長屋のリノベーションプラン!テラスハウスにも挑戦
近年では、新しい建物はもちろんのこと、古い建物を元々の良さを活かしつつ、おしゃれかつ利便性があり、住みやすい住まいへとリノベーションする動きが盛んになっていますよね。
昔ながらの長屋もそんなムーブメントの中、オシャレな住まいに姿を変えています。
昔からある木造建築で、古くて狭くて暗いというようなイメージの長屋の室内空間でしたが、現在では、リノベーションの力によって、快適な室内空間が実現されています。
この記事では、長屋の特徴と長屋の良さを活かしたリノベーションについて紹介していきます。
「長屋を1棟まるごと買い取ってご自分の家にリノベーションしたい」
「保有している長屋を賃貸物件として生まれ変わらせたい」
という方は参考にしてみてはいかがですか。
そもそも長屋とは?
長屋とは、「複数の住戸が水平方向に連なり、壁を共有する物。」と定義されていて、簡単にいうと、複数戸が1つの建物の中で壁を共有する形で構成される集合住宅のタイプのことを言います。
現在では「テラスハウス」「タウンハウス」という呼び方がしっくりくるのかもしれませんね。
特徴的なのは、それぞれの住戸が1つ1つ個別に直接外へとつながる玄関やアプローチを持っていることです。それぞれの住戸に玄関が付いていて、その玄関を他の住戸と共有していないという特徴があります。
長屋に似たものに共同住宅がありますが、長屋には共有部分が存在せず、共同住宅には共用部分が存在するという違いがあります。
共同住宅では、道路から住戸に入る際は、廊下・階段・エントランスなどの共用部分を通ります。それが大きな違いになります。この特徴から、各都道府県の条例において、特殊建築物となる共同住宅は、耐火建築物にする必要など、長屋よりも様々な制約が課せられることになります。
具体的には、火災発生のおそれが大きいなどの用途上の理由から、防火や避難などに関する規制が他の建築物よりも厳しく適用されている特殊建築物があります。そして、共同住宅は特殊建築物に該当しますが、長屋は特殊建築物に該当しないということです。
長屋のリノベーションプラン
築年数の古い長屋物件は格安で1棟売りされていることも多いため、安価で買い取ることができます。ただ、現代の基準で考えると、古い長屋は少し住みづらいという問題点もありますので、広い一軒家として活用するにはリノベーションが必要です。
ここから、長屋のリノベーションプランについてみていきましょう。
長屋のリノベーション費用はどれくらい?
2棟の連棟長屋をリノベーションする費用は、築数十年~80年程度の物件を例に取ると最大1,000万円ほどが相場となります。
間取り変更の方法や、それぞれの住戸についての玄関を1つにするなどの手法が若干加わる以外は、一般的な戸建て住宅のリノベーション費用とそれほど変わらないと言えます。
もちろん、物件の状態や傷みなどの状況によって実際の費用は変わってきますが、長屋の中古物件自体はとても安く、日本の中古住宅は築20から30年で不動産としての評価がゼロになります。そのため地域によっては土地を含む購入費用が1,000万円以下の場合も多々あります。
新築住宅を購入するのと比較しても、必要コストがかなり安いので、リノベーションにお金をかけられるのは長屋を購入・リノベーションする大きな魅力です。
和室→洋室へのリノベーション
古い長屋は基本的に平屋建てで全室和室です。全室和室の長屋は部屋が細かく仕切られており、それによって室内の暗さや狭さを感じるというような問題がありました。
その問題を解決するために、玄関を1つにし、低い天井高をあげ、断熱・気密加工を施し、全室洋室にするといったプランが考えられます。
さらに天窓等を設けることで、構造上光が届きづらい室内にも自然光が入るように工夫したり、細長い空間を活かして壁面収納を設けるなど、様々な工夫をすることができます。
海外でも、欧米を中心に長屋形式の建物が多く見られますが、庭がある場合は、複数階ではないものの、テラスハウスやタウンハウスに近い形式にリノベーションできますね。
老朽化に対応できるリノベーション
経年劣化の影響で、現行の建築基準法の耐震基準に満たない長屋もあります。その場合は、耐震リノベーションが必須になります。
内装を全て解体し、構造部分を補強して、間取りを変更するといった総合リノベーション工事をした方が良いでしょう。
外壁や外観についても、モルタルの壁の場合は重くて耐震性に問題が出る可能性があるので、軽量な金属サイディング等に変更するとデザイン面でもモダンな感じが演出できます。
水回りのリノベーション
台所とリビングをつなげてLDKにする、狭い浴室を拡張し、ユニットバスを設置するといった水回りのリノベーションも視野に入れて良いかもしれません。
老朽化の影響で、長屋の水回りは「住みづらく」なっている場合が多く、配管等も劣化している場合も多いので、専門家にきちんとみてもらって、水回りをどう改善するかという計画を立てましょう。
長屋のリノベーションの注意点
前出した通り、長屋は数戸の住居を合わせて、一軒の家として立てられています。その全てを保有しリノベーションできる場合は問題は少ないですが、その特殊な構造から一軒家のリノベーションとは異なる点で注意が必要です。
大規模な間取り変更に対応できない可能性
長屋はその構造上の特徴から、他の世帯とも共有している柱があり、天井の梁はもちろん、世帯間によっては、手入れができない部分が存在します。
そのため、大規模な間取りの変更ができない可能性もあります。長屋のリノベーションをするにあたり、間取りにこだわりたい方は業者と相談して、どこまで間取りの変更が可能かを確認してみると良いでしょう。
必須である防音工事
長屋は壁一枚を隔てて住居が連なっています。そのため、近隣に生活音が筒抜けになることも考えられます。そうでなくても、もともと長屋の壁は厚くありませんので、防音工事は必須です。
近隣トラブルの防止のために、隣接する住居と共有する壁の防音性を高める工事をしましょう。
さらに、リノベーション工事中の騒音問題も懸念されますので、近隣の住民がいる際にはしっかり工事の前に、その旨をお伝えしましょう。
コストが想定よりかかる可能性がある
リノベーションを進めるにあたり、新しく直さなければならない問題が発覚することもあります。
壁の中の状態は専門家でも、実際に見てみるまではわかりませんので、万一工事が始まってから直さねばならない部分が発覚したとして、外壁をサイディングに変更したり、痛んだ木の柱や梁を交換する工事が必要になります。
なので、業者と最初に見積もりをしてもらったものに加えて、新たに追加予算が必要になるケースがあります。
直前まで誰かが居住していた長屋では、そのようなメンテナンスをしている場合がほとんどですが、予算は余裕を持って確保し、不測の事態に備えられるようにしておくことをオススメします。
長屋のリノベーションで快適な住空間を!
長屋のリノベーションは現代の生活との違いを考えると、耐久・耐震性の面での補強は必須です。
長屋はその構造が少し特殊で、リノベーションに特別な工事を必要としますが、費用は一軒家のリノベーションとさほど変わりません。
長屋の購入を検討されている方は、二戸以上の長屋をつなげれば広い住環境を実現することもできますし、一棟丸ごと売りに出されている場合は、間取り全てを自由にリノベーションすることもできます。
すでに長屋を保有している方もリノベーションの力で素敵な収益不動産に改装することができます。
この機に長屋のリノベーションを考えてみたらいかがでしょうか。