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遺品整理

グリーフケア5つの方法と悲しみと向き合い、遺品整理で吐き出す

配偶者や子供が無くなって出口のない悲しみを抱えている方もいるのではないでしょうか。自分が悲しみの渦中にいる時も友人や家族の心が弱っているときの救いとなるのが、グリーフケアです。

この記事を読むとグリーフケアの意味や方法が分かり、悲しみの出口の一歩を踏み出す手助けになります。

グリーフケアとは

グリーフケア
グリーフとは英語で「死別などによる深い悲しみ」や「悲嘆」を意味し、喪失体験に伴う悲しみや嘆きとその反応のことを指します。そして、死という現実と悲しみを乗り越えようとする人に寄り添い、支援するように関わることを「グリーフケア」といいます。

グリーフケアは死別後の悲しみを指すだけではありません。死を予感した時からグリーフが現れる場合があります。医療現場では1人で悩みを抱え込むことも多い遺族や患者のためにも使われ始めています。

昭和の時代までなら地域や親戚の繋がりは濃いものでした。しかし、平成、令和と続くにつれ日本では人との繋がりは薄く、社会的にも孤立しやすいのが現状です。特に2021年5月現在、新型コロナウィルスの影響を受け、人と会うこと自体も貴重なものになっています。

死の前後による悲しみ・孤立状態になった人に寄り添い支援するグリーフケアに関心が高まっています。

グリーフとは

グリーフケア
グリーフは、心の不安定さが引き金となり、心身ともに不愉快な反応や違和感をかかえる状態です。

具体的には「死」に対してショックを受けつつも、受け入れ、前を向かなければならない現実の中で心が揺れ、心が不安定な状態になることから起こります。

グリーフの期間の長さは亡くなった方との関係や死の状況によって変わります。
故人が親の場合は3年、配偶者ならば4年半〜5年、子どもならば5年ぐらいグリーフ期間は続くといわれています。

グリーフの症状は、心身ともに混在し、心の準備なく突然起こります。きちんと気持ちの整理がされていない場合、グリーフによる心や体の痛みは何年経過しても起きてしまう可能性があります。

きっかけさえあれば再発してしまうかもしれない、グリーフという根の深い事柄だからこそといえます。そして、グリーフとうまく付き合っていけるようになるには、人それぞれに必要な時間とペースがあるということを心にとめておく必要があるでしょう。

3つのグリーフ症状

グリーフケア
親や兄弟、配偶者、そして子供など大切な人を亡くすと、経験したことのない悲しみに襲われることでしょう。
心のバランスが取れない中で、今まで通りの日常生活を送らなければならない時、グリーフの症状が心身の不調として現れます。この時、「自分とは何か」「死とは…」「死者とは…」など答えのない問いかけを繰り返しています。

グリーフの状態で生じやすい症状は大きく分けて「心の症状」、「体の症状」、「日常生活や行動の変化」の3つに区分されます。
予防医学の観点からは、グリーフの症状は決して「健康状態」とはいえません。

1.心の症状
心の症状としては、
・感情の麻痺(何も感じない、喜怒哀楽の表現が乏しくなる、他者への関心が薄くなる)
・怒りや恐怖に似た不安
・孤独、寂しさ、やるせなさ、自責感、罪悪感、無力感
などが起こります。

2.体の症状
体に現れる症状は多岐にわたり、以下のような症状が現れます。

・疲れているはずだけど、眠れない(睡眠障害)
・食欲がない、便秘や下痢、胃腸の調子がよくない
・体がだるい、肩こり、体力や体調の低下を感じる
・頭が痛い、めまいや動悸がする、血圧が高くなった
その他にも体重の減少や見た目の老化、免疫力の低下などがあり、これらの症状が合わさって精神障害や慢性的な病気につながることもあります。

3.行動の変化
心の状態に合わせて行動も不安定な状態が続きます。

例えば、ぼんやりしてしまう、涙があふれてくるなどが周囲から見ても分かる変化です。グリーフが必要な方の頭の中では「なぜ」「どうして」と疑問を繰り返し、故人のとの思い出が蘇り回想に浸っている状態です。
反対に、自分の気持ちをごまかすために仕事やイベントごとで気を紛らわそうとしたり、無理に予定を積めて落ち着きをなくすこともあります。

また一旦遠ざけた故人の持ち物を愛おしんだり、執着を見せることもあります。

グリーフケアの歴史

グリーフケアは、1960年台に欧米で始まった考え方で、日本では1970年代にグリーフケア研究が広まったと言われています。

2005年の福知山脱線事故を機にグリーフケアの存在と必要性が高まり、2011年東日本大地震で大きく広まりました。看護業界でもグリーフケアは注目されている心のケアの一つで、患者やその家族に寄り添うことでより適切な治療を勧めることにも役にたっています。

グリーフワーク4つの流れ

グリーフケア
グリーフワークは身近な人の死など強い悲しみの状態に陥った時に、受ける悲しみと立ち直りのプロセスです。「ショック」「喪失」「閉じこもり」「再生」と身体的・精神的な4つの悲嘆のプロセスをたどります。

このプロセスは長期的に繰り返されることもありますし、短いと1日の中でも感情が上下することもあります。悲観プロセスを知り、状態に合わせてケアすることが大切です。

1.ショック期

ショック期では亡くなった人を思い出して茫然とし、空虚な状態になります。

他者、特に何も知らない人からは冷静に受け入れているようにも見えますが、実際には何も考えられない状態です。葬儀中など、亡くなった直後はショック期に該当するので死を受け入れられていない状態です。

ショック期の中でも突然、大量の涙が溢れ、人によってはパニック状態になり正常な判断ができなくなることもあります。

2.喪失期

喪失期は、亡くなったことを頭では分かっていても、感情が追いついていない状態です。

号泣・怒り・敵意など強い感情が現れ、感情が抑えられなくなるのがこの時期の特徴です。
自分は他人とは違う、「疎外感」「気後れ感」を感じることもあり、自分から家族や友人と距離をとったり連絡に対して返信しなくなったりします。

喪失期には抑えずにしっかりと感情を出し切ることが、回復を早めるという見解もあります。

3.閉じこもり期

閉じこもり期は、死を受け止めてはいますが、それに伴い故人がいないことへの悲しみが一層深まる時期です。

何もやる気がしない「うつ状態」に似ており、自分が存在していない感覚にもなりやすく、自責感に襲われることも特徴の一つです。
命日や故人との思い出の日、記念日といった特別な日にはことさら感情の揺れ幅がおおきくなることがあります。これを「記念日反応」といい、衝動的な行動を引き起こしやすくもなります。

4.再生期

再生期は、自分を奮い立たせようとする「適応・対処の努力」の時期です。
感情が落ち着いていき、故人がいなくなった後の世界で新たな社会との関わりを築いていく努力を始めます。

これら4つのプロセスは順番通りにはいきませんし、時期や期間にも目安はありません。喪失と立ち直りの想いに分かれて行ったり来たりを繰り返しつつ、徐々に個人のいない世界で自分を取り戻していきます。

グリーフケアの効果

グリーフケア
グリーフケアを取り入れ、悲嘆のプロセスを踏むと悲しみが和らぎ安心感を得ることにつながります。
グリーフケアは、グリーフによる身体的・精神的な不調の予防にもつながります。
また、再び悲しみがこみ上げてきた時にも、対処方法をわかっていれば、心を落ち着かせることができます。

グリーフケアの5つの方法

グリーフケア
グリーフケアに決まった形はありません。
深い悲しみを和らげる効果がある行動や療法を総称し、グリーフケアとよばれます。
ここでは、代表的なグリーフケアをご紹介します。

1.悲しみと向き合い・吐き出す

グリーフケア
自分の今の状態と向き合い、感情を受け入れることから始まります。
大切な人との死別し悲しいことや、現実に落ち込み、何も手につかなくなっている状態や前向きになれないことは当たり前です。

自分の中に感情を抱え込まず、言葉や態度にして誰かに聞いてもらったりするだけでも構いません。人に話すことに抵抗がある時は紙に思いついたことをそのまま書き出すことも有効です。

涙が溢れてしまうなら、無理に止めようとせず涙を流して構わないと自分に許可を出しましょう。涙を出すことで自身にかかったストレスを軽減する効果もあります。

身近な方がグリーフ状態の時にはただただ頷いて聞いてあげることがグリーフケアになります。相手のペースで相手が話したいことだけを聞いてあげることに集中します。

2.セレモニーを行う

グリーフケア
葬儀やお別れ会など、故人とのお別れのセレモニーを行うこともグリーフケアの一つです。
セレモニーには故人と生前ゆかりのあった方が集めて、故人に対する思いや今の気持ちを共感しましょう。涙を流し、心のまま悲しむことが許される場所を用意することで、自分の気持ちも話しやすくなります。

仏教では通夜・葬儀・火葬の後でも四十九日や納骨など法要が設けられています。親族のつながりが希薄な現代では省略されることも増えてきましたが、1つ1つ丁寧に行うことで遺族の心の整理をつけていくことができます。

自身が喪主である場合、悲しみよりもやらなくてはならないことに気を取られます。その場合、セレモニーが終わった後にグリーフ状態に陥りやすいので、改めて喪主のためにセレモニーを行うことも有効です。
例えば、故人とゆかりのある方だけで形式にとらわれない「お別れの会」を企画し、故人とのエピソードや好きだったものなどについて語りつくすこともグリーフケアの一つです。

3.グリーフケアワークショップへ参加する

グリーフケア
身内や知り合いに自分の感情を吐き出すことが難しい場合は、グリーフケアワークショップに参加する方法もあります。

同じ境遇の集まりの中に身を置くことで、感情を共有し自分の状態を受け入れることができ、また、人を見て自分の感情を再認識することもあります。

グリーフケアのワークショップは「遺族の会」などの名称で、各地で月に1回程度開催されています。参加費用は開催団体によって異なりますが500〜5,000円ほどです。

例えば、日本グリーフケア協会では悲嘆回復ワークショップと称し、仙台・東京・横浜の3箇所で開催されています。参加費は1回5,000円です。

お住まいの近くでの開催情報は、地元の情報誌や図書館に置いてある地域の広報誌、ネットなどで見つけることができます。例えばネットで探す場合、[グリーフケア 地域名]で検索すると、地元で行われる小規模の体験会をみつけることができます。

ワークショップに不安や抵抗感を感じるようであれば、グリーフケア外来も検討するのも一つです。

4.グリーフケア外来に行く

グリーフケア
精神神経科や心療内科では、グリーフケア外来を設けているところもあります。
カウンセリングを基本とした外来で、専門知識を持った公認心理士や臨床心理士、医師、看護師が対応します。

投薬による治療に抵抗がある方や、医療の視点からグリーフケアを希望する方に向いており、専門家の判断に委ねられる安心感もあります。

例えば、名古屋市立大学では1回50分で費用は初回5,360円、2回目以降は3,010円でグリーフケアが受けることができます。また、淀川キリスト教病院では、30分3,000円、50分5,000円と病院によって異なります。

すでに精神科や心療内科で治療を受けている方や、投薬治療が必要な方は受けられないこともあります。

5.手元供養

グリーフケア
手元供養により、モノを心の拠りどころとして悲しみを和らげることもグリーフケアの一つです。

お墓や仏壇、位牌などが代表的ですが、最近では遺骨の一部をアクセサリー加工する、ミニ骨壷に入れて手元供養をする方法があります。
手元供養は、故人を身近に感じることができ、心が落ち着く効果があるといわれています。

手元供養については【手元供養の方法と種類、3つの注意点、遺骨アクセサリー】をご覧ください。

おすすめのグリーフケア書籍3選

グリーフケア
グリーフケアの関連書籍は、大切な人と死別した時、自分の状態を把握し必要なケアを実践する上でとても効果的です。
グリーフケアを理解すると、看護職や遺品整理業でも、患者や遺族の気持ちに沿った業務や提案を行い、ケアが必要な人の心を救うことができます。

自分にグリーフケアが必要な時も、周囲にいる方にグリーフケアをしたい時にもおすすめの書籍をご紹介します。

1.永遠の別れ―悲しみを癒す智恵の書

大切な方と死別した方の深い悲しみを癒す方法が具体的に書かれています。

「愛する人を亡くしたら思う存分悲しみなさい」という言葉とともに、見送る人の悲嘆の感情とそれが癒される「死の受容プロセス」を主軸としています。

グリーフを「悲嘆」と表現し、大切な人を失った時に訪れる「悲嘆」と「悲嘆の5段階」に応じたグリーフの症状、特殊なケースが紹介されています。
特殊なケースも取り扱われているので、当てはまりやすいのが特徴です。

著者のエリザベス・キューブラー・ロスは、死とそのプロセスについて書かれた著書「死ぬ瞬間」で世界的な死生学の権威であり、本書は最後の作品です。

2.死を前にした人にあなたは何ができますか?

末期がんや終末医療をしている方や大切な方が近い将来亡くなることが分かっているときに学ぶことが多い本です。

勤務医・ホスピス等勤務を経て在宅医として約3,000名もの死と向き合ってきた著者による、看取り対応と具体的な関わり方が書かれた本です。

死を前にした人や苦しみを抱えている人にとっては『わかってくれる人、共に味わってくれる人がいる』と感じられることが、なにより大事とグリーフケアの本質をついた解説がされています。

3.大切な人を亡くしたあなたに知っておいて欲しい5つのこと

グリーフケアをすぐにでも取り入れたい方の力になれる本です。

グリーフケア専門士の著者と、5人の遺された人々がグループワークの様子が対話形式で綴られており、各章ごとにテーマに沿った振り返りのワーク、コラムがあります。
グリーフとは何か、寂しさや悲しさが心身にどのような影響を及ぼし、どうしたら克服できるかがわかりやすく書かれています。

グリーフケアと遺品整理

グリーフケア
遺品整理を通して故人の遺品と向き合うことも、グリーフケアの一つになります。
遺品整理がつらい理由と遺品整理を通したグリーフケアの方法をご紹介します。

遺品整理がつらい理由

グリーフケア
遺品整理がつらくなってしまう理由は、「時間」「体力」「心」と3つの原因があります。
遺品の仕分けや分別に時間を取られますし、処分時には体力が必要です。例えば、遺族が一人っ子の場合その負担はさらに大きくなります。
1人で写真や食器など小物の仕分けからタンスや洗濯機など大型の家具家電の処分まで全ての責任がのしかかります。遺品を撤去しなければ不動産の管理や処分もできません。

そして故人の死に対して受け入れられない場合、感情が乱れてしまうことも遺品整理がつらくなる理由の一つです。遺品を目の前にするだけで故人との思い出が蘇り、手に取ることすらできない状態になることもあります。

遺品を見ても落ち着いた状態が保てる時には遺品整理がグリーフケアになることもあります。

遺品整理がつらい理由については【遺品整理がつらい3つの理由と悲しみを乗り越えた方法】をご覧ください。

遺品整理がグリーフケアになる

グリーフケア
遺品整理を通して、故人との思い出や遺品のエピソードを話しながら、遺品の分別や仕分けを行うのもグリーフケアの一つです。

例えば、親の写真整理時には子供同士で行うと同じ気持ちを共有できるので、感情を吐き出しやすい環境です。遺品にまつわる思い出を話すとともに悲しみや後悔、自責の念などを抱え込まずに吐き出すことが遺品整理におけるグリーフケアになります。

遺品整理でグリーフケアを行っている最中に手が止まってしまう時は無理に進める必要はありません。遺品を片付けるのではなくグリーフケアをメインとして作業しましょう。

家の退去日が迫っているなど、期日が決まっていても気持ちの整理がつかず遺品整理がうまく進まない場合は、遺品整理業者と一緒にグリーフケアのも一つの方法です。
写真の遺品整理は【遺品整理で写真を処分する4ステップ・残す写真は3つの条件をクリアしている】をご覧ください。

グリーフケアができる遺品整理業者

グリーフケア
遺品整理業者によっては、グリーフケアを考慮しつつ、遺族と一緒に遺品整理をするプランが用意されています。遺品整理士は、資格習得の際にグリーフケアも学ぶので、遺族の心に寄り添ったプランの提案や作業に期待ができます。

遺族への思いを親族に話すことがためらわれる方も、遺品整理業者であれば話しやすい事もあります。遺品整理と同時にグリーフケアを進める時には遺品1つ1つと向き合うことがあるので時間がかかります。

例えば、ワンルームであればスタッフ3人・5時間程度で終わりますが、依頼者がグリーフケアを同時に進める時には遺品の仕分けに時間がかかります。遺品の量や精神状態にもよりますが、遺品整理業者と一緒に遺品整理をするときには倍以上の時間が必要になります。

時間がない中で遺品整理と同時にグリーフケアをしたい時には力仕事だけを遺品整理業者に任せる方法もあります。

遺品整理士については【遺品整理士とは?資格の意味と業務内容
遺品整理の資格3つー持っていない業者やばいかも。】をご覧ください。

遺品整理業者に任せつつグリーフケアをする

グリーフケア
タンスや冷蔵庫、ベッドなど体力がいる作業を遺品整理業者に任せて、自分は小物や写真の仕分けのみを行いグリーフケアする方法もあります。感情や思い出を吐き出せる親族がいいない時には遺品整理業者スタッフに聞いてもらうこともできます。その場合にはグリーフケアがしたい旨を伝えて、話を聞いて一緒に仕分け作業をしてくれるスタッフを希望しましょう。

作業を遺品整理業者へ依頼することで、自分は故人の住んでいた家や遺品を向き合うことに注力できますので、期日が迫っているときには効率的です。

グリーフケアのまとめ

・大切な方をなくした時の不安定な状態をグリーフと言い、寄り添って支えることをグリーフケアという
・「ショック」「喪失」「閉じこもり」「再生」と身体的・精神的な4つの悲嘆のプロセスをたどる
・代表的なグリーフケアの方法は5つあり、自分に合ったものを選ぶといい
・グリーフケアに関する書籍もあるので、自身の状況に合った本を選ぶと実用性が高い
・遺品整理がグリーフケアになることもある