あさイチ【デジタル遺品】被害にあわないためには?危険性と対策まとめ
「デジタル遺品」という言葉を知っていますか?
NHKの朝の情報番組「あさイチ」で取り上げられたことでその危険性が認知されつつありますし、最近では山田孝之×菅田将暉W主演ドラマ「dele(ディリー)」(テレビ朝日)でもテーマとして取り上げられるくらい、ネット社会となった現代の大きな問題の一つと言ってもいいでしょう。
目次
「デジタル遺品」とは
デジタル遺品とは故人が残したデジタルデータのことで、
・パソコンやスマホの中の写真・メール・アドレス帳などのデータ
・ネット銀行のデータ
・ブログやSNSなどのコミュニケーション履歴
などのことを言います。
これらのデジタル遺品ですが、故人からなにも知らされていないと
・ネット銀行の引き落としができない
・ネット証券で多額の負債があるのを知らず、負債額がどんどん膨れ上がってしまう
・ブログが乗っ取られてネット犯罪に巻き込まれる…
など、大きなトラブルに発展しかねません。
最近のデジタル製品やネット環境はセキュリティが強化され、本人でないとパスワードがわからなくて遺族にはどうすることもできない、というようなケースが増えており、デジタル遺品は遺品整理の中でも特に対策が難しい分野となっています。
「デジタル遺品」のトラブル事例① FX取引~あさイチより
FX取引で巨額の負債!
交通事故で夫を亡くしたAさん。
夫のパソコンの中に遺産相続に関するデータがあるのでは?と、パソコンを起動したところ、証券会社から「FXで1500万円の損失が出ているため、早急に支払ってください」という請求メールが!
Aさんは、夫がFX取引をしていたことすら知りませんでした。
FX取引とは、為替の変動にあわせて外国の通貨を売買するハイリスク・ハイリターンの金融商品取引で、夫が他界した後はその取引が放置状態となってしまったために、巨額な損失を出してしまったのです。
証券会社はその損失を請求するため何度も、夫の携帯電話に連絡を取っていましたが、携帯電話は事故で壊れていたためつながりませんでした。
ネット証券を開設する際、最近は住所や固定電話の登録が義務化されていないケースも多く、固定電話を知らされていない証券会社は夫のアドレスに何通も請求メールを送っていました。
あまりに連絡が取れないため、証券会社は訴訟の手続きに入ろうとしていたところでした。
Aさんはなんとかお金を集め、証券会社に払ったということですが、思わぬ形で巨額の負債を抱えてしまうことになりました。
FX取引の確認と対策
いくら知らなかったとはいえ、負の遺産も相続人が支払う義務があります。
確認方法としては下記2点があげられます。
1.口座開設の際に書類が送られてきているはずなので、家中を探す。
2.各運営会社のコールセンターに連絡をして、口座の有無を確認する。
3.口座をもっているということを知っている場合は、死亡したことをコールセンターに連絡する。
コールセンター側で取引を中断してくれ、口座番号を教えてくれるケースもあり。
※注意点※
・口座凍結には約4か月かかる
・「相続放棄」をすると借金の返済をする必要はなくなるが、一方でその他の財産も受け取れない
遺族が個人の取引有無を調べたり、証券口座を解約するのはとても大変です。
万が一に備え、下記3点をノートなどに書いてまとめておくといいでしょう。
①運営会社の名前
②口座番号
③ID/PASS
「デジタル遺品」のトラブル事例② ネット銀行~あさイチより
故人の預金に気づかない!?
インターネット上で入出金や残高照会ができるネット銀行は多くが通帳を発行していないため、遺族がその預金に気づきにくいものです。
基本的に本人や相続人からの問い合わせがない限り、いくら入出金が全く行われない状態であっても、銀行から連絡を取るという事はありません。そのため、その存在を知らなければ、ずっと放置されつづけることになります。
ネット銀行の確認と対策
確認方法としては下記2点があげられます。
1.キャッシュカードを探す
2.口座開設の際の書類を探す
3.各銀行のコールセンターに連絡をして、口座の有無を確認する。
FX取引の時と同様、下記3点をまとめておくと、預金の受け取りがスムーズです。
①銀行の名前
②口座番号
③ID/PASS
「デジタル遺品」のトラブル事例③ ブログ~あさイチより
思い出として残していたブログに不正広告が!?
病気で夫をなくしたBさん。
Bさんの夫は旅行が趣味で、旅先の思い出をブログにつづっていました。
思い出を消去することができず、Bさんはブログを消去せずに放置していました。
ある日、友人から一本の電話が…
「ブログに不正広告が掲載されてるよ」
なんと、夫のIDとパスワードを盗み出した第三者が勝手に不正広告を掲載していたのです。
友人はその広告をクリックして買い物をしてしまったために不正にカード番号等の個人情報を抜き取られ、頼んだはずのない品物が届いたり、身に覚えのない多額の請求が来てしまいました。
ブログを乗っ取られない為の対策
一番確実な方法は
1.削除する
ことです。ブログの管理会社に連絡し、死亡の確認が取れれば削除してもらえるようです。
しかし、中にはブログを残しておきたいという遺族の方もいるでしょう。
その際は
2.遺族がブログの管理を引き継ぐ
という方法があります。
遺族が引き継いだ場合は、定期的に不正な書き込みやURLが貼られていないかを監視する必要があります。
ただし、このブログも個人が秘密でやっていたら遺族にはどうすることもできません。
やはり下記2点は家族間で共有しておくことがベストです。
①運営会社の名前
②ID/PASS
「デジタル遺品」のパスワードがわからないときは?~あさイチ紹介会社
遺品整理をしていると、パスワードが分からず、個人のパソコンや携帯からほしい情報を手に入れることができないこともあるでしょう。
あさイチではデータ復旧専門会社「一般社団法人デジタル遺品研究会ルクシー」が紹介されていました。
特殊なプログラムを起動するとわずか5分でパスワードが解除されました。
あっという間でいかにも簡単!と思うかもしれませんがこのデータ取り出しには20万円ほどかかるそうです。
「デジタル遺品」の危険から身を守るには~まとめ
現代社会の情報化の流れはとどまることを知らず、常に新しいデジタルデバイスが生まれ、さらにはセキュリティもどんどん強化されています。
それに伴い、デジタル遺品問題は今後より一層増えていくでしょう。
いつ自分や家族が事故、災害に巻き込まれるかわかりません。
あさイチの事例を見ても、いつだれが巻き込まれるかわからない問題だということがよくわかります。
エンディングノートが流行っていますが、その中にデジタル関連の情報も入れておくといいでしょう。
※スマホで気軽にできるエンディングノートというのもありますが、おすすめしません。
ノートなどの紙に消えないペンで書いておきましょう。
デジタル遺品に限らず、普段からもしものときの話を家族として情報共有をしておくのがいいですね。