理・遺品整理についてのニーズも増えてきました。
ニーズの増加と共に遺品整理を利用すしなければならない立場の弱い人に付け込む、悪徳業者も増えつつあるのが現状です。遺品整理業者は無資格で誰でも開業することができるので、中には高額な金額の請求をしたり、不用品を不法投棄するような悪徳な業者も問題視されています。
このようなトラブルに巻き込まれないためには、業者をしっかりと見極める事が大切です。
ReLIFEでは全国の遺品整理業者を紹介しています。お気軽にご相談ください。
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