遺品整理がつらい3つの理由と悲しみを乗り越えた方法
親や兄弟が亡くなった後に最後に遺族がしてあげられることが遺品整理です。
心の準備をしていても簡単に受け入れられるものではないので、遺品を見るたびに親の顔が思い出とともに蘇りつらくて遺品整理が進められない方も多いのではないでしょうか。
持ち家であれば遺品をそのままにしていても問題ありませんが、賃貸物件や売却が決まっている場合には遺品整理の期日も決まってしまいます。間に合うように遺品整理をしなければならず、心の整理がつかない方への対処法をご紹介します。
この記事を読むと遺品整理のつらさと向き合い解決する方へと前向きになれます。
【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子
祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけること仕事のやりがいとしています。
遺品整理がつらい3つの理由
遺品整理がつらい理由は大きく分けると3つですが、一番のつらさの原因は明確な理由が分からなくなっており、向き合って解決することができないことです。
ここからは3つのつらい理由をご紹介します。
①遺品を見るのがつらい
当然ですが、故人が亡くなったことへの悲しみは遺品整理がつらい最大の理由です。遺品整理では故人が普段使っていた食器や洋服、くつなど身の回りの遺品から写真、手紙など一緒に生活していた時には触れることのなかった遺品も片付けなければいけません。
故人の使っていた食器からは一緒に食卓を囲んだ風景が蘇りますし、日記や手紙の整理では今まで知らなかった故人の思いを知ってしまうこともあります。故人と遺品と自分との記憶が蘇ると後悔やもういないことへの喪失感がうまれることは遺品整理がつらい理由の一つです。
悲しみで感情のコントロールができない時期には遺品整理よりも気持ちの整理が必要です。
②遺品整理は時間がかかる
遺品整理では室内にある家具から鉛筆一本まで全てを仕分け、処分しなければなりませんので時間がかかります。
分別や仕分けをするだけでも数日かかりますし、さらに不用品やゴミを自治体のルールに沿って捨てる時には処分だけでも1週間から1か月かかります。
自分で遺品整理をする場合には故人の写真や手紙日記を読みたくなってしまい、感情が入ってしますので、判断に時間もかかります。また、遺品は他人のモノですのでどこまで捨てたらよいか分からないことも、判断時間を長くする原因です。
また、遺品整理先が車で1時間程度の距離だったとしても毎週通って遺品整理をするのはつらいものです。
③遺品整理には体力的に疲れる
遺品の量が多いと仕分け、分別、運び出しと遺品整理作業のすべてに力仕事になりますので、体力的にもつらいです。
故人が生前整理を行っていなかったときや庭付き戸建て、さらに物置や車庫まであるときの遺品の量は2トントラック7台以上になります。親世代は物を捨てること=「もったいない」という考え方をする世代なので、家族から見ればゴミ同然の壊れたラジオなどでもしまっておく場合が多いです。
これら遺品を1つ1つ確認、分別するのは時間も体力もかかる作業で、物の量に比例して遺品整理は体力的につらくなります。
つらさを乗り越えて遺品整理する
遺品整理のつらさを乗り越えて遺品整理を行う方法を3つだけご紹介します。これらが当てはまれば、遺品に対して前向きに向き合えて遺品整理のつらさが和らぐでしょう。
悲しみに浸る
遺品整理がつらい理由の最大の原因となっている「大切な家族が亡くなったこと」を受け入れることが乗り越える方法の一つです。
亡くなったことに対して周囲に心配をかけないよう気丈にふるまっていたり、葬儀や手続きで悲しみに浸れなかった方は故人の死と向き合えていなかった可能性が高いです。
遺品整理先で故人のモノを手に取り、思い切り泣き崩れることで、抑えていた感情を放出でき、受け入れることができます。
気の許せるパートナーや故人と関係が深い方と一緒に悲しみに浸ると感情を共有できますし、言葉にした感情を受け入れてくれるのでおすすめです。
手元供養で心のよりどころを作り、つらさを軽減する方法もあります。
手元供養については【手元供養の方法と種類、3つの注意点、遺骨アクセサリー】をご覧ください。
グリーフケア
悲しみに浸る方法の一つにグリーフケアがあります。
グリーフケアとは論理的に悲しみと向き合う方法で、グリーフケアの専門資格を取得した方に胸の内を話すと自分自身の心の整理ができ、つらさが軽くなると言われています。
自分一人ではつらい感情を出せない方は科学的根拠に基づいて、悲しみに浸ることもできます。
遺品整理は親族と協力する
遺品整理の作業を親族で協力して行うと体力的なつらさが軽減できます。さらに、遺品を見て思い出を共有することで気持ちの面でのつらさも軽くなります。
遺品整理は家具や家電を搬出する時には男性の力も必要なのでできるだけ大人数で行います。ただし、遺品の中には貴重品や個人情報の書かれた日記も含まれますので、近しい親族だけで行いましょう。
遺品整理の時期を決める
遺品整理を区切りのいい時期から始めると気持ちも整えやすくなります。
故人の死を悲しむことや前向きになれないのは当然の感情ですが、いつまでも思い続けることは自分のためにはなりませんし、故人もそのような状況は望んでいないでしょう。
法要で親族が集まる四十九日や一周忌、三回忌をきっかけに親族と話し合うところから
はじめてみてはいかがでしょうか。
四十九日は仏教の世界では故人の魂が現世からたつ日とされており、これに合わせて法事も行うので気持ちの面でも罪悪感が薄まります。法事に合わせて親族に遺品整理を始めることを伝えると協力も得やすく、トラブルも防げます。
遺品整理は感情面、体力面、時間面の3つの方向からつらい作業なので、自分たちで区切りをつけないといつまでたっても取り掛かることができません。つらいときは家族で協力し時間を決めるのも一つの手です。
遺品整理の始め方
気持ちが落ち着いたら遺品整理を始めてみます。ここからは遺品整理の始め方を簡単にご紹介します。
自分で遺品整理を行う方法は「自分で遺品整理を行う方法」をご覧ください。
1.遺品から貴重品を分ける
故人が急に亡くなられた時には、室内には現金や通帳、貴金属などの貴重品が残っていますので、まずは以下の貴重品を取り出します。
・現金・通帳・印鑑
・土地の権利書や借用書など相続手続きに必要な書類
・生命保険、損害保険関係など解約が必要な書類
・指輪や金塊等の貴金属
土地の借用書は本棚や書類ケースにまとめられていることが多いのですが、慎重な方は床下収納など普段目につきにくい場所に保管していることもあります。貴重品を探す中で写真や手紙なども出てきますが、まずは貴重品を探すことに集中します。
2.買取業者を利用する
遺品の中でも骨董品や家電製品、家電、ブランド品は買取り対象になることが多いので買取り専門業者に査定してもらいます。時間があれば、各種専門業者に来てもらった方が査定価格は上がります。
例えば、ピアノは専門業者であれば調律が取れていないものでも買取り対象となりますが、リサイクルショップなど総合的買取業者では買取価格が付かないこともあります。
3.仕分け・分別・ゴミに出す
買取業者に買いとられなかった遺品は市場価値がないものとなるので、ゴミとして処分します。ゴミの処分方法は自治体によってルールが違うので、ゴミのガイドブックで確認し正しい方法で分別、仕分けします
例えば、洋服は可燃ゴミ、食器類は不燃ゴミですので袋も収集日も異なります。
箪笥などの大型家具は粗大ゴミに分類され、自身で収集予約し、粗大ごみ処理券を購入して指定日に出します。粗大ゴミや可燃ゴミ、不燃ゴミをまとめてゴミ処理施設に持ち込み処分する方法もあります。
戸別収集、持込処分どちらの場合も人手と時間が必要になります。
不用品回収業者に依頼する
分別や仕分けはできるけれど大型家具や家電の処分ができない時には不用品回収業者を利用します。
遺品の分別、仕分けと粗大ゴミ以外を処分し、粗大ゴミだけを不用品回収業者に任せると費用も体力への負担も軽くなります。
どうしてもつらい時は遺品整理業者に任せる
どうしても自分で遺品整理を行うのがつらい時には遺品整理業者に任せる事をおすすめします。
遺品整理業者に依頼すると自分で片付ける場合と比べて費用は高くなりますが、時間と体力面でのつらさは遺品整理業者が引き受けてくれます。感情面でのつらさを取り除くことは難しいのですが、遺品整理を作業から解放され、遺品整理を故人を思う時間を作ることはできます。
遺品整理の料金
遺品整理の料金は「遺品の量」と「質」によって作業時間と人数、車両台数が割り出されてきまります。
一般的に家が広いほど遺品の量は多くなりますし、故人が認知症だった場合や孤独死を迎えた場合には遺品の状態が悪く、資源としてもリサイクルできず、処分費用が高くなりやすいです。
目安料金は以下のようになります。
間取り | 料金相場 |
1R・1K | 30,000円~80,000円 |
1DK | 50,000円~120,000円 |
1LDK | 70,000円~200,000円 |
2DK | 90,000円~250,000円 |
2LDK | 120,000円~300,000円 |
3DK | 150,000円~400,000円 |
3LDK | 170,000円~500,000円 |
4LDK以上
戸建 |
220,000円~600,000円 |
詳細や内訳は遺品整理の料金は4つ+αで決まる!いい遺品整理業者の方が安い理由をご覧ください。
遺品整理業者の選び方
遺品整理業者を選ぶ時には必要な許可を取得していて、自分の気持ちに寄り添ってくれる業者を選びましょう。遺品整理は一般家庭から不用品を引き取るので「古物商許可」または「一般廃棄物収集運搬許可」が必要です。
許可の有無は遺品整理業者のサイトや各自治体のホームページ、公安委員会のサイトから確認することもできますし、見積もり時に見せてもらうとさらに安心です。
これらの許可を取得していない遺品整理業者は回収後に処分先やリサイクルルートが整えられていないので不法投棄される危険もあります。不法投棄は違法行為ですし、個人情報の流出にもつながります。
また、遺品整理業者のスタッフが親身に話を聞いてくれる業者を選ぶことも遺品整理のつらい気持ちを和らげてくれます。第三者である遺品整理スタッフに思いを聞いてもらうだけでも効果が期待できます。
詳細な選び方は【遺品整理業者の選び方】でご紹介します。
遺品整理料金を安くするコツ
遺品整理の料金を安くするコツは相見積もりをとることです。
1つ目は相見積もりをとることで、3社程度から同じ条件で見積もり金額を出してもらうと料金やサービス内容が比較できます。相見積もりは料金が安くなるだけではなく、スタッフン対応や基本料金に含まれる作業内容まで比較できるので、おすすめします。
【遺品整理の相場料金と安くするコツ】では遺品整理業者に支払う料金を数万円以上安くする方法を具体的方法でご紹介しています。
遺品整理のつらさを乗り越えた方法
遺品整理業者を利用して遺品整理のつらさを克服した方からの体験をご紹介します。
体験談・夫の遺品整理
いつものように会社に出かけた夫が返ってくることは二度とありませんでした。
通勤中に事故に巻き込まれて私の前からいなくなってしまったのです。その日を境に夫が使っていた髭剃りや食器、洋服はその日から「持ち物」から「遺品」へと変わりましたが、私は現実を受け止めることができずにそのままにしていました。
葬儀や四十九日、一周忌と法要を重ねるたびに私の気力は失われていきましたし、夫と過ごした家にいること自体がつらくなっていきました。
何も手につかないことを心配した娘が同居の提案をしてくれ、引越しのために遺品整理を始めたのですが、考えるだけで涙があふれてきて全く手につきませんでした。本来なら自分で仕分けをしたかったのですが、見かねた娘が遺品整理業者を手配してくれました。
遺品整理業者の方には「夫との思い出はすべて残してほしいが、それは無理だと分かっている」ことを伝え、遺品整理士の経験から思い出の品を選んで残してほしいと伝えました。
遺品整理が終わった後、ミカン箱1箱程度の大きさに主人の生きた証がまとめられていました。中には新婚旅行や孫を抱く主人のなどベストショット写真だけが厳選して入れられていました。他にも探していた保険証券や印鑑など貴重品も入っていました。
スタッフの方が私の話から汲み取って遺品整理をしてくれたおかげで、主人との日々が思い出になり、少しだけつらさが和らぎました。
(60代・女性)
遺品整理でつらい思いをしないさせない
遺品整理でつらい思いをしたくない方、子供に負担をかけたくない方は事前に準備することで対策できます。
子供につらい思いをさせない生前整理
子供に自分の遺品整理をつらいものにしないためにするのが生前整理や老前整理、身辺整理です。言葉は違いますが、どれも不用品を捨てて必要な物だけを残すことが目的で、遺族の負担を減らすことにも繋がります。
子供や兄弟と一緒に生前整理を行うとその場で自分の思いを伝えられるので、理想的です。
詳しい手順ややることリストは年齢や環境によって異なります。
目安として退職された65歳以上の方は「生前整理」を行い、財産分与や相続について家族と話しあいましょう。
40代~50代で仕事に趣味にとまだまだ活動的な世代は「老前整理」で、今後20年の住まいや物、人とのかかわり方について検討するとその後の生前整理がスムーズに進められます。
自分がつらい思いをしないの実家の片付け
親の遺品整理で自身がつらい思いをしないために今からできることは実家の片付けを始めることです。親世代は勿体ない精神の中で育ってきたので、物を捨てることに対して罪悪感を抱くこともあります。
急に自分の感覚を親に押し付けても親子関係に亀裂が入り、遺品整理時に後悔することになってしまいます。実家の片付けをするときにはまずは自分の残しておいた学生自体のアルバムや置きっぱなしになっている着物や趣味の用品を引き取ることから始めましょう。
その後に続く本格的な実家の片付けは「実家の片付け方」をご覧ください。
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