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遺品整理

実家の家じまいで失敗しない進め方|後悔しないコツ

自分の老後を考えて、家じまいについて次のような不安はありませんか?

・家じまいとはどのようなものか、よく分からない。
・具体的な家じまいのやり方が気になる。
・家じまいにかかる費用を知りたい。
・家じまいをして後悔したらどうしよう……。

老後を快適に過ごしたり、子供への負担を軽くしたりするために、終活のひとつとして家じまいを行なう人が増えています。メリット多い家じまいですが、誤った方法で進めてしまうと「後悔」につながってしまいます。

正しい知識があれば、自分も家族も納得いく家じまいができるようになります。
この記事では、家じまいの手順や費用、後悔しないためのポイントについて解説します。



【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子

祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとしています。

家じまい

家じまい

家じまいとは

家じまい
家じまいとは自分の所有する家を子供に引き継がずに自分で処分することであり、終活のひとつです。

近年は少子化や核家族化が進んで親の家を引き継ぐケースが少なくなり、全国的に空き家が増え続けています。そのため、将来的に家が空き家になってしまうリスクなどを踏まえて、家主が家じまいをするケースが多くなっているのです。

家じまいと実家じまいとの違い

家じまいが自分の家の処分であるのに対し、実家じまいは親の家を処分することを意味します。

実家じまいを考える人の多くは、親が亡くなったり施設に入所したりして空き家になってしまうことを機に実家じまいを行ないます。実家じまいは家主本人が行うものではないため、要不要などの判断がしづらく作業が進みにくい傾向があります。

一方、家じまいは家主が自己決定できるため、比較的はかどりやすいといえます。

家じまいの流れ5ステップ

家じまい
家じまいは、次の5段階で行います。

1.スケジュールを立てる
2.引っ越し
3.家の中を空っぽにする
4.家を処分・解体する
5.土地を手放す

この順番を間違えてしまうと、

・次に住む場所が決まらないうちに家が売れてしまった
・無駄な費用がかかってしまった

などのトラブルと後悔が起こりやすくなります。

1.スケジュールを立てる

最初に、家じまいのスケジュールを決めます。家じまいの目的や予定時期などのスケジュールを明確にしておかないと、決断が先延ばしになりいつまでも家じまいが終わらなくなってしまうので注意が必要です。

また、スケジュールに沿って必要な手順を洗い出さないと、費用がどれくらいになるかを予測することもできません。

<具体的に決める内容例>
・何のために家じまいを行なうのか
・いつまでに家じまいを完了させるか
・引っ越し先の選定や家の売却など、各段階の予定時期
・家じまいのリーダーは誰なのか

これらの内容を漏れなく決めて家族とも共有しておくと、混乱せずに家じまいを進めることができます。

2.引っ越し

今現在住んでいる家を処分するのであれば、家を手放す前に新しい住居へ引っ越さなければなりません。賃貸マンションや高齢者施設など自分に合った生活の場を見つけて契約を結び、転居します。

物件選びや契約の審査、手続きなど引っ越しには最低でも、1か月以上はかかるでしょう。

転居の際には、引っ越し業者に依頼して家財や荷物を転居先に運び出してもらうのが一般的です。なお、引っ越し先に家財などを持ち込む前に、間取りや荷物の量を考慮して入りきるか下調べを済ませておく必要があります。

3.家の中を空っぽにする

新しい住居に引っ越したら、古い家のなかにある不用な物を処分して家を空っぽにします。

たとえ家を解体処分する場合でも、基本的には家を空っぽにしなければなりません。理由は2つです。

① 費用を抑えるため
家財を家に残したまま解体業者に任せた場合、処分する家財が産業廃棄物扱いとなるので費用が高くなってしまうからです。

② 貴重品を引き取るため
暮らしてきた家では、家主すら忘れていた貴重品が出てくることもあります。独立した子供の思い出の品も残されているでしょう。捨ててしまった後で後悔しないよう、確実に引き取るためにも空っぽにしなければなりません。

家を空っぽにする作業は、自分たちで行うことも可能です。しかし、家のなかの物品をすべて仕分けして粗大ゴミや一般ごみに出すのは重労働なので、不用品回収業者に一部または全部を依頼するケースが多く見られます。

市場価値のある家財や家電類を処分する際には、不用品回収業者やリサイクルショップなどで買い取ってくれることもあります。

家を処分・解体する

家じまい
家の処分方法は大きく分けると、

① 現状の家が建ったまま売却する
② 家を解体してから土地を売却する
③ 家を解体して土地だけ保有する

の3つです。

① 現状の家が建ったまま売却する

家ごと売却する場合、自分で直接買い手を探すことも可能ではあります。
しかし、家の売買には難しい手続きも多いので、不動産業者に依頼するのが一般的です。不動産業者と仲介契約を結ぶと、不動産業者が売却広告を作成して販売活動を始めます。購入希望者が現れたら、不動産業者の仲介のもとで条件交渉や売買契約を行ないます。

② 家を解体してから土地を売却する

家を解体してから土地を売却する方法は、家が老朽化している場合などに選択します。古い家ごと売るより更地にしたほうが、売れやすくなる場合もあるからです。しかし、解体費用が発生してしまうので、解体するか「古家付き土地」として売却するかは、不動産業者に相談して決めると安心です。

③ 家を解体して土地だけ保有する

家を解体して土地だけ所有し続ける場合、コインランドリーや駐車場などにして土地活用する人もいます。

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土地を手放す

所有している土地の使い道がない場合には、売却して処分します。

たとえば、利益の出ない駐車場用地や管理できなくなった畑・田んぼなどの農地、先祖代々引き継いできたものの用途のない土地などは。処分するのが妥当といえます。

使わない土地を所有していると固定資産税がかかり続けて負担となるので、手放したほうがメリットは多いのです。また、時間経過とともに土地の価値が下がってしまい、いざ売却したいときに安い値段でしか売れないというおそれもあるため、早めに手放すことをおすすめします。

土地を売りたいときは不動産業者に仲介契約を結ぶのが一般的ですが、需要の低い土地や形状の悪い土地などは売れにくいため注意が必要です。なお、農地を売却するには農業委員会の許可が必要となります。詳細な手続きについては、不動産業者に確認しましょう。

家じまいにかかる費用と期間

家じまい
家の立地条件や大きさなどによって、家じまいの費用や期間に差が出ます。

費用としては、転居費用や不用品回収業者の利用料、家・土地が売れた際の譲渡所得税や不動産業者への仲介手数料が発生します。家を解体する場合には、解体業者に支払う解体手数料も必要です。

戸建てとして一般的な30坪の一軒家を例にして、家じまいの費用と期間を次の表に示しました。

<家じまいの費用と期間(30坪戸建て)>

項目 費用 期間
転居費用
(引っ越し業者)
7万円~
(季節・荷物量による)
1日
荷物整理の費用
(不用品回収業者)
30万円~ 1~3日
荷物整理の費用
(自分ですべて荷物整理した場合)
~数万円
(粗大ゴミ、家電リサイクル費用)
数か月~半年
解体工事費用
(解体業者)
60~180万円
(構造による)
2週間前後
不動産売却に関する費用 ・仲介手数料
(不動産業者)
上限:売買価格の5%以内
(売買価格により変動)
3か月~1年
・印紙税 5000円~1万円
・測量費 40万円前後
・譲渡所得税 (保有期間5年以下のとき)
税額=課税短期譲渡所得金額×30%
(住民税9%)
(保有期間5年超えのとき)
税額=課税長期譲渡所得金額×15%
(住民税5%)

費用が高くなるとき

家の中に荷物があふれかえっており、引っ越し業者や不用品回収業者に運び出してもらうものの量が多いと費用は高額になります。家の解体時に残置物があったり、庭木や石の撤去作業が加わったりした場合にも追加費用がかかるので注意が必要です。

不動産業者に支払う仲介手数料は宅地建物取引業法で上限額が定められているため、不当な高額請求をされることはありません。ただし、不動産業者によって値引き交渉に応じてくれるか否かは異なり、仲介手数料を値下げしてくれない業者のほうが高額になる可能性はあります。

また、家や土地がなかなか売れない場合には、その間にも税金と維持費が発生し続けるので費用負担が大きくなります。

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期間が長引くとき

不用品回収業者を利用せずに自分たちで荷物整理を行うと、家の中を空っぽにするだけでも数か月から半年程度かかってしまい、作業が長引きやすいです。とくに、家のなかに物品が大量にある場合には長期化しやすい傾向があります。

気持ちの整理がつかなくて、荷物の整理に長い時間を要する人もいます。家の持ち主が親であり、死別や病気などで意思疎通できない状態にあると、物品の仕分け判断が難航しやすいです。

自分の家の場合でも、高齢だと体力的な負担などから作業が長引きます。また、不動産売却の際になかなか買い手が見つからないと、家じまいに要する期間が長くなってしまいます。

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家じまいを始める4つのタイミング

家じまい
家じまいは余裕を持って早めに始めるのがベストですが、次の4つのタイミングで踏み切る人が多いです。

1.ケガや病気をしたとき
2.家を引き継いだとき
3.誰も住まなくなったとき
4.維持費が負担になっているとき

体力的な負担や家の維持管理面での負担に直面したことが、家じまいのきっかけになり得ます。それぞれについて、詳しく解説します。

ケガや病気をしたとき

ケガや病気によって体が不自由になり、今住んでいる家で暮らし続けるのが困難だと感じたタイミングで家じまいをする人が多いです。一般的な住宅は段差や階段が多くて手すりが少ないなど、バリアフリー設計になっていないことが多いので住みづらくなってしまうのです。

家じまいによって今住んでいる家の売却益を手に入れれば、自分が無理なく暮らせる家に住み替える資金の足しにすることができます。

家を引き継いだとき

親の死亡などで実家を相続したものの、自分は住む予定がなく実家を持て余してしまうときも、家じまいのタイミングといえます。自分や家族などが住まなければ、実家が空き家になってしまうからです。

人が生活していない家は換気などが滞って劣化が進みますし、たまに通うときのためにと水道やガスを止めずにいると固定費が発生し続けます。空き家管理のための往復の交通費も、遠方の場合には大きな費用負担となります。

なお、家を相続した場合、条件を満たした状態で相続後3年10か月以内に売却すると、「譲渡所得税」の取得費加算の特例が適用されて税負担が軽減されます。このため、特例の条件を満たす人は3年10か月以内に売却すると節税することが可能です。自分の相続した家が条件にあてはまるか否かは、税務署や税理士に確認しましょう。

誰も住まなくなったとき

両親が亡くなったり施設に入ったりして、家に誰も住まなくなったときも家じまいの考えどきです。実家を手放すのは心情的にさみしいものがありますが、空き家のデメリットを考えると処分するのが現実的といえます。

空き家を所有していると、固定資産税やメンテナンス費が発生し続けます。家が劣化すれば瓦がはがれたり庭木がはみだしたりして近隣トラブルに発展するおそれもありますし、自然出火やいたずらによる放火などの心配も生じます。不法侵入者が空き家に住み着くリスクもあるので、注意が欠かせません。

さらに、メンテナンスを怠って空き家を放置すると「特定空き家」に認定される場合もあるので注意が必要です。特定空き家は家屋の倒壊リスクや衛生上の有害性などがある場合に認定されるもので、固定資産税の優遇がなくなって最大6倍まで跳ね上がってしまいます。

空き家のさまざまなデメリットを考慮して、家じまいを行なう人が多いのです。

維持費が負担になっているとき

税金やメンテナンス費が負担になり、家じまいをする人もいます。

家や土地にかかる税金としては、固定資産税と都市計画税が挙げられます。固定資産税はすべての土地や家屋にかかる税金であり、都市計画税は都市計画法に定められた市街化区域内の土地や家屋に対して発生します。

メンテナンス費としては、外壁や雨どい、屋根などの修繕費用が挙げられます。家の経年劣化は避けられない問題であり、たとえば外壁塗装は10年前後で寿命を迎えて100万円以上の修繕費用が発生します。

家の維持にかかわる費用負担を軽くして、より安く住める家に引っ越すというのも現実的な選択肢です。

実家じまい後の生活スタイル5つ

家じまい
家じまい後の住み替え先として多いのは、次の5つです。

1.賃貸マンション
2.分譲マンション
3.高齢者施設
4.地方への移住
5.同居・二世帯住宅

それぞれの特徴や注意点を解説します。

賃貸マンション

賃貸マンションは、家じまい後の住居として選ばれることが多いです。戸建てに比べて自分で管理する部分が少ないため、家じまい後の高齢者に向いています。賃貸マンションには管理人や管理会社がいるのでトラブルに対処しやすく、セキュリティ面でも安心です。災害時の修繕費も、管理会社負担となります。

なお、65歳以上の人は支払い能力への不安や孤独死リスクを考慮されて、賃貸住宅を借りられないケースもあります。転居先として賃貸マンションを検討する場合には、年齢に考慮して早めに家探しを行なうことが重要です。

分譲マンション

高齢者の孤独死などを理由に賃貸マンションを断られてしまった場合でも、分譲マンションを購入することは可能です。資金に余裕がある場合、今の家を売った資金をもとにして一括購入できれば分譲マンションに住み替えられます。

家じまい後の住まいとしてとくにおすすめなのは、シニア向け分譲マンションです。バリアフリー設計や生活サポートスタッフの常駐など、高齢者が暮らしやすいように住環境が整っています。シニア向け分譲マンションは、一般の分譲マンションと同様に資産であるため売買可能です。このため、子供に資産を残す目的で分譲マンションを終の棲家に選ぶ人もいます。

ただし、分譲マンションを購入する際にはローンだと断られる可能性がある点に注意が必要です。住宅ローンは、満70歳までの人しか利用できません。ローンの借り入れには審査もあるため70歳未満の人でも、収入や健康面を理由に断られてしまうことがあります。

高齢者施設

要介護の状態だったり、自立しているものの軽度の介護が必要だったりする場合には、高齢者施設に入るのが安心です。

施設に月額費用を支払う形で入所・入居するもので、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどさまざまな種類があります。介護資格を持つスタッフが常駐していたり、見守りサービスを依頼できたりと高齢者が安心して生活できる環境が整っています。

夫婦で同室入居できる老人ホームなどバリエーションが多いので、自分のニーズや予算に合った高齢者施設を比較検討することが大切です。入所・入居にあたって年齢や介護度などの条件がついている場合があるため、事前に確認しましょう。

地方への移住

セカンドハウスを購入して、家じまい後に地方へ移住する方法もあります。地方への移住は、「ずっと都会で暮らしていたけれど、本当は田舎暮らしにあこがれていた」などの希望を持つ人に需要があります。

地方に移住する際には、自治体の運営する空き家バンクを活用したり、移住候補地の不動産業者に相談したりして物件を探します。

ただし、馴れない地方生活には不便なことも多いので、移住後に苦労しないように十分に吟味しておく必要があります。移住前に現地に足を運び、地方物件のシェアサービスや地方自治体の提供する「お試し移住」をするなどして実生活のイメージを固めておくことが欠かせません。

また、地方に家を買ってしまうと、将来的に相続で子供の負担になり得る点にも注意が必要です。

同居・二世帯住宅

子供世帯と同居したり、二世帯住宅に改築したりするのも家じまい後の暮らしかたの一例です。

介護や子育てをサポートしあえたり、水道や電気をシェアして水道光熱費などを節約できたりするのが同居や二世帯住宅のメリットといえます。

一方で、お互いに干渉しあってストレスを溜めやすい点がデメリットです。お互いのプライベートを守るために同居ではなく二世帯住宅への建て替えを選ぶ人も多いのですが、それでも距離の近さから人間関係トラブルに発展するケースも見られます。

同居や二世帯住宅でのトラブルを避けるためには、事前に子供世帯としっかりと相談し合い、意向を確認したりルール作りをしたりすることが欠かせません。

家じまいが必要な5つの理由

家じまい
家じまいが必要になる理由として、次の5つの事柄を挙げる人が多いです。

1.子どもの負担を減らせるから
2.住みやすくなるから
3.無駄な費用がかかるから
4.犯罪リスクが上がるから
5.気持ちの整理をつけられるから

それぞれについて解説します。

1.子どもの負担を減らせるから

家じまいが必要と考える理由として、将来的にかかる子供への負担を減らしておきたいという思いがあります。

自分の死後などに空き家になると、空き家を管理する負担が子供にかかってしまうためです。管理の手間や費用の問題だけでなく、兄弟姉妹が複数いる場合には空き家の扱いで揉めて相続トラブルに発展する可能性もあります。

自分が健在のうちに家や土地を売却して現金化しておけば、子供にかける負担を減らせるという理由から家じまいをする人が多いのです。

2.住みやすくなるから

今の家が住みにくくなり、より暮らしやすい住居に引っ越したいという理由で家じまいをする人もいます。

戸建てだと夫婦二人暮らしには広すぎたり、掃除や管理が行き届かなかったりする場合があります。また、高齢者が二階への階段や段差で危険を感じたり、お風呂や階段に手すりがなくて不便を感じたりする事例も多いです。

そのような場合には、バリアフリー設備の整ったエレベーター完備のマンションなどに住み替えると安心して生活できます。転居先の立地条件も吟味でき、スーパーや駅の近くなど自分のニーズに合わせて次の住居を選べるため、生活環境を整えやすいのです。

3.無駄な費用がかかるから

無駄な出費を避けたいという理由で、家じまいを行なう人もいます。持ち家は固定資産税などの税金が発生し、さらに戸建てだと外壁や屋根の定期的なメンテナンスも必要になるのでお金がかかりやすいのです。

老後の資金計画を立てやすくするために、月々の家賃や共益費が明確な賃貸住宅に住み替えるという選択肢です。

4.犯罪リスクが上がるから

家じまい
犯罪に巻き込まれるリスクを避けるために、家じまいが必要になるケースもあります。空き家のまま放置していると不審者が住み着いたり、窃盗や放火などの被害に遭ったりするおそれがあるためです。

たとえば、放火や不法侵入者のたばこの不始末などで出火すれば、近隣にも被害が及ぶ可能性があります。不法侵入で犯罪の温床にされてしまった場合には近隣に迷惑がかかるのはもちろん、いざ売却しようと思っても「いわくつきの物件」になって買い手がつかなくなるリスクもあるので注意が必要です。

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5.気持ちの整理をつけられるから

思い出の詰まった遺品や家を手放して、気持ちの整理をつけたいというのも家じまいをする理由のひとつです。

親の死の直後などは思い出が込み上げて遺品整理ができない状況に陥る人も多いのですが、少し時間をおくと前向きな姿勢で遺品整理を進めることができるようになります。親への感謝や供養の意味合いで遺品を整理し、形見として保存するものと処分するものとを仕分けることで気持ちの整理がつけられます。

思い出のあふれる家を処分するのですから、さびしさや悲しさが湧いてくるのはある程度は避けられないことです。しかし、今後住む見込みがないのなら、宙ぶらりんにしておくのではなく、感謝とともに家じまいをするのが理想的といえます。気持ちの整理がつきやすくなり、前向きになれるからです。

実家じまいで後悔しないコツ

家じまい
実家じまいで後悔しないために、次の6つのコツをおさえておきましょう。

1.家族で話し合う
2.新居選びを慎重にする<
3.費用を計算する
4.相談先を知っておく
5.早めに取り掛かる
6.プロの手を借りる

これらのコツを意識すると効率的に作業を進められるようになり、安心して家じまいを進められるようになります。

家族で話し合う

家じまいを実行する前に、家族で十分に話し合って方針を共有しておきましょう。家族それぞれで実家への思い入れが異なるため、独断で強引に処分してしまうと後悔やトラブルにつながりやすいので注意が必要です。

具体的な相談内容としては、家じまいのスケジュールや予算、転居先、思い出の品を処分するか否か、処分しない場合には誰が譲り受けるかなどが挙げられます。荷物整理や転居などは、認識を共有しあうためにも家族に手伝ってもらったほうが好ましいです。

家じまいで後悔しないためには自分一人で決めるのではなく、家族と相談して意向を確認し合うのがポイントです。

新居選びを慎重にする

住み替え先のマンションや高齢者施設などは、じっくり吟味しないと後悔につながりやすいです。基本的には転居先が「終の棲家」となるので、立地の悪い住居や自分に合わない施設などを選んでしまうと一生ものの後悔になってしまうので注意しましょう。

マンションなどへの住み替えなら、アクセスの良いところを選ぶのがポイントです。高齢になれば医療機関にかかる機会も増えるので、医療機関のそばや交通の便が良いところを選ぶことをおすすめします。スーパーが近所にあり、車がなくても生活できるか否かも重要です。子供や親族が訪問しやすく、地域コミュニティが充実しているなど、孤立せずに生活できる場所を選びましょう。

施設に入所する場合は、候補となる施設の月額利用料や入所要件などを確認して比較検討します。実際に見学をして住環境やサービス内容を吟味し、納得してから決める必要があります。

費用を計算する

家じまいを始める前に、どの程度の費用が必要なのか計算しておくと後悔しづらくなります。予算を立てずに家じまいを行ってしまうと、無計画な出費になって老後の負担となるからです。

不用品回収業者の利用費用や引っ越し費用、家の解体費用、不動産売買が成立したときの仲介手数料、税金などをリストアップしておきましょう。

家や土地が売れるまでは固定資産税が発生し続けるので、忘れずに予算に組み込んでおく必要があります。とくに、家を解体する場合には固定資産税が上がることも考慮することが大切です。家じまいのスケジュール決めのとき、費用も計算しておくと漏れなく考えることができます。

相談先を知っておく

家じまいの相談先を知っておき、有効活用すると安心につながります。多くの人にとって家じまいは初めて取り組むものであり、検討漏れやタイミングを逃すなどのうっかりミスが生じやすいからです。

たとえば、家じまいをサポートする一般社団法人では、相談サービスを提供している場合があります。家財の整理や家の売却に関する困りごとへのアドバイスをしており、必要に応じて専門家への橋渡しもして行っています。

家の売却や解体など、建物や土地に関する困りごとであれば不動産業者でも相談できます。分からないことを質問できる専門家を見つけておくと、思い悩まずに家じまいを進められるようになります。

早めに取り掛かる

家じまいを始める年齢に決まりはありませんが、早めに始めたほうが後悔なく進めることができます。なぜなら、費用・時間・メンタルの3つの面で、時期が遅いほどと大きな負担がかかるようになるからです。

たとえば、荷物整理には体力が必要ですが、高齢になるほど重労働と感じることになります。自分で粗大ゴミを運び出すのも困難になるので、不用品回収業者などに依頼する件数が増えて費用負担が増えがちになります。

また、引っ越し先がなかなか決まらず家じまいが長期化する場合もあるため、早めの時期から余裕を持ってスケジュールを組んでいくほうが安心です。さらに、亡くなった後だと手続きが大変になって家族が苦労しますし、遺品整理はメンタル面でも消耗しやすくなります。

実際には今すぐ転居や家の売却をしない場合でも、高齢になる前から終活のひとつとし家じまいを意識しておくことが大切です。

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プロの手を借りる

家じまい
家じまいの手順のうちのいくつかは自分で行うこともできますが、プロの手を借りたほうが効率的に進めることができます。不用品回収業者や不動産業者を、賢く活用しましょう。

たとえば、荷物の整理は自分で行うと半年近い時間と大変な労力がかかりますが、不用品回収業者に依頼すれば最短1日で完結させることができます。不動産売却については、親族や知人などに売却する場合を除いて、不動産業者に依頼しなければ困難です。

プロの手を借りて効率化して負担を減らすことが、家じまいで後悔しないための秘訣です。

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家じまいのまとめ

家じまい
家じまいは早く進めるに越したことはありません。
最終的に家じまいをしなかったとしても、不用品の処分や生前整理を進めておくと自分たちの生活の質を上げることもできますし、ゆくゆくは残される家族のためになるからです。

気持ちにゆとりのあるうちに不用品の処分や不動産の査定を進めておくことをおすすめします。

家じまい

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